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今まで異世界転生100タイトル以上読んできた自身の実力を発揮するショートショート集!!  作者: ノアキ光


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1/4

1 転生したら転生(概念)だった件

目が覚めた。


……いや、正確には「目が覚める」という概念が目を覚ました。


俺は死んだはずだった。


トラックに轢かれて。


異世界転生テンプレの最初の一文として完璧すぎる死に方で。


そして次に来るのは普通――


女神とか。


チート能力とか。


「ようこそ異世界へ」とか。


なのに。


聞こえたのは、声だった。



《転生処理システム、起動しました》



え?


処理?


システム?


目の前には光の画面。


そして俺の身体は、ない。


手も足もない。


魂っぽい何かすら、ない。


ただ“概念”として存在している。


俺は叫んだ。


「え!? 俺どこ!? 異世界!?」


画面が淡々と答える。



《あなたは転生しました》

《転生先:転生》



「……は?」



理解が追いつかない。


「転生先が転生ってどういうことだよ!!」


画面が説明する。



《あなたは“転生”という現象そのものに転生しました》

《役職:転生管理概念》

《業務内容:全転生者の転生処理》



「待て待て待て待て」


「俺、転生したい側だったんだけど!?」



《異議申し立て:却下》



俺は絶望した。


異世界で無双するはずが。


俺が回す側だった。


異世界ガチャの運営になっていた。


最悪である。



気づけば目の前に魂の列ができていた。


死んだ人々だ。


「異世界でスローライフしたいです!」


「勇者になりたいです!」


「悪役令嬢に転生して破滅回避します!」


テンプレ欲望の見本市。


俺は概念として淡々と処理する。



《転生先:スライム》

《転生先:村人A》

《転生先:畑のカブ》



「おい!! 畑のカブってなんだよ!!」



《ランダムです》



「ランダムじゃねえよ!!」


魂たちが泣き叫ぶ。


「そんなの嫌だ!」


「女神は!?」


「チートは!?」


俺は言った。


「女神は有給取ってる」


「チートは課金制だ」


「現実を見ろ」


概念になった瞬間、心がブラック企業になっていた。



ある日、気づく。


転生希望者が増えすぎている。


列が地獄のディズニーランド。


なぜ?


なぜこんなに転生したがる?


俺はシステムログを見た。


《原因:異世界転生ラノベ人気による転生希望者増加》



「……え?」


ラノベ人気?


つまり。


俺たちが読んでた異世界転生作品が、


死後の魂にまで影響している?


俺は震えた。


「まさか……」


画面が追撃する。



《転生ブーム最大原因作品:転生したら転生(概念)だった件》



「…………」


「それ俺じゃねえか!!!!!!」


そう。


俺が概念になったことで、


転生という現象が自己言及ループを始めていた。


転生が転生を呼び、


転生が転生を宣伝し、


転生が転生を増殖させている。


世界が“転生”で埋まっていく。



俺は叫んだ。


「こんなの間違ってる!!」


「転生は希望じゃなくて逃避じゃないか!!」


「転生先で無双したいって…現実を捨てるな!!」


その瞬間。


画面が静かに告げた。



《転生概念としての最終業務》

《あなた自身の転生処理を行います》



「え?」



《転生先:現実》



「…………は?」



眩しい光。


目が覚めた。


病院のベッド。


医者が言う。


「よかった、意識が戻りましたよ」


俺は呆然とする。


「……俺、異世界は?」


医者が首を傾げる。


「異世界?」


「あなた、トラックに轢かれたショックでずっと“転生転生”うわごと言ってましたよ」


俺は震える。


「じゃあ……全部夢?」


その瞬間。


スマホが震えた。


通知。



【新着小説投稿】

『転生したら転生(概念)だった件。』

ランキング1位



俺は叫んだ。


「誰が書いた!!!」


画面に小さく表示される。



《作者:転生(概念)》



そして最後の一文が脳内に響いた。



“転生とは、逃げた者が次に逃げるためのシステムである。”



俺は理解した。


俺が転生したのではない。


転生が俺に転生したのだ。



 完

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