表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ユーモア言葉辞典

作者: 御影堂 歩


あいどる【アイドル】「偶像」として完璧な虚像を演じ、見知らぬ人々に夢と熱狂を売りつける期間限定の美しい見世物。恋愛禁止という見えない首輪とファンの熱量という名のガソリンで走り続け、若さという短い季節を現金に変える最も輝かしく過酷な職業。


あいんしゅたいん【アインシュタイン】 「時間も空間も伸び縮みする」という遅刻の言い訳に使えそうで全く使えない物理法則(相対性理論)を確立したボサボサ頭の天才。E=mc²という短すぎる公式で核エネルギーの扉を開け、本人の平和主義とは裏腹に、世界を「ボタン一つで消滅する舞台」に変えてしまった科学の光と影。


あう【会う】互いの孤独という破片を一時的に繋ぎ合わせ、一瞬だけ「一人ではない」という錯覚を共有すること。


あかうんと【アカウント】 現実の自分に耐えられなくなった人間が、理想の自分をインストールするためのデジタル上の第二の受肉。


あき【飽き】 その対象を完全に咀嚼し終えた証。次のステージへ進むための脳からの卒業証書。


あきらめる【諦める】「明らめる」とも書き、手の届かない幻想を捨てて冷酷な現実の解像度を上げること。


あく【悪】多数派が共有する秩序や道徳に反し、その安寧を脅かす存在。時代の変化によってしばしば「新時代の正義」へと昇格する未完成の価値観。


あくび【あくび】脳が酸素不足を叫び、退屈を隠しきれなくなった際の無意識の大きな口のこと。相手の目の前でこれを行うことは、沈黙の「退屈宣言」に等しい。


あげぞこ【上げ底】容器の底を極限まで隆起させることで、物理法則を無視した「見た目以上の空虚」を販売する食品業界が編み出した視覚的トリックアート。


あじわう【味わう】 単に食べるだけでなく、脳内の語彙リストから「芳醇」「マリアージュ」といった言葉を検索し、自分が教養ある美食家であることを自分自身に証明する作業。


あとでみる【あとで見る】動画サイトやSNSにおいて、保存した瞬間に満足し、ほとんど開かれることのない情報の墓場。


あどばいす【アドバイス】相手を助けたいという親切心の皮を被った「私はお前より状況をよく分かっている」という無意識のマウント。


あまえる【甘える】相手の心の「土足厳禁」の境界線をどこまで越えても許されるか試す高度な心理戦。


あまくだり【天下り】官僚が定年後、かつて自らが監督していた業界へ高待遇で迎え入れられる互恵的な再就職システム。現役時代の便宜供与に対する「後払い」であり、官民癒着を永遠に継続させるための装置。


あみど【網戸】外気という名の自由を享受しつつ、害虫という名の侵入者を拒む格子状の戸。経年劣化によって生じた小さな穴から、希望(涼風)と共に絶望(蚊)を招き入れる。


あめ【雨】外出したくない自分に、天から「正当な理由」を授けてくれる気象現象。予定をキャンセルする際の罪悪感を湿った空気と共に洗い流してくれる。


あやうい【危うい】完璧に整っているものよりも、今にも崩れそうなものにだけ宿る特別な輝きのこと。


あやしい【怪しい】 「あなただけに教える秘密の儲け話」という名の、自分だけが確実に損をするフラグがビンビンに立っている状態。


あやまる【謝る】自分の正しさを主張することよりも、目の前の相手との関係を壊さないことを選んだ理性的で少し悲しい敗北宣言。


あらーむ【アラーム】幸せな夢という名の無料コンテンツを強制終了させる毎朝決まった時間に発生する合法的な騒音テロ。


あるごりずむ【アルゴリズム】 ユーザーの行動を裏で監視し、SNSという名の檻の中で「お前が好きそうなもの」だけを与え続ける姿なきデジタル飼育員。個人の思考をエコーチェンバーという名の密室に閉じ込め、気づかぬうちに価値観を偏らせる一方で、一度「万バズ」という名の射幸心を煽ることで人々をスマホに釘付けにする現代のプログラム独裁者。


あるふぉーと【アルフォート】 わずか百円強で「貴族の休息」を演出する、ブルボンが生んだコスパの神。チョコに刻まれた帆船に乗り、胃袋という名の荒海へ漕ぎ出す甘い誘惑。一枚で止めるはずが気づけば空き箱だけが残る自制心を粉砕する青い魔物。


あわれみ【哀れみ】他者の不幸を眺めながら、自らがその場所にいないことを密かに安堵し、優越感を「優しさ」というオブラートで包んで提供する高所からの精神的施しのこと。


あんぜん【安全】何も起きないことの退屈さを最大級の幸福だと言い聞かせるための平穏な状態。普段はそのありがたみを忘れているが、一度失うとパニックに陥り、取り戻すために多額の金や手間を惜しまなくなる「当たり前」という最も高価な贅沢。


あんないばん【案内板】迷える者に進むべき道を示すふりをして、肝心な自らの居場所を「現在地」という文字だけで突き放す街角の不親切な助言者。


あんみつ【あんみつ】寒天、豆、果物の上に、黒蜜という名の重厚な甘みを流し込む和風デザートの完成形。一時の糖分過多を「風流」として正当化し、あんこの甘さに人生の苦味を一時的に忘れさせる。



いいわけ【言い訳】 自分の無能や不運を、他人が納得せざるを得ない「物語」へと昇華させる土壇場でのクリエイティブ活動。


いかり【怒り】①悲しみを誰にも悟られないために、わざわざ選ぶ一番攻撃的な防護服。➁理性という名の防波堤を破壊して溢れ出す脳内麻薬による短時間の狂気。他者を攻撃する強力な武器になるが、同時に自分自身の血管と精神もズタズタに焼き尽くす極めて燃費の悪い感情の自爆テロ。後で「あんなこと言わなきゃよかった」という特大の後悔をセットで連れてくる厄介な置き土産。


いかり【怒り】自らの正義や利害が侵害された際に発動する原始的な防衛本能。相手を攻撃することで自らの優位性を誇示しようとするが、実際には自らの血管と精神を最も激しく摩耗させる自傷行為。


いきていく【生きていく】セーブポイントのない日々の中で、毎朝「コンティニュー」のボタンを押し続けること。


いしつぶつ【遺失物】持ち主の不注意によって、一時的に所有者のいない「自由」を手に入れた物体。交番の棚で埃を被りながら、かつての持ち主に思い出されるのを待つ。


いそがしい【忙しい】心が「亡」くなると書く通り、自分が生きている実感を後回しにしている状態。


いたい【痛い】 3年前の自分の投稿を読み返し、当時の自意識過剰っぷりに悶絶しながらも、削除する勇気が出ない時の古傷が疼くような精神的痛み。


いなりずし【いなり寿司】甘辛く煮た油揚げの袋に、酢飯をパンパンに詰め込んだ行楽弁当の準主役。一口かじればジュワッと溢れ出す煮汁に、日本人の深層心理に刻まれた「お揚げさん」への郷愁が爆発する。


いねむり【居眠り】会議中や電車の中で、重力に屈した首がカクンと揺れる制御不能な肉体の反乱。周囲にバレていないと思い込んでいるのは本人だけで、実際には睡魔に敗北した無防備な姿を晒している。


いのうただたか【伊能忠敬】 隠居後の趣味が高じて、日本中をひたすら歩いて測量した「究極のウォーキング愛好家」。五十代から第二の人生をスタートさせ、GoogleマップもGPSもない時代に精密すぎる地図を完成させたことで、現代の定年退職者に「お前らも何か成し遂げろ」という無言の圧力をかけ続ける不屈の測量オタク。


いのる【祈る】神に縋るのではなく、折れそうな自分の心を「まだ大丈夫だ」と言い聞かせて繋ぎ止めるための最も静かな自己暗示。


いばしょ【居場所】物理的な空間のことではなく、そこにいても自分を偽らなくていいと許可された心の安息地。


いびつ【歪】誰にも真似できない個性が、世間という名の「型」に収まりきらなかった時にできる誇り高き突起。


いんすたばえ【インスタ映え】①味や栄養よりも「どれだけ他人に羨ましがられるか」という光の屈折率を優先した現代における最強の調味料。➁料理の味ではなく、彩りと照明の具合だけで「幸福度」を測定するデジタル時代の審美眼。カメラが食べ終えた後の冷めた料理は、もはや単なる「残骸」にすぎない。


いんぜいせいかつ【印税生活】自らの過去の労働(創作)が、寝ている間も富を生み出し続けるという表現者にとっての極楽浄土。実際には、その権利を維持するための終わりなき執筆と人気という名の不確かな風におびえ続けなければならない。


いんせんてぃぶ【インセンティブ】目の前にぶら下げられた報酬という名のニンジン。これに釣られて、更なる労働と競争に身を投じる動機づけであり、人間を家畜として扱うための最も効率的な餌。


うーばーいーつ【Uber Eats】外に出る気力を失った人間が、数百円の配送料という名の「怠惰への免罪符」を払って注文する最も高価な冷めた食事。


うぉーくいんくろーぜっと【ウォークインクローゼット】服を収納するはずが、いつの間にか「足の踏み場もない物置」へと進化する住居内のブラックホール。奥行きがあるがゆえに奥の物が忘れ去られ、数年後に「かつての流行の残骸」が化石として発見される場所。


うそ【嘘】相手を傷つけないためのオブラートか、自分を守るための鎧。どちらにせよ、真実を殺すために使われる凶器。


うたかた【泡沫】消えるからこそ美しいのではなく、消える瞬間にしか存在を証明できない命の本質。


うつくしい【美しい】それが永遠ではないと知っているからこそ、今この瞬間にだけ支払われる敬意。


うまい【美味い】糖質、脂質、塩分という「健康の敵」が完璧な比率で調合され、脳が「デブになっても構わない」と理性を投げ出す際の抗いがたい快楽の叫び。


うめぼし【梅干し】赤く萎びたその姿で、見る者の唾液腺を無意識に支配する酸味の絶対君主。白米という広大なキャンバスの中央に鎮座し、日の丸を完成させることで、日本人のアイデンティティを再確認させる。


うらあか【裏垢】 「表」という名の仮面を脱ぎ捨て、日々の鬱憤や欲望をインターネットの暗部へと垂れ流す魂の廃棄物処理場。知人に見つかれば「社会的死」を招くというリスクを背負いながら、匿名性という盾に守られて本当の自分(の黒い部分)を解き放つデジタル上の秘密の花園あるいは魔窟。


うらがみ【裏紙】かつての重要書類が、メモ帳という名の「余生」を送る紙の再雇用制度。機密情報が透けて見えるリスクを孕みつつ、節約という大義名分を果たす。


うらやましい【羨ましい】他人の「編集済みの日常」と自分の「未修正の現実」を比較して生まれる錯覚。


うわき【浮気】メインの契約(本命)を解約する勇気も持たず、別の端末で期間限定の試用版をこっそりインストールする倫理的な規約違反。


うわさばなし【噂話】他人の不幸や失態をスパイスにして、自分たちの結束を確認し合う最も安上がりな娯楽。真実よりも「面白いかどうか」が優先され、口から口へと伝わる間に怪物へと成長する実体のない怪談。


うん【運】人生において最も重要な要素でありながら、成功者がインタビューで一番触れたがらない禁忌のワード。


うんこ【うんこ】飽食の宴が終わった後に届けられる生物学的活動の最終報告書。昨日までの贅沢が等しく無価値な茶色の塊へと成り下がる食物連鎖の終着駅


うんめい【運命】①単なる偶然の積み重ねに、後付けでドラマチックな名前を貼り付け、自分の選択を正当化しようとするロマンチックな強弁。➁努力が報われた時には「自分で切り拓いたもの」と呼び、失敗した時には「最初から決まっていたこと」と呼ぶ、都合の良い言い訳の総称。


えあこんのふぃるたー【エアコンのフィルター】室内の埃という名の「生活の汚れ」を一手に引き受け、目詰まりを起こして自らの機能を停止させる沈黙の犠牲者。大掃除の際に、その蓄積された灰色の層を目の当たりにした持ち主から一方的に嫌悪される不遇の存在。


えいえん【永遠】 恋愛の初期衝動に駆られた人間が、将来の自分が心変わりする可能性を完全に無視して口にする最も無責任な言葉。


えいがかん【映画館】数千円を支払い、暗闇の中で他人の咳払いやポップコーンを噛む音に耐えながら、数時間の非日常を買い取る不自由な観賞空間。上映中のトイレへの不安という肉体的な試練を伴う精神の修行場でもある。


えいようどりんく【栄養ドリンク】一本の小瓶に凝縮されたタウリンやカフェインで、疲労という現実を脳から一時的に抹消する社畜の聖水。飲んだ後の尿の色に、自らが無理をさせている肉体からの警告を見る。


ええじゃないか【ええじゃないか】社会の崩壊という名の不安を集団失神に近いダンスと狂乱で塗りつぶした幕末最大のストリート・パニック。空から降るお札という名の「偽りの奇跡」を免罪符に、現実逃避を極限まで加速させた日本史上最も騒々しく最も無責任な自暴自棄のパレード。


えごさ【エゴサ】 SNSという名の暗闇に自分の名前を投げ込み、返ってきた批判や無関心に勝手に傷つく現代的なデジタル自傷行為。承認欲求と恐怖心が複雑に絡み合い、深夜に独りで「自分という名の呪文」を検索窓に打ち込み続ける終わりのない孤独なデバッグ作業。


えごさーち【エゴサーチ】自らの名前を検索エンジンに投げ込み、見知らぬ他人の評価という名の「毒」か「蜜」を自ら拾いに行く精神的自傷行為。称賛には疑心暗鬼になり、批判には深夜まで憤慨する終わなき承認欲求の沼。


えすえぬえす【SNS】「自分がいかに幸福で、有能で、充実しているか」という虚像を展示し、見知らぬ他人に嫉妬の毒を回すための24時間営業のセルフショールーム。


えだまめ【枝豆】鞘から豆を指で弾き出し、ビールという液体と共に無限に消費される夏の風物詩。一粒ごとに「これで最後」と誓いながら、無意識に次の鞘に手を伸ばす終わりなき反復運動。


えなじーどりんく【エナジードリンク】未来の健康と体力を前借りし、カフェインと糖分で無理やり脳を覚醒させる黄金色の劇薬。飲んだ直後の万能感と、数時間後に訪れる「電池切れ」のような虚脱感がセットになった社畜のガソリン。


えなじーばー【エナジーバー】忙しさを誇示する現代人が、食事を「補給」という名の事務作業に変換した宇宙食に近い固形物。すぐに終わる咀嚼の後に残されたのは満たされぬ空腹感と削られた情緒。


えびでんす【エビデンス】自らの主張を正当化するために、他者の研究結果やデータを都合よく引用し、論理の盾とすること。真実を探求するためではなく、相手を論破し、自らの保身を固めるための知的武装。


えびふらい【エビフライ】黄金色の衣で身を包み、豪華さを演出する揚げ物のスター。尻尾まで食べるか否かという個人のプライドを試す小さな境界線を持ち、皿の端に残された赤い殻にかつての華やかさの残骸を見る。


えらぶ【選ぶ】①最高のものを見つけることではなく、どの「後悔」なら一生背負って生きていけるかを決める覚悟のこと。➁似たようなカロリーと価格の羅列に対し、どれが最も自分の「今の虚無感」を埋めてくれるかを真剣に吟味する最も身近で孤独な意思決定。


えれべーたー【エレベーター】密室の中で見知らぬ他者と肩を並べ、階数表示だけを凝視して沈黙に耐える気まずさの垂直移動。目的地に着いた瞬間に他人同士という壁を再び構築して解散する一時の避難箱。


えれべーたーの「しめる」ぼたん【エレベーターの「閉」ボタン】数秒の待ち時間さえ許容できぬ現代人の焦燥感が凝縮された、最も摩耗の激しいスイッチ。背後から来る他者の存在を拒絶し、自らの時間を最優先する非社交的な装置。


えんじょう【炎上】世間の「道徳の番人」たちが、日頃のストレスを正義という名の暴力に変えて、特定の個人のもとに集結する無料かつ最悪のオンライン祭り。


えんそく【遠足】学校公認の集団歩行訓練。300円という絶妙な予算制限の中で、いかに「おやつ」という名の幸福を最大化するかという実戦形式の経済学を学ぶ場。当日の降水確率に、全児童の情熱と、中止を願う教師の安堵が左右される。


えんちょうこーど【延長コード】コンセントという名の「動かぬ主」から、数メートルの自由を奪い取るための文明のへそ。足に引っ掛けて接続を断つという、不注意を要するトラップ機能を常に孕んだ電子の動脈。


えんりょ【遠慮】相手を尊重しているように見えて、実は自分が嫌われないための安全距離(セーフティ・ディスタンス)を保つ行為。


おいしい【美味しい】脳が糖分、塩分、脂質の完璧なコンボに屈服し、健康診断の結果という「未来の健康」を売って、今この瞬間の快楽を買い取った際の咆哮。


おいる【老いる】できることが減っていく代わりに、何を「しない」でいいかが明確になり、人生のノイズが少しずつ消えていく過程。


おいわい【お祝い】相手の幸運を祝福する名目で、金銭や品物を贈り、暗黙のうちに「返礼」という負担を押し付ける社会的な贈収賄。喜びを分かち合うというよりは、良好な関係を維持するための「更新料」としての側面がある。


おかえし【お返し】頂いた好意を、同等の価値を持つ金品で相殺し、精神的な「借り」を清算するための日本的な精算業務のこと。良好な関係を維持するというよりは、負債をゼロにしたいという義務感が生んだ贈答の永久機関。


おかわりじゆう【おかわり自由】「元を取る」という卑しい本能に火をつけ、胃袋の限界を超えて炭水化物を詰め込ませる店側の巧妙な罠。店を出る頃には、無料という言葉の代償として激しい胃もたれを支払うことになる。


おくすりてちょう【お薬手帳】自らの病歴という名の「弱点」を記録した医療機関におけるパスポート。持参を忘れることで、数十円の追加料金という名の罰金を徴収される。


おくりもの【贈り物】「いらない」と言えば角が立ち、「嬉しい」と言えば次の不要品を招く人間関係の静かなる時限爆弾のこと。


おこづかい【お小遣い】家庭内最高権力者から定期的に配分される極めて限定的な自由の予算。手にした瞬間の全能感はコンビニのレジを一度通るだけで跡形もなく消え去る運命にある。


おこのみやき【お好み焼き】「お好み」という自由を掲げながら、実際にはキャベツと小麦粉をソースの味で統一し、全てを茶色い円盤へと変貌させる粉ものの傑作。マヨネーズと青のりという化粧を施すことで、具材の正体を隠蔽する。


おさいせん【お賽銭】数円から数百円の小銭を神仏に投げ与え、それに見合わぬ壮大な幸福や利益を要求する極めて不平等な現世利益の取引。神頼みという名の、最もコストパフォーマンスを追求した行為。


おさけ【お酒】明日の元気の前借りと、言わなくていい本音のセット販売。


おさつ【紙幣】ただの紙切れに「価値がある」という集団催眠をかけることで成立している文明社会の引換券。手に入れる苦労に比べ、手放す際の手軽さが異常に高い、夢と欲望の薄っぺらな結晶。


おじぎ【お辞儀】頭を下げる角度によって、感謝、挨拶、あるいは謝罪という精神的な情報を相手に送信する日本的な身体言語。


おそれる【恐れる】まだ見ぬ未来を過大評価し、今の自分が持っている力を過小評価して勝手に身動きを封じる心のブレーキ。


おそろしい【恐ろしい】暗闇や化け物ではなく、自分が自分自身をコントロールできなくなる予感のこと。


おとしだま【お年玉】正月、親戚から子供の手に渡る期間限定の現物支給。その多くは親の「将来のために貯金しておいてあげる」という魔法の呪文により、そのまま家計という名のブラックホールへ吸い込まれる。


おとな【大人】①子どもの頃に想像していた「何でも知っている人」ではなく、単に「どう振る舞えばバレないか」を知り尽くした年季の入った子どものこと。➁自らの欲望に蓋をすることを覚え、社会の不条理を「仕方がない」という言葉で飲み込めるようになった、かつての子供。自由を差し出し、責任という名の足かせを買い取った者。


おとなしい【大人しい】内なる怒りや欲望を爆発させると社会的に抹殺されることを学習し、置物のように静止することを選んだ賢者のフリをする処世術のこと。


おふのひ【オフの日】「何もしない」という贅沢を享受するはずが、夕暮れ時になって「一日を無駄にした」という激しい後悔に襲われる不自由な休息。自ら課した予定のなさに、自らの存在価値を見失う空白の時間である。


おふろ【お風呂】入るまでは「人生最大の面倒事」だが、いざ入ると「永遠にここにいたい」と意見を180度変える人間の身勝手さが露呈する場所。


おまえのためをおもって【お前のためを思って】 支配欲や押し付けがましい善意を「愛」という名のオブラートで包み込んだ、最強の思考停止ワード。相手の反論を封じつつ、自分を「正しい側」という安全地帯に置くための卑怯な盾。言われた側は、この呪文の重圧によって自分の感情を殺し、相手の価値観という名のレールを歩まされることになるマインドコントロールの入門編。


おまかせ【お任せ】自分で決める責任を放棄し、万が一失敗したときに「選んだあいつが悪い」と心の中で毒づくための保険付きの丸投げ。


おまけ【おまけ】主役よりも魅力的な「小さな景品」を付加することで、不要な商品の購入を正当化させる消費の呼び水。手に入れた瞬間に満足し、数日後には部屋の隅でホコリを被ることになる。


おままごと【おままごと】子供たちが家庭という名の閉鎖社会をシミュレートする少し残酷な教育課程。泥の飯を食わされる父親役や、狭い空間で理不尽な命令を下す母親役を通じ、将来直面する現実の厳しさを予習する社交場。


おみくじ【おみくじ】数百円の対価として、一枚の薄い紙に運勢という名の「根拠なき予言」を記し、持ち主を一喜一憂させる宗教的なエンターテインメント。凶が出た際は結びつけることで厄を回避しようとする往生際の悪い抵抗がある。


おみまい【お見舞い】病人に「元気?」という最も答えにくい質問をぶつけ、同情という名のプレッシャーを届ける気遣いを装った訪問のこと。


おみやげ【お土産】自らが休暇を満喫したことに対する職場への免罪符として、駅や空港で義務的に購入される安価な菓子類。受け取った側も、その味よりは「一応の義理を果たされた」という事実のみを消費する形式的な平和維持活動。


おむらいす【オムライス】ケチャップで赤く染まった米を、薄い卵の布団で包み込んだ幼少期の郷愁を刺激する黄色い山。頂面に文字や絵を描くことで、自らの幼稚さを一時的に解放することを許される。


おもしろい【面白い】常識という名の檻が壊れ、世界の「裏側」がチラリと見えた時の高揚感。


おもてなし【おもてなし】過剰なまでの丁寧さで相手を包囲し、断りづらい空気を作る日本的なもてなしの戦術。裏に潜む「利益」や「評価」を笑顔という分厚い壁で完璧に隠蔽するお行儀の良い接待。


おりたたみがさ【折りたたみ傘】「雨が降るかもしれない」という不安を物理的な重みとして携帯し、降れば降ったでその小ささと畳む際の手間に憤慨する矛盾に満ちた雨具。


おれんじ【オレンジ】 食卓に「健康的な朝」という幻想を演出するジューシーな演出家。手で剥こうとすれば爪の間を黄色く染め、執拗なベタつきを数時間にわたって残し続けるという地味ながら確実な嫌がらせを忘れない。絞りカス(ジュース)にされることで初めて「100%」という名の完璧主義を名乗ることが許される。


かいこう【邂逅】偶然という名の神様が人生の長い廊下で仕掛けてくるただ一度きりの衝突。


かいもの【買い物】本当に必要な物を手に入れる行為ではなく、ストレスを「所有欲」という形で一時的に麻痺させる最も手軽なドーピングのこと。


かがみ【鏡】加工もフィルターもない残酷な真実を突きつける。毎朝「理想の自分」との乖離を見せつけ、化粧や身だしなみという名の修復作業を促す沈黙の監視者。


かぎ【鍵】家を出る直前の、最も急いでいる瞬間に限って姿を消す意地悪な金属。カバンの底や昨日の服のポケットに潜み、持ち主をパニックに陥れてからひょっこり現れるかくれんぼの達人。


かきのたね【柿の種】三日月型の辛い米菓子と、ピーナッツという名の油分を混ぜ合わせ、無限のループへと誘う。一粒ごとの主張は小さいが、気づけば一袋を平らげさせ、喉の渇きをビールで癒すよう人類を先導する。


かくていしんこく【確定申告】一年に一度、己の収支と向き合い、国家との間で繰り広げられる数字の格闘技。領収書の山に埋もれ、自分の稼ぎがいかに税金という穴に吸い込まれているかを痛感させられる大人の算数テスト。


かくれが【隠れ家】地図に載っていないのではなく、単に集客力が低くて潰れそうな店に対し「選ばれし者だけが知っている」という付加価値を上乗せしたマーケティング用語。


かけひき【駆け引き】自分の市場価値を実際よりも高く見せかけ、相手に「今ならお買い得かもしれない」と錯覚させるために行う恋愛市場における情報操作。


かこ【過去】脳内で都合よく編集され、二度と修正できないデータの残骸。現在の自分を正当化し、あるいは後悔の鎖で縛り付けるために用意された「終わった物語」の貯蔵庫。


かさ【傘】①空からの嫌がらせを退ける細い盾。必要な時に限って手元になく、雨が上がった瞬間に邪魔な棒へと姿を変える➁買った翌日にはどこかに置き忘れ、雨の日に限って手元にない。誰の所有物か曖昧なまま街を彷徨うビニール製の渡り鳥。


かさぶた【かさぶた】肉体が自ら施した応急処置。剥がしたいという強烈な誘惑を誘い、我慢と好奇心の境界線を試す褐色の蓋。早すぎる開封は、再度の流血という災難を招く。


かざる【飾る】ありのままの自分では愛されないという恐怖を、美しい虚飾でコーティングして隠し通そうとする切実な自己武装。


かすてら【カステラ】底面に貼り付いたザラメと紙の境界線上で、いかに多くの生地を救出できるかに全神経を注がせる長崎発祥の黄色いスポンジ。上品な甘さを堪能しつつも、紙に残った焦げ目に未練を残す。


かたづける【片付ける】物を捨てるのではなく、とりあえず見えない場所に押し込んで「なかったこと」にする視覚的な詐欺のこと。


かつさんど【カツサンド】分厚い豚カツをパンで拘束し、ソースの濃さで冷めても美味しいという強みを確立した勝利の食。勝負事の前によく摂取され、その重厚な脂質で「勝った」という実感を捏造する。


かっとう【葛藤】どちらを選んでも自分の一部が死ぬような二択の間で、心が千切れるまで続ける綱引きのこと。


かなしみ【哀しみ】大切な何かを失い、世界の色彩が一時的に剥がれ落ちた状態。過去への執着と現在への絶望が混ざり合い、時間の経過という唯一の治療薬を、涙と共に飲み込みことで安らいでいく。


がまん【我慢】心の中で相手を100回くらい処刑しながら、表面上は穏やかな微笑みを維持する高度な精神的筋肉トレーニング。


がむてーぷ【ガムテープ】粘着力という名の執着心であらゆる綻びを一時的に黙らせる応急処置の王。剥がした後に残るベタつきが、かつての補修の苦労を永遠に刻み込む。


かろりーめいと【カロリーメイト】栄養のバランスをブロック状に固め、味覚の喜びを最小限に抑えた、効率至上主義者のための携帯食。口内の水分を全て奪い去るという「乾燥の洗礼」が食事の本来の目的を忘れさせる。


かんきせん【換気扇】部屋の淀みや料理の煙を吸い込み、自らの羽根に脂を蓄積させる静かなる犠牲者。大掃除の際に初めて、その蓄積された「過去の罪(汚れ)」と対面することになる。


がんじー【ガンジー】「殴られても殴り返さない」という、一見弱腰に見える戦法で巨大な帝国に立ち向かったインド独立の父。断食と行進だけで世界を動かし、暴力よりも沈黙の方が強いことを証明したガリガリで不屈の聖者。


がんばる【頑張る】心のダムが壊れないギリギリのところで、自分という名の奴隷を励まし働かせること。


かんぶん【漢文】 古代中国の高度な知恵や説教を、「レ点」や「一二点」という名のパズルで無理やり日本語の順番に並べ替えて読む、倒錯した言語学。一見するとインテリジェンスが漂うが、その実体は「返り点」という名の交通標識に翻弄されながら逆走を繰り返す、不自然な読解ゲーム。何千年も前の思想家たちが説いた「道」や「徳」を学びながら、テストの点数という極めて世俗的な利益に執着するという壮大な矛盾を孕んだ科目。


かんぺき【完璧】一歩も動かないことを正当化するために、人間が発明した最も美しい言い訳。


きおく【記憶】心という名の有能すぎる編集者が、都合の悪いシーンをカットし、美しすぎる特撮を加えた自分専用のドキュメンタリー。


きかく【企画】他人の成功例を少しだけ加工して自分のものとして発表し、「自分には独創性がある」という幻想を視聴者に植え付けること。


きかん【気管】肺へと続く「空気専用のVIPレーン」。設計ミスで食道のすぐ隣に配置されたばかりに、時折迷い込んでくる米粒や水分を全力で排除する、24時間営業の警備員。一生懸命仕事をしているだけなのに、持ち主からは「変なとこ」という、まるで見知らぬ土地のような名前で呼ばれる悲劇の臓器。


きかんげんてい【期間限定】「今買わないと損」という強迫観念を植え付けることで、普段なら見向きもしない商品を喜んでカゴに入れさせる魔法の言葉。


きく【聞く・聴く】耳に入ってくる音の中から、自分の心が今一番「言われたい言葉」や「恐れている言葉」だけを勝手に抽出する偏った選別作業。


きげんぎれのちょうみりょう【期限切れの調味料】一度は期待を込めて購入されたが、冷蔵庫の奥地で「化石」へと変化した忘れ去られた風味。大掃除の際に発見され、自らの料理の幅の狭さを物理的に証明する。


ぎぜん【偽善】何もしない「本物の善」よりも、たとえ偽りであっても誰かを救おうとする実用的な愛のこと。


きたい【期待】相手の許可を得ることなく、勝手に背負わせた自分勝手な未来の借金。


きどく【既読】「メッセージは届いたが、返すほどの情熱は今この瞬間にはない」という残酷な事実を相手にリアルタイムで突きつけるデジタルな刃。


きねんび【記念日】「忘れること」が最大の罪とされる、平穏な日常に仕掛けられた記憶の地雷。過去の出来事を現在の愛情の証明として利用し、贈り物の価値で愛を測定される。


きぼう【希望】①「最悪ではない」という確信が持てない時にだけ、光って見える出口のサイン。➁絶望の底まで付き合ってくれる心強い相棒だが、時として「まだ行ける」という勘違いをさせて傷口を広げさせるサイコパスな応援団。


きゃんぷ【キャンプ】わざわざ不便な場所へ赴き、高価な道具を駆使して「不便さ」を解消することに情熱を注ぐ矛盾に満ちた休暇。自然を満喫するはずが、結局は設営と撤去に追われる屋外での引っ越し作業。


ぎゃんぶる【ギャンブル】「次は勝てる」という根拠なき確信を、現金で買い取る高揚感の切り売り。確率論という壁に正面衝突し、財布を空にして現実へ強制送還される自虐的な娯楽。


きゅうけい【休憩】仕事の手を止めてスマホを開き、他人のキラキラした生活を眺めることで、さらなる疲労と劣等感を自分に蓄積させる自傷行為。


きゅうりょう【給料】一ヶ月間の「自由」を会社に差し出した対価として受け取るが、家賃と税金によって瞬時に右から左へ受け流される一時的な預かり金。


きゅうりょうびのぜいたく【給料日の贅沢】一ヶ月の苦行に対する自らへの報酬として、普段は選ばぬ高価な食事や品物を選択する刹那的快楽のこと。翌日には家賃や光熱費の引き落としによって、元の慎ましい生活へと強制送還される。


きょういく【教育】社会の既存の枠組みに従順な人間を量産するための、長期間にわたる規格化工程。未知の可能性を「常識」という名の平均値に落とし込む組織的な調教。


きょうかん【共感】 ①相手の感情に同調しているフリをすることで、その場の空気を壊すリスクを回避する高度な保身術。➁他人の痛みを、自分の過去の傷跡に重ね合わせて確認する最も自己中心的な優しさ。


きょうじ【矜持】他人に理解されずとも、自分だけは自分を見捨てないという泥の中に立てた最後の旗印。


きょうしゅう【郷愁】美化された過去というフィルター越しに、戻れない場所を眺めて溜息をつく最もクリエイティブで不毛な現実逃避。


きんかくじ【金閣寺】 「圧倒的な成金趣味」と「宗教的権威」が黄金比で融合した、京都一まぶしい建築物。美しすぎるがゆえに、かつて一人の僧侶に「愛憎の果ての放火」という文学的な悲劇を演じさせた罪深い黄金の舎利殿。修学旅行生や観光客が「とりあえずここを見ておけば京都に来た証拠になる」という集団心理で押し寄せるSNS映えの先駆け的存在。


ぎんこう【銀行】預けた金を守る振りをしながら、その裏で誰かに貸し付けて利益を生む、スマートな金貸し。金がある時には低姿勢で、金がない時には残酷に背を向ける。


ぐち【愚痴】解決策を求めているふりをして、ただ自らの不満を他人に排泄し、相手の精神的な平穏を侵食するエゴイスティックな独白。聞き手に同調という名の重労働を強いる。


くつした【靴下】洗濯するたびに片方が神隠しにあい、残された一方が永遠にパートナーを待ち続ける孤独な衣類。親指に穴が開いていることに気づくのは、決まって人前で靴を脱ぐ直前である。


くつべら【靴べら】かかとという名の肉体を、靴という名の窮屈な空間へと滑り込ませるための仲介役。これがない時は指を靴に挟みながらもがく姿を呈することになる。


くらべる【比べる】他人の「編集済みの表舞台」と自分の「無修正の舞台裏」を照らし合わせてわざわざ自分を惨めにする自傷行為。


ぐらたん【グラタン】ホワイトソースとチーズの海に、具材を幽閉した冬の料理。こんがりと焼けた表面の「焦げ」こそが本体であり、猫舌を嘲笑うような高熱をフーフーという溜息と共に飲み込む。


ぐるちゃ【グルチャ】抜けるタイミングを完全に失った数名から数十名が、互いの顔色を伺いながら無難なスタンプを投げ合うデジタルな義務教育。


けいけん【経験】過去に犯した数々の大失敗を、後輩や部下の前で「教訓」という名の武勇伝にすり替える高度な編集技術。


けいひ【経費】本来はただの贅沢品や私的な趣味の道具を、「これは撮影に必要だった」という魔法の言葉で納税額から控除しようとする高度な節税パズル。


けいやく【契約】「そんなはずじゃなかった」という未来の絶叫を、あらかじめ小さな文字の羅列で封印しておく法的な言葉。


けーき【ケーキ】砂糖と脂肪の塊に「お祝い」という特別な意味を持たせて高値で取引される甘い甘い賄賂。空腹を充たすためではなく、心の隙間を一時的に糖分で埋めるための一瞬の多幸感の塊。


けっこん【結婚】①「この人となら不幸になってもいい」という一時の錯覚を、三十年以上の住宅ローンと共に現実化する長期契約。➁「愛」という名の不安定な高純度燃料が尽きた後、残った「生活」と「忍耐」という名の予備バッテリーだけで走り続ける人生最長の長距離ドライブ。


けんこう【健康】①持っている間は無料だが、一度損なうと取り戻すために全財産を注ぎ込みたくなる人生というゲームにおける最強のステータス異常耐性。➁病気という自覚症状がないだけで、緩やかに死に向かっていることに気づいていない幸運な猶予期間。③「今のところ目立った故障がない」というだけの危うい均衡状態であり、失った瞬間に初めてその真の価値に絶望する世界で最も高価な資産。サプリメントやジムの会費という名のお布施を捧げ続けることで「老い」という名の倒産を少しでも遅らせようとする終わりのないメンテナンス作業。


けんこうしんだん【健康診断】数値化された自らの不摂生を突きつけられ、死の足音が近づいていることを年に一度確認する定期的な宣告。前日の禁酒という無意味な足掻きで審判の結果を歪めようとする。


けんこうのためのうぉーきんぐ【健康のためのウォーキング】歩くという本来の移動手段を「運動」という目的へと格上げし、最後は必ず出発地点に戻ってくるという物理的には一歩も進んでいない非効率な周回運動。


げんごか【言語化】脳内に散らかった「ヤバい」「すごい」「無理」という語彙力の墓場を片付け、他人が理解できる形に翻訳する整理整頓。霧のように正体不明だったモヤモヤを、言葉という杭で地面に固定し、自分自身の正体を暴くための知的な棚卸し。


げんじものがたり【源氏物語】光り輝く皇子が、理想の女性を自分好みに育て上げようとする千年前の壮大な育成シミュレーション。現代の不倫ドラマや恋愛小説の源流であり、古文の授業で受験生を最も苦しめる最強のラスボス


けんぜん【健全】上司の理不尽な叱責を「ただの雑音」として聞き流し、心の中で相手を100回処刑しながらも、翌朝には何事もなかったかのように満員電車に揺られることができる鋼の精神状態。


げんだいぶん【現代文】 「この時の筆者の気持ちを答えよ」という、筆者本人ですら正解を外しかねない究極のマインドリーディング。他人の書いた数千字の独り言を「論理」という名のメスで無理やり解剖し、作問者の意図という名の「たった一つの正解」を当てる忖度(そんたく)のスポーツ。


けんとうする【検討する】「何もしない」という結論をいかに時間をかけて、かつ真剣な表情で相手に納得させるかを追求する政治的サボタージュの極致のこと。


けんとうします【検討します】「やりたくありません」を、大人の配慮という名のオブラートで包み隠した最も丁寧な拒絶のテンプレート。


こいんぱーきんぐのりょうきん【コインパーキングの料金】「最大料金」という甘い言葉の罠に、分刻みの加算という現実を隠蔽した時間貸駐車場。精算機に表示される想定外の数字が、都会での「立ち止まること」の対価の重さを教える。


こいんらんどりー【コインランドリー】家庭の洗濯機では手に負えぬ汚れや大物を、業務用の力技で解決する洗浄の待合室。回転するドラムを眺めながら、自らの生活の淀みも共に洗い流されることを期待する。


こうかい【後悔】①過去の自分に復讐しようとして、現在の自分の足を引っ張ってしまう不毛な時間旅行。➁終わった物語の「もしも」という別ルートを脳内で再生し続け、現在の幸福度を自ら引き下げる不毛な脳内上映会。


こうきしん【好奇心】禁止された扉や、未知の領域に首を突っ込み、自らの平穏をリスクに晒してまで情報を求める知的な飢えのこと。「知らなくていいこと」まで知ってしまうことで、幸福を損なうリスクを孕んでいる。


こうこつ【恍惚】理性という重石が外れ、自分が自分であることを忘れてしまうほどの毒を孕んだ幸福。


こうし【孔子】「礼」や「徳」という名の美徳で人間を縛り、秩序ある社会という名の「壮大な規律」を説いた東洋最大の教育系インフルエンサー。本人の意図を超え、数千年にわたり「目上の者に逆らうな」という都合の良い縦社会を正当化し続ける道徳界の絶対的インフルエンサー。


こうしゅうでんわ【公衆電話】街の片隅で緑色の体躯を晒し、誰もが持っているスマートフォンという「全知全能の板」の電池が切れた瞬間にのみ、救世主として崇められる前時代の遺物。


こうにゅうりれき【購入履歴】自分の物欲の足跡をデジタルに記録した最も生々しい家計の告白書。深夜の勢いで購入した不要品の数々が、過去の自分の愚かさを残酷に証明する。


こうやく【公約】当選というゴールに辿り着くためだけに撒かれる賞味期限が「投票日の翌日」までしかない最高級のファンタジー。


こーひー【コーヒー】眠気と引き換えに胃壁を削る、苦い液体燃料。仕事へのやる気を「捏造」し、一時的に脳を騙して机に縛り付けるための合法的な劇薬。


こーんすーぷ【コーンスープ】底に沈んだ最後の一粒のコーンを巡り、スプーンや飲み口の角度を駆使して格闘しなければならない。缶タイプにおいては、その一粒を諦めるかどうかに個人の忍耐力が試される。


ごきぶり【蜚蠊】三億年前から姿を変えず、核戦争すら生き抜くと豪語する生物界の最古参。カサカサという羽音一つで家主の自尊心を粉砕し、新聞紙を構えた人間との間に命懸けの「かくれんぼ」を強要する黒光りする不法侵入者。


ごしゅいん【御朱印】神仏への信仰心よりも、「スタンプラリーを完遂したい」という収集癖が勝った結果としての集印。自らの徳を積むためではなく、埋まっていく帳面を眺めて満足感を得るための精神的なコレクション。


こたつ【炬燵】一度足を踏み入れた者を「怠惰」という名の沼に引きずり込み、二度と出られなくする下半身専用の拘束具。重力と温熱の力で人間の脊髄を溶かし、数メートル先の「リモコン」や「ティッシュ」を一生手の届かない宝物へと変貌させる家庭内ブラックホール。


こだわり【こだわり】誰も気づかないような微差に莫大なコストをかけ、その差を理解できない客を内心で見下すことで作り手の肥大化した自尊心を維持する行為。


こっかい【国会】言葉の応酬がパフォーマンスとして繰り広げられる最高権力の劇場。居眠りやヤジが真剣味を打ち消し、結論は開会前に既に決まっているという様式美を重んじる茶番劇。


こどく【孤独】周りに誰もいない状態ではなく、自分という唯一の理解者と二人きりになれる贅沢な時間。


ことば【言葉】①心という広大な宇宙を、たった数文字の記号に無理やり押し込めて発送する不完全な荷物。➁意思疎通という名の幻想を支える、不完全なコミュニケーションの記号。時には人を救う劇薬となり、時には人を呪い殺す見えない凶器となる。本心を隠すための防具としても、相手の急所を突くための武器としても使われるが、使い方を誤ると真っ先に自分自身の品性を刺してしまう取り扱い注意の精神的ツール。


ことわる【断る】相手を拒絶することではなく、これ以上自分を削れば自分が壊れてしまうという境界線(デッドライン)を死守するための自衛本能。


ごひゃくえんだま【五百円玉】硬貨の中で唯一、紙幣に近い尊厳を保つ金色の円盤。ワンコインという甘い言葉に誘われたランチを支え、あるいは貯金箱という牢獄に閉じ込められて忘れ去られるささやかな資産家気分の残滓。


こぶん【古文】 千年以上前に死に絶えた貴族たちの「愚痴」や「色恋沙汰」を、現代の若者が必死に解読するという壮大な時間と手間の浪費。助動詞の活用という名の呪文を暗記し、主語が誰か分からない迷宮を彷徨い歩く文学の形を借りた暗号解読演習。現代ではほぼ役に立たないが、かつての日本人がいかに月の美しさに泣き、暇を持て余していたかを知るためだけに入試の得点源として利用される。


ごほうび【ご褒美】 「自分はよく頑張った」という主観的な免罪符を発行し、予算外の浪費や高カロリーの摂取を正当化するセルフ買収工作。労働で失った精神の平穏を高級なスイーツや買い物で買い戻そうとする試みだが、後のクレジットカードの請求書や体重計によって、その幸福が「前借り」に過ぎなかったことを突きつけられる一時的な鎮痛剤。


こらぼ【コラボ】お互いのフォロワーという名の「獲物」を効率よく交換するために、カメラの前だけで親友のふりをするビジネスのこと。


ころっけ【コロッケ】ジャガイモを潰し、衣を纏わせて揚げることで安価な素材を豪華な主菜へと格上げした揚げ物。一口噛めばサクッという音と共に、熱い蒸気が口内を襲撃する不意打ちの火傷製造機である。


ころんぶす【コロンブス】 目的地(インド)を大幅に勘違いしたまま航海し、偶然見つけた島を「インドだ」と言い張ることで歴史に名を刻んだ、世界一ポジティブな迷子。圧倒的な行動力と図々しさによって、先住民にとっては「招かれざる厄災」を、欧州にとっては「搾取のブルーオーシャン」を切り拓いたグローバル経済の強引な創始者。


こんでんえいねんしざいほう【墾田永年私財法】「頑張って耕せば、その土地はずっと自分のもの」という、人間の所有欲に火をつけた古代の劇薬。名前の響きが良すぎて、内容の重要性よりも「口に出したくなる日本語」として受験生に深く愛される私有財産制の出発点。


こんびに【コンビニ】100円の飲み物を買いに入ったはずが、レジ横の唐揚げや新作スイーツに捕まり、気づけば1000円札が消えている魔の空間。


こんびにべんとう【コンビニ弁当】空腹を最短距離で埋めるための保存料と企業努力の結晶。上げ底という視覚的な偽装に憤りつつも、電子レンジで加熱された温かさに一時的な安らぎを見出す独身貴族のお供。


さいのう【才能】①他人が「努力」と呼ぶ苦行を、ただの「呼吸」だと思える呪いのような適性。➁他人の血の滲むような努力を、自分が努力しないことへの正当な言い訳として片付けるための便利な魔法の言葉。③努力という言葉を無意味にさせる、残酷な初期設定。周囲の期待を背負わされ、その重圧によって自滅するリスクを孕んだ神からの不平等な贈与。


さいふ【財布】希望(現金)と現実(領収書)が同居する小さな革の牢獄。中身が軽くなるほど持ち主の足取りが重くなる経済的生命力のバロメーター。


さうな【サウナ】わざわざ金を払って熱い木の箱に閉じ込められ、その後の水風呂で「生き返る」という自作自演を楽しむ我慢大会。心臓をバクバクさせながら、脳内に快楽物質を無理やり呼び出す合法的なトランス状態の入り口。


さがしもの【探し物】目の前にあるはずの物体がなぜか視界から消滅する脳のバグ。諦めて新品を買った直後に、最も分かりやすい場所からひょっこりと現れる。


さがす【探す】本当は答えがどこにあるか薄々気づいているのに、それを受け入れる勇気が出るまでわざと遠回りをして時間を稼ぐ行為。


さかもとりょうま【坂本龍馬】 幕末という名の「ブラック業界」に風穴を開けた伝説のフリーランス・コンサルタント。薩摩と長州という犬猿の仲を仲介する驚異のコミュ力を誇り、ブーツにピストルという「形から入る」スタイルで日本の夜明けをプロデュースした幕末のインフルエンサー。


さきのばし【先延ばし】「今の自分」が負うべき苦しみを、未来の「全くの他人同然の自分」に無責任に押し付ける最も身近なパワハラ。


さくし【策士】他人の手柄を自分のものにし、自分の失態を部下のせいにするタイミングを秒単位で測ることができる高度な責任転嫁のプロフェッショナル。


ざつだん【雑談】沈黙の気まずさを埋めるために、天気や体調といった「どうでもいい情報」を交換し合うこと。中身がないからこそ、相手との距離を測るための最も重要なセンサーとなる。


さび・しい【寂しい】隣に誰もいないことではなく、隣に誰かがいるのに心が触れ合わない温度差のこと。


さぶすく【サブスク】「所有」という重圧から解放される代わりに、解約という名の「手続き」を忘れる限り永遠に財布から小銭が漏れ出し続ける現代のデジタル年貢。使っていない期間も料金という名の「生存証明」を徴収し続け、利用者を「元を取らなければ」という強迫観念で縛り付ける終わりなきレンタル地獄。


さぷりめんと【サプリメント】不規則な生活への免罪符として、一粒の錠剤に「健康」を託す現代の信仰告白。実際に効いているかよりも、飲んでいるという事実によって安心を買う精神的な保険。


さむねいる【サムネイル】驚き、怒り、悲しみを200%増しで表現した顔写真とともに、動画の内容とは微妙に異なる期待感を煽る「合法的な視覚詐欺」看板。


さらだ【サラダ】「今日は健康に気をつかった」という自己満足を買うための葉っぱの盛り合わせ。実際にはドレッシングという油を大量に食べていることに、誰もが目をつぶっている。


さらりーまん【サラリーマン】自分の人生という名の「自由時間」を会社に卸売りし、その対価として「安定という名の鎖」と「毎月決まった額の餌(給与)」を受け取る現代の労働者。


ざんぎょう【残業】仕事が終わらないからではなく、「先に帰る奴はやる気がない」という無言の同調圧力に屈して、オフィスという名の檻に居残り続ける無言の耐久レースのこと。


さんぐらす【サングラス】強い日差しを遮る実用性よりも、自分の目線を隠し、何となく「強者」になった気分を味わうための顔面用シェルター。似合っていない時の、周囲の冷ややかな視線だけは遮ることができない。


さんこうしょ【参考書】レジで会計を済ませた瞬間に「知能が上がった」という全能感を与えてくれる一冊数千円の精神安定剤。


さんどいっち【サンドイッチ】パンの間に具材を幽閉し、片手での食事を可能にしたギャンブル好きの貴族が生んだ労働効率化軽食。断面の美しさに心躍らせるも、最後の一口でパンだけが残るという計算の狂いを孕んでいる。


さんぱつ【散髪】「少し整えるだけ」と伝えたはずが、鏡の中に全く見知らぬ他人が現れる、美容師とのコミュニケーションの事故。切られすぎた髪を前に「いい感じです」と嘘をつく数週間に一度の忍耐のこと。


しあわせ【幸せ】手に入れた瞬間に「これを失うのが怖い」という新しい不安をセットで連れてくるなかなかに意地悪な感情。


じごく【地獄】死後の世界にあるのではなく、理想の自分と現実の自分が、鏡の前で鉢合わせした瞬間に生まれる場所。


じこけいはつ【自己啓発】「今の自分ではダメだ」という不安を燃料に著者の印税生活に貢献しつつ読んだ直後だけ全能感に浸れるインスタントな精神安定剤。


じここうていかん【自己肯定感】根拠の有無にかかわらず自分を愛するという、現代人が最も欠乏し、かつ渇望している精神的な栄養素。


じここうていかんのなみ【自己肯定感の波】SNSの「いいね」一つで有頂天になり、誰かの何気ない一言でどん底に叩き落とされる、他者の視線に依存した情緒の不安定な揺らぎ。自分自身による承認を他人に委託した結果の副作用。


しごと【仕事】人生の黄金時間を切り売りし、生存に必要な紙切れを手に入れるための我慢比べ。他人の欲望を肩代わりし、自分の個性を摩耗させて社会の隙間を埋める苦行。


じすい【自炊】30分の調理と10分の後片付けを費やし、コンビニ弁当と大差ない味を生み出すという最も非効率で贅沢な時間の浪費。


しせい【姿勢】世間体と重力の間で妥協点を探る肉体のポージング。やる気の欠如や老化を隠蔽するための背伸びであり、スマートフォンの画面に吸い込まれる現代人の「曲がった本質」が露呈する立振る舞い。


じせだい【次世代】今の世代が解決できなかった問題を、さも「希望」であるかのように装って丸投げするための最も便利なゴミ捨て場の名称。


しつぎ【質疑】相手を論破することそのものが目的となり、解決策よりも「問い詰める快感」を優先する言葉の格闘。テレビカメラを意識したパフォーマンスにより、本質的な議論は常に脇へ追いやられる。


しっこく【桎梏】自由を願いながら、実は自分が一番手放したくない「慣れ親しんだ不自由」という名の鎖。


しっと【嫉妬】①自分には所有権のない財産を、他人が楽しそうに使っているのを窓の外から眺めて勝手に憤慨する最も生産性の低い精神活動。➁他人の光が眩しすぎて自分の影の濃さを直視してしまった時に生まれる心の火傷。③他者の幸運を自らの不運と誤認し、勝手に被害者意識を募らせる心の猛毒。相手を引きずり下ろすことで、自分の立っている場所の低さを正当化しようとする無力な怒りのこと。


しっぷ【湿布】筋肉の悲鳴をメントールの冷気で鎮め、自らが満身創痍であることを周囲にその独特な臭いで知らしめる粘着剤。剥がす際、産毛への攻撃という最後の抵抗を試みる。


しつれん【失恋】昨日まで「世界の中心」だった人物が、今日から「ただの通行人A」へと強制的に格下げされる予告なしの身分剥奪。


しなじー【シナジー】「相乗効果」を意味するが、実際には一足す一が二以下になるような不自然な組織統合や協力関係を正当化するための便利な言葉。


しゃしん【写真】目の前の風景を楽しむことよりも、「記録に残すこと」に執念を燃やし、結局は一度も読み返さないデジタルデータの山を築く保存活動。実物よりも美しく加工することに心血を注ぎ、自らの記憶を鮮やかな嘘で上書きする。


しゃちく【社畜】 会社という名の牧場で飼い慣らされ、自意識とプライベートを家畜のように差し出す現代の労働形態。満員電車という名の家畜運搬車に揺られ、定時という概念を忘却することで組織の維持という崇高な(?)目的のために自己を滅却した魂のホワイトカラー。


しゃっきん【借金】未来の自分という、最も断りにくい相手から「時間」と「労力」を強引に前借りする契約。


しゃどうばん【シャドウバン】自らの発信が透明な壁によって遮断され、叫びが誰にも届かぬ「情報の孤島」に幽閉されるSNS上の刑罰。理由も告げられぬまま、デジタルな世界から静かに抹殺されること。


しゃぶしゃぶ【しゃぶしゃぶ】高価な肉を熱湯にくぐらせ、脂を落とすという建前で自らを納得させる贅沢な入浴の儀式のこと。自ら調理を行うという労力を払いながら、提供される「胡麻だれ」の味に全てを支配される本末転倒の美食。


じゃんけん【じゃんけん】三つの型に世界の運命を委ね、責任という名の負担を押し付け合う最も原始的な紛争解決法。実力や努力を一切排除し、運という不確かな力で勝敗を決める公平という名の無責任な遊び。


じゆう【自由】①「誰のせいにもできない」という底なしの恐怖と引き換えに手に入れるガードレールのない崖っぷちの散歩。➁何でもできる権利のことではなく、失敗したときに誰のせいにもできないという孤独な責任のこと。③誰からも命令されない代わりに、失敗した時に「あいつのせいだ」と指を差す相手を失う最も孤独で贅沢な特権。


しゅうがくりょこう【修学旅行】「学習」という大義名分を隠れ蓑にして、夜通しの暴露話や枕投げに心血を注ぐ集団宿泊イベント。土産物屋で「木刀」という日常生活で全く使い道のない武器をなぜか全員が買い揃えてしまう理解を絶する集団心理の実験場。


しゅうごうしゃしん【集合写真】後で確認した際、自分の顔の写り具合だけを真っ先にチェックし、納得がいかなければその写真自体の価値を否定する人間のエゴの記録。目をつぶっている者が必ず一人は存在する。


しゅうごうばしょ【集合場所】目的地への第一歩として設定されるが、しばしば「自分の想像していた場所」と「相手が立っている場所」との乖離によって、友情にささやかな亀裂が入る。


しゅうせいてーぷのはがれ【修正テープの剥がれ】過去の過ちを白く塗りつぶしたはずが、その上から文字を書こうとした瞬間にめくれ上がり、隠したかったはずの事実をさらに醜悪に晒し出す不完全な隠蔽。


しゅうでん【終電】街の賑わいを強制的に終了させ、酔客を現実へと送還する最後の箱舟。乗り遅れた瞬間に高額なタクシー代か絶望的な夜明かしという罰ゲームが確定する。


じゅうでん【充電】現代人の精神的な余裕と100%連動し、残り10%を切ると「自分自身の寿命」が迫っているかのような錯覚に陥らせるスマホという名の神の燃料。


しゅうまい【焼売】餃子のように横に広がる野心を捨て、垂直方向にのみ存在を主張する点心界の円柱。頂点に置かれたグリーンピースがかつての彩りの名残を留める。


しゅうまつ【週末】やりたいことをリストアップする金曜夜がピーク。実際にはYouTubeを眺めているうちに日曜の夜を迎え、絶望の中でサザエさんを見る時間。


じゅうりん【蹂躙】誰かが大切に育てた心の花壇を、土足であることすら気づかずに踏み荒らす無自覚な暴力。


しゅーるすとれみんぐ【シュールストレミング】 「食べ物」という名のカテゴリーに誤って分類された北欧発の生物兵器。缶を開けた瞬間に鼻腔を蹂躙し、周囲の人間関係までをも崩壊させる発酵という名の「腐敗の極北」。味の感想よりも「いかに異臭に耐えたか」という度胸試しの小道具として世界中に憎まれ、愛される世界一危険な保存食。


しゅくしゅくと【粛々と】国民の反対や不満を一切無視し、あらかじめ決まっていたシナリオ通りに物事を強行突破する際に使われる最も冷酷な定型句。


しゅくだい【宿題】家庭という聖域にまで入り込んでくる学校からの余計なお節介。子供から自由を奪い、大人には「教える」という名目の忍耐を強いる教育の皮を被った嫌がらせ。


しゅっせ【出世】自分を殺して組織の歯車になりきった報酬として、今度は「部下の心を殺す側」に回る権利を手に入れること。


しゅみ【趣味】「役に立つか立たないか」という資本主義の物差しから逃げ出し、ただただ金をドブに捨てて悦に浸る贅沢な道楽。


じょうきゅうのらん【承久の乱】「神の血筋」という名のブランド力が、「武士」という名の物理的暴力に完膚なきまでに叩き潰された中世最大のパワーバランス再編。経営層(朝廷)が現場の武闘派(幕府)に無理なリストラを仕掛け、逆に会社を乗っ取られる結果となった身の程知らずな下剋上のプロローグ。


しょうきんのつかいみち【賞金の使い道】手に入る前から捕らぬ狸の皮算用を繰り返し、実際に手にすると周囲への「お裾分け」や祝杯によって、手にする前よりも手元から金が消えていく不思議な現象。


じょうしき【常識】①かつて誰かが勝手に決めたルールを、さも「宇宙の真理」であるかのように装って若者を縛り付ける、目に見えない鎖。➁思考を停止した人々が、自分たちの群れからはみ出した者を叩くために使う使い古された鈍器。


しょうじき【正直】自分を傷つけるリスクが最も高い一方で、最も信頼を稼ぐことができるギャンブル性の高い投資。


しょうじき【正直】美徳とされているが、実際に貫き通すと周囲から浮き、人間関係を粉砕する破壊力を持った劇薬。「正直に言ってごらん」という言葉ほど、正直に答えてはいけない罠はこの世にない。


しょうどうがい【衝動買い】「必要」ではなく「欲しい」という一時の感情に支配され、未来の自分に支払いの責任を丸投げする刹那的な快楽のこと。手に入れた瞬間に熱が冷め、クローゼットの肥やしを増やすことになる。


しょうにんよっきゅう【承認欲求】 ①SNSという名の果てしない砂漠で、「いいね」や「リポスト」という名のわずかな水分を求め続ける、現代人の終わりのない渇き。他人の瞳という鏡に映る自分だけを「真実」と思い込み、自分自身の価値という名の株価を他人に操作させるデジタル時代の自縄自縛。➁他者の視線という名の「栄養」を摂取しなければ自らの存在を維持できない精神的な飢餓状態。見映えのする虚像を放流し、数字という空虚な称賛を貪る終わりなき渇き。


じょうねつ【情熱】最初は世界を変える火に思えるが、管理を怠ると自分自身を焼き尽くし、あとには「燃え尽き症候群」という灰だけを残す危険物。


じょうはつ【蒸発】熱い風呂から上がった瞬間に、全身の水分と「やる気」が湯気と共に空気中へ霧散する現象。


しょうひぜい【消費税】買い物の喜びに対し、国が「手数料」として強制的に上乗せしてくる拒否権のない罰金。


しょうみきげん【賞味期限】メーカーが保証する「美味しさ」の猶予期間。これを一分でも過ぎた瞬間に、食品が「毒」に変わるかのような錯覚を消費者に与える。


しょーとけーき【ショートケーキ】真っ白な生クリームの雪原に、一粒のイチゴを鎮座させた日本的洋菓子の完成形。イチゴをいつ食べるかという決断に個人の性格と人生観が凝縮されている。


しょーとどうが【ショート動画】数秒の刺激を際限なく供給し、集中力を細切れにする中毒性の高い娯楽。気づけば数時間を失わせる現代の時間泥棒。


じょぎんぐ【ジョギング】目的地のない疾走を自らに課し、心拍数の上昇と筋肉の疲労を「健康」という名の通貨に換える修行。周囲を走る他者との無言の競り合いに、自らの負けず嫌いを露呈させることもしばしば。


しょくば【職場】「社会貢献」という名の建前を盾に、人生のゴールデンタイムを賃金と引き換えに安売りする、公開型の密室劇。上司の機嫌という名の「天気予報」に一喜一憂し、自意識という名の「不要品」をロッカーに預けて歯車になりきる終わりなき集団演技の稽古場。


しょぼい【しょぼい】メニュー写真の豪華さと、目の前に現れた現実の貧相さとのギャップに絶望し、期待という名の高層ビルから突き落とされた瞬間のやるせない喪失感のこと。


じりつ【自律】他人に命令される代わりに、自分の中に「最も厳しい上司」を雇い入れて24時間自分を監視させるセルフ監視社会。


しる【知る】無知という名の平和な楽園から追放され、二度と戻れなくなること。


しんかんせん【新幹線】 日本の主要都市を数時間で繋ぎ「日帰り出張」という名の過酷な労働スタイルを可能にしてしまった超高速のビジネス移動装置。車窓から流れる景色を愛でる余裕などなく、狭い座席でPCを叩き続ける社畜たちのために高額な運賃と引き換えに「時間」を切り売りする陸上の弾丸列車。


じんざい【人財】人間を「材料」ではなく「財産」と呼ぶことで、より高度な搾取と献身を可能にした経営用語。実際には、利益を生まなくなった瞬間に、ただの「廃棄物(余剰人員)」へと格下げされる。


しんし【真摯】どんなに厳しい追及を受けても、まばたき一つ変えずに同じフレーズを繰り返し、相手の戦意を喪失させることができる鉄の心臓と面の皮の厚さを兼ね備えた状態。


しんじつ【真実】客観的な事実のことではなく、最後に声の大きかった者が勝手に決める歴史の結論。


しんじる【信じる】裏切られる可能性をあえて視界から消去し、相手という不確定な存在に自分の命運を丸投げするギャンブル。


じんせい【人生】①リセマラ不可、セーブ不可、そして初期ステータスの格差があまりに激しい、超ハードモードのクソゲー。幸福という名のバフアイテムを奪い合い、老化という名のデバフに抗いながら、死という名の強制終了まで時間を潰す壮大なイベント。攻略本(宗教や哲学)は山ほど出版されているが、どれ一つとして自分のバグ(不運)を直してはくれない。グラフィックだけは無駄に良い。➁死ぬまでの暇つぶしをいかに重大な任務だと思い込めるかを競う一人用ゲーム。


じんせいのけいかく【人生の計画】未来を支配できているという万能感を味わうために作成される、美しい設計図。実際には予期せぬトラブルや自らの気まぐれによって、最初の一行目から修正を余儀なくされる現実という名の荒波に流されるためのもの。


しんちょう【身長】実際より数センチ上乗せして申告することで、ささやかなプライドを死守しようとする。


しんねんのほうかい【新年の抱負】一月の間に霧散することを前提に、新たな自分を捏造するために掲げられる期間限定の希望。前年の挫折を記憶から抹消し、再び「三日坊主」へのカウントダウンを開始する形式的な宣誓のこと。


しんはつばい【新発売】中身は従来品と大差ないものの、パッケージの色彩を数パーセント変えるだけで消費者の好奇心を刈り取る効率的な在庫回転システム。


じんみゃく【人脈】困った時に助けてくれる友人のことではなく、いざという時に「利用できるかもしれない」という下心を、名刺交換という名目でコーティングしたもの。


しんや【深夜】脳が「過去の恥ずかしい記憶」をランダムに上映し始め、一人で布団の中で悶絶するために用意された残酷なプライベート上映時間。


しんやのぽちり【深夜のポチり】判断力が低下した午前二時に、画面の中の「購入する」ボタンを押すことで、一瞬のドーパミンを得る自傷的な快楽のこと。


しんらい【信頼】裏切られるリスクを100%承知の上で、相手に自分の急所を預けるという最も勇敢で無謀な賭け。


すいとう【水筒】「節約」という名の美徳を液体と一緒に詰め込み、持ち運ぶたびに自らの肩を痛めつける携帯型の生命維持装置。ふとした瞬間にカバンの中で「反乱(漏水)」を起こし、中身の書類を絶望の淵へ叩き落とす。


すたーばっくす【スターバックス】リンゴマークのノートPCを誇示するための展示会場。呪文めいた注文を乗り越えた者だけが許される空間を借りた「意識高い自分」の自撮りスポット。


すてれおたいぷ【ステレオタイプ】 一人ひとりの複雑な個性を理解する手間を省くために、脳が勝手に用意した解像度の低すぎる「色眼鏡」。


すぬーずぼたん【スヌーズボタン】起床という冷酷な現実を数分おきに小出しにし、絶望を細切れに味わうための延命装置。「あと五分」という甘美な嘘を重ねることで、最終的に訪れるパニックをより劇的なものにする朝のトリガー。


すぶた【酢豚】肉を揚げるという激しさを、酢という酸味で宥めようとする矛盾した一皿。具材の中に紛れ込んだパイナップルを、彩りと認めるか、不必要な侵入者とみなすかで食卓の平和が決まる。


すまほ【スマホ】指先一つで世界と繋がる万能感を餌に、人間の集中力と視力をじわじわと削り取る「現代人の外部臓器」。一日の大半をその発光体に捧げ、通知という名の鞭で飼い慣らされる、デジタル時代の首輪。


すまほのつうちおん【スマホの通知音】パブロフの犬のごとく、音が鳴るたびに画面を覗き込むことを条件付けられた、現代人の反射行動。通知の中身が広告であっても、鳴らなければ不安を感じるというデバイスへの隷属。


せいい【誠意】具体的な解決策や金銭的補償を提示できぬ側が、言葉の熱量と頭の下げる角度だけで事態を収束させようと試みる精神的な通貨のこと。


せいかい【正解】選ぶものではなく、選んだ後に「これで良かったのだ」と自分を洗脳し続けた結果のこと。


せいかく【性格】長年の経験から蓄積された「自分を守るための(くせ)」の集大成。他人に指摘されると腹が立ち、自分では変えられない厄介な所有物。


せいぎ【正義】①自分の嫌いな相手を合法的に、かつ道徳的優位に立って殴るために掲げる最も都合の良い盾。➁振りかざした瞬間に、自分を「善良な被害者」へと変貌させる最も中毒性の高い劇薬。


ぜいきん【税金】①「人間としてこの国に存在している」というだけで徴収される高額な割にカスタマーサービスの評判がすこぶる悪いサブスク代。➁この世に生まれたこと、そして生き続けることに対して課される、拒否権のない会費。社会を回すための潤滑油として回収され、自分の手元からは跡形もなく消え去る強制的なお裾分け。


せいこう【成功】「運が良かっただけ」という真実を「私の努力の賜物だ」という物語に書き換える権利を得ること。


せいじか【政治家】「国民のため」と叫びながら、実際には「次の選挙」のことしか考えていない権力に取り憑かれた人々。言葉で世界を変える夢を語りつつ、現実の泥沼で自らも泥に染まっていく高貴な理想と卑俗な現実の間を彷徨う生き物。


せいじか【政治家】他人の財布(税金)を使って、自分の理想や利権を形にするための「椅子」を奪い合う最も泥臭い椅子取りゲームの参加者。


せいじしきん【政治資金】①法律の網の目を潜り抜けるための最も高価な「潤滑油」。表向きは「志」、裏向きは「貸し」と「借り」。➁民主主義という名の芝居を維持するためのガソリンであり、しばしば不透明な経路を通って不祥事という黒煙を上げる軍資金。透明性を謳いながらも、その実態は「秘書の責任」という闇に消えることが多い。


せいしゅん【青春】その渦中にいる時は単なる「泥臭い日常」で、過ぎ去った瞬間に「黄金」へと変わる魔法の期間。


ぜいたく【贅沢】「生きるために不要なもの」をあえて手に入れることで、自分が家畜ではないことを証明しようとするささやかな抵抗のこと。


せいちょう【成長】一年前の自分を「なんてバカだったんだ」と嘲笑えるようになること。なお、来年の自分も今の自分を同じように嘲笑うことが予定されている。


せいふく【制服】個人の趣味を封じ込め、組織の一員であることを強制的に認識させるための同一規格の被服。脱いだ瞬間に「自分」を取り戻し、着ている間は「何者か」を演じ続けるオンとオフの境界線。


せいりけん【整理券】混乱を避けるために与えられる、行列への参加資格という紙切れ。番号が遅ければ遅いほど、自らの「出遅れ」を客観的な数字で突きつけられる絶望のチケット。


せきにん【責任】物事が失敗した際に、誰をいけにえとして差し出すかをあらかじめ決めておくこと。


せきりょう【寂寥】賑やかな宴のあと、耳鳴りだけが「お前は一人だ」と囁きかけてくる透明で冷たい孤独。


せけん【世間】どこにも実在しないのに、私たちの行動を厳しく制限し続ける透明で巨大な牢獄。


せつな【刹那】「永遠」という嘘に飽きた人間が、今この瞬間という真実に触れられる最小単位の時間。


せつめいしょ【説明書】機械が動かなくなった時に初めて紐解かれる、難解な日本語で書かれた最終手段。結局読んでも解決せず、「最初からメーカーに聞けばよかった」と後悔する箱の底に眠る紙。


せろはんてーぷのはし【セロハンテープの端】透明であるという自らの特性を最大限に活かし、持ち主の指先からその「始点」を隠匿する小さな嫌がらせの達人。爪でカリカリと探る数秒間が人間の忍耐力の限界をテストする。


せんきょ【選挙】①街頭で自らの名前を連呼し、見知らぬ通行人と握手を交わす数週間の野外フェスティバル。国民が「主権者」という束の間の優越感に浸り、その後の数年間を諦めと共に過ごすことになる。➁数週間の間だけ、社会のピラミッドが逆転したかのような錯覚を国民に与え、候補者に「腰の低さ」という名の演劇を強要する期間限定のエンターテインメント。


せんたく【選択】何かを得ることではなく、それ以外の無限の可能性を殺すこと


せんたくばさみ【洗濯バサミ】太陽の光を求める衣類を、落下という絶望から守るための小さな握力。長年の紫外線を浴びて劣化し、ある日突然、持ち主の手の中で粉々に砕け散る。


せんたくもの【洗濯物】洗って干して取り込んでも、翌日にはまたカゴの中に復活している、倒しても倒しても現れる無限増殖モンスター。


せんぷうき【扇風機】生ぬるい空気をかき回し、正面に座って「あー」と声を出すことで、夏の情緒を無理やり作り出す回転翼。首振り機能によって、平等に風を配っているようでいて、実は一番欲しい瞬間に向こうを向いている。


せんべい【煎餅】米の粉を焼き固め、醤油の香りを纏わせた歯の丈夫さを試すための乾燥したお茶の相棒。バリッという轟音と共に、茶の間という空間を香ばしい「昭和の音」で支配する。


そうたい【早退】「体調不良」や「家庭の事情」という無敵の理由を盾に、定時前の街へ繰り出す脱獄のこと。まだ明るい太陽の下で歩く背徳感が、自らの生存をより鮮明にする。


そうめん【素麺】暑さで食欲を失った人類に、喉越しという名の「錯覚」で栄養を流し込ませる夏の最終兵器。三日目以降に訪れる「またこれか」という飽和状態を、薬味の変化で必死に回避しようとする。


そしき【組織】優秀な一人の足をそうでもない十人が引っ張ることで、全体のパフォーマンスを絶妙な「平凡」に保とうとする互助会。


そば【そば】「啜る(すする)」という音を立てる行為が唯一美徳として許される日本特有の音響的食習慣。麺の腰や香りを確認するフリをしながら、最後は「そば湯」という茹で汁を飲むことで完食を宣言する。


そぼろ【そぼろ】肉や卵を細粒状にまで解体し、白米の上に色鮮やかな境界線を築く。スプーンで掬うたびに崩れるその不安定さが、最後の一粒までを追いかけるという執念を食事にもたらす。


そりゅーしょん【ソリューション】顧客の悩みに対し、高額なシステムやサービスを売りつけるための「解決策」という名の営業用語。問題そのものを解決するより、問題を抱えたまま自社に依存させ続けることを目的とする。


そんけい【尊敬】自分には到底真似できない(したくもない)過酷な生き方をしている他人に対し、遠くから安全に拍手を送る行為。


そんたく【忖度】相手に言わせる手間を省き、自ら「空気を読む」ことで、後の責任転嫁を不可能にする高度な一人芝居。


だーくうぇぶ【ダークウェブ】 インターネットの深海に位置する、法とモラルが機能停止したデジタル無法地帯。専用のブラウザという鍵を使い、匿名性の影に隠れて「見せられないもの」や「売ってはいけないもの」が取引される人間の好奇心と悪意の吹き溜まり。覗き込むだけでウイルスや捜査当局の影に怯えることになる21世紀のパンドラの箱。


だいいちいんしょう【第一印象】わずか数秒の視覚情報によって、その後の数年間の評価を固定してしまう非情な格付け。一度刻まれた刻印を上書きするには、その数千倍の努力を要する。


だいえっと【ダイエット】①「明日から本気出す」という呪文を毎日唱えることで、目の前にある高カロリーな食事の罪悪感を一時的に中和する精神的な浄化儀式。➁本能が求める食欲と、理性が求める美意識との間で繰り広げられる、終わりなき内戦。空腹という苦痛を「自分への投資」だと思い込み、体重計の数字に一喜一憂する自虐的な修行。


たいおんけい【体温計】脇の下に挟まれた数十秒間で、自らが「病人」であるか否かを判定する器具。平熱より1度高いだけで、全てのやる気を喪失させる。


たいくつ【退屈】今日を生き延びることが保証されているという平和がもたらす最も贅沢な悩み。


たいじゅうけい【体重計】乗った瞬間に、昨日の贅沢と今日の怠慢を冷徹な数字で突きつける自省の台。わずかな増減に一喜一憂させ、現実に立ち向かうか、あるいは目を逸らすかを迫る。


たいしょくねがい【退職願】組織という名の檻から脱出し、自由という名の荒野へ飛び出すための人生における最強の決別宣言。


たいぱ【タイパ】人生という限られた時間をいかに効率的に「消費」するか。映画を倍速で視聴し、結論のない会話を忌避することで、余った時間をさらなる「時間の浪費」に充てる本末転倒な時間管理のこと。


たいむかーど【タイムカード】自らの人生の時間を組織に売却したことを記録し、一日の労働という名の「拘束」を可視化するための打刻機。刻まれた数字の集積が、生存を許可されるための賃金へと変換される労働者の血圧計。


たいやき【たいやき】一度も海を見たことがない小麦粉と餡子でできた不憫な魚。「頭から食べるか、尻尾から食べるか」という人類にとって最も平和で解決不能な倫理的ジレンマを突きつけてくる熱々の甘味。尻尾の先まで餡子が入っているかどうかでその日の運勢が決まると信じられている。


たいよう【太陽】部屋の掃除が行き届いていない箇所を、残酷なまでの光線で告発する空の監視員。夜の闇で隠蔽していた埃や汚れを白日の下に晒す。


たえる【耐える】いつか来る「報われる日」という不確かな報酬のために、今の自分を担保に入れること。


たかい【高い】その商品の価値が優れているのではなく、単に自分の年収がそのレベルに達していないことを再認識させられる残酷な数値指標。


たからくじ【宝くじ】「当選したら何を買おうか」という数日間限定の妄想を買い取るための最も還元率の低い投資。数千円の紙切れが、抽せん日を過ぎた瞬間に「ただのゴミ」へと退化する奇跡を信じる者たちの寄付金。数学的な確率を夢という名のヴェールで覆い隠した愚か者への課税。


たからくじ【宝くじ】当選という天文学的な奇跡を夢見る権利を買う、最も当選確率の低い寄付。現実の厳しさを一瞬だけ忘れさせてくれる。


だきょう【妥協】理想という名の高い壁を乗り越えるのをやめ、扉を自ら作って通り抜けることにした大人の知恵。


たくはいびん【宅配便】インターホンの音と共に、遠くから「物欲の成果」を運んでくる現代のサンタクロース。


たすく【タスク】処理しても処理しても、メールや会議という名の増殖を繰り返す終わなき労働の断片。これを管理することそのものが目的となり、肝心の本質を見失わせる現代の「忙しさ」の単位。


ただしい【正しい】相手を傷つけても罪悪感を抱かずに済む最も鋭利で合法的な武器。


たちいりきんし【立ち入り禁止】「入るな」と警告されることで、かえって中への好奇心を爆発させる視覚的な通行止め。危険か秘密かのどちらかが隠されており、凡人の冒険心を黄色いテープやバリケードで封じ込める社会の結界。


たちいりきんしのむこう【立ち入り禁止の向こう】黄色いテープやバリケードで遮断されることで、そこにあるはずの「特別な何か」を勝手に空想させる、視覚的な禁止令。禁じられるほどに覗きたくなる人間の原始的な好奇心を炙り出す結界。


たちよる【立ち寄る】明確な目的もないのに光に引き寄せられる虫のように自動ドアを潜り、千円札を「数分間の気晴らし」に変換して帰還する現代人の習性。


たのしい【楽しい】他人の苦労や犠牲の上に成立している自分だけが一方的に利得を享受する無責任な快楽状態。


たのしみ【楽しみ】①「明日も死なないための理由」を無理やり作り出す脳内麻薬(ドーパミン)の予約注文。週末の旅行や深夜のデザートなど日常という名の地獄に点在するオアシスだが、その期待値が大きければ大きいほど終わった後の虚脱感という名の「利息」が重くのしかかる人生という名の長距離走を走らせるためのガソリン。➁未来に設定された「快楽」を空想し、現在の苦痛や退屈を紛らわせるための精神的な前借り。実際の日よりも、その前夜に計画を練っている最中こそが幸福のピークであるという逆説。


たび【旅】慣れ親しんだ日常から逃げ出し、どこまで遠くへ行っても結局「自分」からは逃げられないことを再確認する作業。


たべほうだい【食べ放題】元を取るという強迫観念に突き動かされ、胃袋を限界まで拡張するセルフ拷問。質より量を優先し、食後の激しい不快感と引き換えに「勝利」を確信する理性をかなぐり捨てた欲望の処理場。


たまご【卵】焼いてよし、茹でてよし、生でもよしの万能選手。お弁当の隙間を埋める黄色い救世主であり、黄身の固まり具合で料理人の腕前を勝手に判定する。


ためぐち【タメ口】敬語という名の防壁を勝手に撤廃し、親密さという誤解を盾に相手の懐へ土足で踏み込む言語的無礼。上下関係という秩序を撹乱する距離感のバグ。


だんしゃり【断捨離】「いつか使うかも」というゴミを捨てて、一週間後に「あれ捨てなきゃよかった」と後悔するまでがセットの修行。


たんじょうび【誕生日】自分の「使用期限」が一年分減ったことを、ケーキの上の火を消すことでごまかす年に一度の生存確認セレモニー。


たんすのかど【タンスの角】無防備な小指を狙い撃ちし、声にならない絶叫を脳内に響かせる、家庭内の静かなる暗殺者。物理的な痛み以上に、自らの不注意と、動かぬ家具に対する理不尽な怒りを覚えてしまう。


たんたんめん【担担麺】胡麻の濃厚な甘みと、辣油の攻撃的な辛味が口内で激しい主導権争いを繰り広げる麺料理。流れる汗を「爽快感」と呼び変え、翌朝の腹部への報復を予感しながら、スープの最後の一滴までを啜る。


だんぼーる【段ボール】中身を取り出した瞬間に「かさばるゴミ」へと成り下がり、部屋の隅で回収の日を待ち続ける茶色い居候。解体の手間が購入時の快楽を上書きする。


ちーずふぉんでゅ【チーズフォンデュ】溶けたチーズの海にパンや野菜を潜らせ、その価値を数倍に跳ね上げる現代の錬金術。フォークから具材を海に落とした者は、周囲からの冷ややかな視線とチーズの底から残骸を救出する屈辱に耐えなければならない。


ちーとでい【チートデイ】「今日だけは特別」という言い訳を科学的な根拠があるかのように装って正当化する合法的な暴飲暴食フェスティバル。


ちくわ【ちくわ】魚のすり身を棒に巻き付けて焼き、中心に巨大な空洞を残した実体の半分が空気である不条理な食品。煮てよし、揚げてよし、穴の中に何かを詰められてよしの、従順すぎる練り物。


ちしりょう【致死量】 「毒物」や「薬品」だけでなく、「他人の自慢話」や「上司の説教」、「深夜に思い出す過去の黒歴史」など、精神の許容量を超えて自我を崩壊させるあらゆる負のエネルギーの総量。日常生活においては「月曜朝の絶望感」が容易にこのラインを越えてくるため、多くの現代人は常に魂が半分抜けたゾンビ状態で社会を徘徊することを強いられている。


ちず【地図】広大な世界を縮小し、自分が迷子であることを視覚的に突きつける紙。目的地までの距離を教えつつ、そこへ辿り着くための「気力」までは補給してくれない無機質な案内板。


ちゃわんむし【茶碗蒸し】卵液を蒸し固めた滑らかな表面の下に、銀杏や鶏肉という名の「宝物」を隠蔽した和食。熱すぎる温度に悶絶しながら、スプーンで深淵を掘り進める考古学である。


ちょきん【貯金】「将来の自由」という実体のない商品を買うために、今この瞬間の楽しみを人質に差し出す行為。


ちょこみんと【チョコミント】「爽快な清涼感」か「歯磨き粉の味」かを巡って、人類を真っ二つに分断する水色のアイス。熱烈な愛好家(チョコミン党)と、それを理解できぬ者との間に、終わりなき不毛な論争を巻き起こす。


ちんもく【沈黙】言葉の限界を知った人間が、最も饒舌に感情を伝えるために選ぶ高度な表現方法。


ついでがい【ついで買い】目的の商品を手に入れた安心感に付け込み、パンやグミをカゴに追加させるコンビニという名の迷宮に課せられた「無意識の通行税」。


つうちひょう【通知表】個人の能力をたった5段階の数字で裁き、家庭内に不和を招く残酷な判定書。


つうはんのそうりょう【通販の送料】商品の価格には数千円を惜しみなく払うが、数百円の配送費を払うことには激しい拒絶感を覚え、無理やり「送料無料」にするために不要なものを買い足す不合理な金銭感覚のこと。


つけもの【漬物】塩や糠の中で「腐敗」と「発酵」の境界線を彷徨い、野菜が自らの水分と引き換えに手に入れた塩辛い保存食。白米のお供として、あるいは酒の肴として、その存在を控えめにかつ強烈に主張する。


つめきり【爪切り】肉体の一部が「武器」や「ゴミ」に変わる前に切り落とす小さなメンテナンス用品。切った爪がどこかへ飛び散った際、それを発見できないという小さな不安を部屋に残す。


つりかわ【吊り革】揺れ動く車内で、見知らぬ他人の体温を間接的に受け入れながら、安定を死守するための命綱。誰が触れたか分からぬゴムの感触に文明社会の妥協を見る。


ていき【定期】一定期間の移動権を前払いし、自らが「決まった時間に、決まった場所へ運ばれる家畜」であることを証明するカード。紛失した際の絶望は、自らの自由と資産を同時に失うことに等しい。


ていじあがり【定時上がり】周囲の「まだ働く気満々の視線」を物理的に無視し、自分の人生を取り戻すためにオフィスから脱出する一日の中で最もスリリングな逃亡劇。


てぃっしゅ【ティッシュ】零れた涙から、拭い去りたい生々しい痕跡まで、あらゆる汚れを黙って飲み込む白い忠臣。一回限りの忠誠を終えれば、丸められてゴミ箱へと消えていく儚い献身。


てぃらみす【ティラミス】「私を元気づけて」という名とは裏腹に、表面のココアパウダーが不意に気管を襲い、激しい咳き込みを誘発する。


てれ【照れ】他者からの称賛や好意を、自らの自意識が受け止めきれず、回路が一時的にショートした状態。顔面の紅潮という身体的バグによって、隠したいはずの本心を全世界に晒け出してしまう。


てんき【天気】人々の予定や情緒を無慈悲にかき乱す地球という名の巨大な気分屋。文明がどれほど進歩しても、結局は「傘を持ち歩くか否か」という究極の二択に人類を追い込み続ける空からの気まぐれな神託。


でんしけっさいのざんだかぶそく【電子決済の残高不足】レジでスマートフォンをかざした瞬間に放たれる、無慈悲な警告音。自分の経済的限界を衆人環視の中でシステムに暴露されるデジタル時代特有の公開処刑。


でんしゃ【電車】決められたレールの上を、定時に「肉の塊」を詰め込んで運ぶ文明社会の巨大なベルトコンベア。


てんしゅ【店主】こだわりが強すぎるあまり、客に食べ方のルールや沈黙を強要する飲食店という名の王国の絶対君主。


てんしょく【転職】今いる地獄から別の地獄へ、あるいは天国へと椅子を移すための、勇気と打算の賭け。隣の芝生が青く見える現象を利用し、自らの市場価値を粉飾して新たな戦場へ向かう旅立ちのこと。


てんせい【転生】現在の行き詰まった人生を一度リセットし、異なる世界で理想の能力を保持したまま再出発したいという現代人の切実な逃避願望のこと。


てんぴー【点P】数学の図形問題に現れる、極めて落ち着きのない謎の動点。辺の上を一定の速さで走り続け、勝手に三角形の面積を変化させては「今、面積はいくつですか?」と質問を投げかけてくる全中学生の宿題を妨害するデジタルな放浪者。


てんぷら【てんぷら】素材の水分を衣の中に閉じ込め、高温の油で蒸し上げる黄金色の物理実験。


とうし【投資】「自分だけは市場という荒波に飲み込まれない選ばれし者である」という幻想を現金で購入するギャンブルのこと。


とうちほう【倒置法】 言葉の順番をあえてひっくり返し、大したことのない内容に「情緒」や「余韻」という名の化粧を施す文章術のドーピング。結論を後回しにすることで読者の関心を釣るが、日常会話で多用すると「酔っているのか」と周囲を不安にさせるリスクを伴う。美しいのだ、この手法は。


とうべん【答弁】質問の核心を華麗に避け、時間を浪費することで追及をかわす官僚が書いた作文の朗読。語彙は豊富だが中身は皆無であり、「前向きに検討する」という言葉で永遠の足踏みを約束する。


とうろく【登録】視聴者が「あなたの存在をブックマークした」という程度の緩い合意。実際に動画を見るかどうかはその日の気分とアルゴリズムの気まぐれに支配されている。


どーなつ【ドーナツ】真ん中に穴が開いていることで、「実質ゼロカロリー」だと思い込ませようとする甘い詐欺師。揚げた砂糖の塊という暴力的なまでの魅力がある。


どくしょ【読書】他人の脳内に土足で踏み入り、自分の思考を一時的にアウトソーシングする合法的な意識のハイジャック。


どくしん【独身】自由という名の孤独を謳歌し、自らの資源を全て自分自身のために消費できる特権的な状態。他者との衝突を回避する代わりに、老後の不安を独りで飼い慣らす覚悟が必要


としょかん【図書館】税金で運営される情報の共有地でありながら、夏場は「冷房代わりの避難所」として高齢者や学生に占拠される。本を借りるという目的よりも、無料の椅子を確保することを目的とする者が集う現代の公共サロン。


とりゅふ【トリュフ】「ガソリンのような匂いがするキノコ」を、ありがたがって少量ずつ削り落とす食事の単価を跳ね上げるための黒いダイヤ(という名の演出小道具)。


どりょく【努力】報われる保証が全くない宝くじを買うために、貴重な時間と精神力を注ぎ込む最も誠実で切ない投資。


とれんど【トレンド】数百万人が一斉に同じ方向を向き、数時間後にはその情熱を綺麗さっぱり忘れることができる人類の驚異的な「忘却能力」の証明。


とんかつ【とんかつ】豚肉を脂と小麦粉で重武装させ、「勝つ」という験担ぎを口実に、胃もたれを覚悟で摂取する茶褐色の揚げ物。千切りキャベツという免罪符を添えることで、健康への配慮を偽装している。


なきたい【泣きたい】言葉にできない感情が飽和し、体外へ排出しようとする防衛本能。限界を迎えた自我が、涙という冷却水でシステムのオーバーヒートを回避しようとする緊急信号のこと。


なぐさめる【慰める】相手の傷を治すことではなく、「私はあなたの味方です」という姿勢を示すことで自分自身の無力感を解消しようとする慈悲の形。


なげせん【投げ銭】画面越しの才能や愛嬌に対し、デジタルの数字を金銭として寄付する現代の施し。支援している自覚と、承認を得たい願望が混ざり合ったネット上のパトロン行為。


なっとう【納豆】糸と匂いで周囲を威圧する健康という免罪符。混ぜれば混ぜるほど朝の貴重な時間を奪い、口の周りをベタベタにする粘り強い朝の強敵。


なつやすみ【夏休み】数週間の自由という幻を見せ、その後の長い日常を耐え忍ばせるための残酷な猶予。宿題という未処理の負債を抱え、最終日に絶望の淵で過去の自分を呪う期間限定の休暇。


なぽりたん【ナポリタン】イタリアには存在せぬ、日本独自の進化を遂げたケチャップまみれのパスタ料理。アルデンテを無視した柔らかな麺と、炒めたハムの香りが、昭和という時代の安らぎを食卓に再現する。


なまはいしん【生配信】「誰かと繋がっていたい」という寂しさと「投げ銭をもらいたい」という世俗的な欲求をリアルタイムという名の生け贄に捧げる最も精神を消耗するファンミーティング。


なやむ【悩む】答えが出ないことを確認するために、脳内で同じ道を行ったり来たりする贅沢な迷子。


ならぶ【並ぶ】「これだけ待ったのだから美味いはずだ」というサンクコスト(埋没費用)を積み上げることで、自分の舌を強制的に納得させるための事前の精神修行。


にくじゃが【肉じゃが】「家庭の味」という神話を背負わされ、かつては花嫁修業の必須科目とされた醤油と砂糖の煮物の象徴。ジャガイモの煮崩れ具合に、作り手の性格と家庭の平穏が映し出される。


にくたいろうどう【肉体労働】自らの筋肉を動力源として提供し、物理的な成果と引き換えに賃金を得る、人類最古の労働形態。思考の迷走を疲労によって強制停止させ、生存の生々しさを骨身に刻む修行。


にげる【逃げる】戦う気力すら失う前に、自分という最後の拠点を守り抜くための最も賢明で勇気ある戦略的撤退。


にちゃんねる【2ちゃんねる】 匿名性という名の仮面を被った人々が、剥き出しの悪意と稀有な知性を交差させるネット上の巨大な掃き溜め。あるいは、現代インターネット文化の「墓場」にして「聖地」。嘘を嘘と見抜ける者だけが生き残れる過酷な環境でありながら、時として名もなき群衆が奇跡のような団結を見せることもある


にっき【日記】誰に見せるわけでもないのに、自分を「丁寧な生活者」に見せかけるための三日坊主の墓場。数年後に読み返すと、当時の自分の青臭さやポエム的な思考にのたうち回ることになる自意識の公開処刑場。


にどね【二度寝】「あと5分だけ」という甘い誘惑に負けた代償として、数分間の至福とその後の数時間にわたる遅刻への絶望を交換する最もリスクの高いギャンブル。


にどねのしあわせ【二度寝の幸せ】現実という名の過酷な労働から数分間だけ密出国し、微睡まどろみという名の聖域に逃避する背徳の快楽。目覚めた瞬間に訪れる「致命的な遅刻」という現実の衝撃と引き換えに味わう最も高価な睡眠。


にんげんかんけい【人間関係】お互いの地雷を踏まないように気を使いながら、時々うっかり爆死しては「ごめん」の一言でパッチを当てるバグだらけのOS。


ぬるい【温い】冷蔵庫の効きが悪いのか、あるいは自分の決意が甘いのか。期待していたキンキンの冷たさが裏切られた際のやるせない喪失感。


ねくたい【ネクタイ】首に巻かれた色鮮やかな布。組織への服従と「まともな社会人」であることを象徴し、帰宅後に外した瞬間にのみ、本当の自由を実感させる拘束具のこと。


ねこ【猫】①高いキャットタワーを無視して、それが入っていたAmazonの段ボールの方で爆睡する価値観の噛み合わない同居人。➁自分を「世界の中心」と確信し、人間を「衣食住を提供する便利な下僕」として飼いならす気高き居候。気が向いた時にだけ毛皮の柔らかさを貸し出し、深夜の猛ダッシュによって飼い主の安眠を容赦なく奪い去る肉球という名の武器を持つ支配者。


ねむい【眠い】①現実社会からのログアウトを強烈に要求する脳のストライキ。または、やるべきことから逃げるための最も正当で反論しにくい言い訳。➁やるべきことが山積みの時に限って最大風速を記録し、いざ布団に入るとどこかへ消え去ってしまう極めて天邪鬼(あまのじゃく)な生理状態。


ねむけ【眠気】大事な会議や授業の最中に限って脳内に侵入し、強制的に意識をシャットダウンしようとするセキュリティの甘い脳を狙った強力なハッカー。


ねむる【眠る】①この世界から一時的にログアウトし、自分を強制再起動するための無料メンテナンス。➁明日という未知の戦場へ向かう前に、自分という存在を一度強制終了し、世界のノイズからログオフする無料の仮死体験。


ねる【寝る】現実という名のクソゲーから一時的にログアウトし、無償で提供される「無」という名のシェルターに逃げ込む最も安上がりで効果的な現実逃避。


ねんしゅう【年収】社会という巨大なマーケットが、あなたの人生の1年間に対して冷酷に貼り付けた「値札」。


のみかい【飲み会】勤務時間外であるにもかかわらず、上司の武勇伝や説教を肴にして自分の肝臓とプライベートを犠牲にする「残業代の出ない延長戦」。


のみかけのぺっとぼとる【飲みかけのペットボトル】数時間前の喉の渇きを潤した証であり、時間の経過と共に微生物の楽園へと変貌していく飲み残された過去の標本。一口飲んで放置されることで、持ち主の飽き性を物理的に証明する。


ばーげん【バーゲン】「安さ」という麻薬を散布し、群衆を理性のない獣へと変貌させ、本来不要なものを大量に買い込ませる小売業界による集団催眠。たいていは手に入れた瞬間に満足し、袋のまま放置される運命にある。


ばーべきゅー【バーベキュー】屋外で肉を焼き、不自由な環境での調理を「娯楽」として楽しむ原始への回帰。準備と後片付けという過酷な労働を誰が担うかで、友情の真価が試される。


ばいあす【バイアス】自分の見たいものだけを見、信じたいものだけを信じるために、脳に最初から備わっている便利な色眼鏡。客観性を装いながら、実際には自らの偏見を強化し続ける思考の歪みのこと。


ばいそくしちょう【倍速視聴】内容を情報の塊として処理し、最短時間で消化しようとする効率至上主義者の鑑賞法。情緒や余韻を削ぎ落とし、ただ「知っている」状態を得るための時間短縮術。


はずかしい【恥ずかしい】理想の自分と現実の自分が、人混みの真ん中で鉢合わせしてしまった時の居心地の悪さ。


ばずる【バズる】①アルゴリズムという気まぐれな神に選ばれ、一瞬だけ世界の中心にいる錯覚を味わうが翌日には「過去の遺物」として消費し尽くされるデジタルな一発屋。


ぱすわーど【パスワード】セキュリティを強化するために複雑にしすぎて、結局自分すらログインできなくなる最強かつ最凶の自分専用の壁。


はっしゅたぐ【ハッシュタグ】自らの投稿を、特定のカテゴリーという網の中に放り込み、見知らぬ他者からの「いいね」を待ち受けるためのデジタルな撒き餌。流行に乗りたいという承認欲求の記号。


はなす【話す】自分の心の中にある言葉という名の弾丸を相手の心に届くように、あるいは相手を傷つけないように慎重に発射する試み。


はなびたいかい【花火大会】夜空に打ち上がる一瞬の光よりも、そこに至るまでの人混みによる疲労と、帰路の駅での大混雑に体力を奪われる集団的な苦行。打ちあがる花火を撮影することに必死になり、肉眼での鑑賞は忘れ去られる。


はみがき【歯磨き】自らの口内に潜む細菌との終わりなき小競り合い。将来の治療費という恐怖を、ミントの香りで誤魔化しながら排除しようとする朝晩のお掃除ルーティン。


はみがきこ【歯磨き粉】泡と共に汚れを落とし、ミントの爽快感で「口腔内が清潔になった」と脳を錯覚させる白い粘液。最後まで使い切ろうとする執念が、チューブを無残な形に変形させる。


ばん【BAN】巨大プラットフォームという絶対神から下されるデジタル世界からの死刑宣告。昨日までの「王様」が一瞬で「ただの通行人」に格下げされる恐怖のシステム。


ばんそうこう【絆創膏】傷口を視界から消し去り、「もう大丈夫」という安心感を貼り付ける精神的ガーゼ。剥がす瞬間の痛みが、怪我をした時以上の恐怖を伴う。


ぱんのみみ【パンの耳】本来は主役(白い生地)を守るための外壁に過ぎないが、揚げて砂糖をまぶせば「最強のおやつ」へと変化する。


はんばー【ハンガー】服を掛けるふりをして、クローゼットの中で他のハンガーと絡まり合い、取り出す際に多大なストレスを誘発する知恵の輪。服を脱ぎ捨てようとする怠慢を辛うじて踏みとどまらせる。


はんばーぐ【ハンバーグ】肉の塊をこねて焼き上げた、子供の夢と大人の脂質の塊。箸を入れた瞬間に溢れ出す肉汁に、理性が溶け出し、ソースの濃さで白米という名の奴隷を無限に消費させる食卓のスター。


びーふじぇーきー【ビーフジャーキー】牛の肉を乾燥させ、塩分とスパイスで極限まで凝縮した高価な「食用レザー」。噛めば噛むほど肉の旨味が滲み出し、自らが食物連鎖の頂点に立つ「噛む生き物」であることを思い出させてくれる野性味溢れる乾物。


びーふしちゅー【ビーフシチュー】赤ワインとデミグラスソースの海で、牛肉が繊維までほぐれるまで煮込まれた洋食。家庭で作る際の膨大な手間と時間をパンで皿を拭うという行為で最終的に回収する。


びーる【ビール】喉越しの刺激と引き換えに、理性を濁らせて明日への不安を濁らせる黄金色の麻酔。一杯目の快楽のために、翌朝の頭痛と膨らんだ腹を受け入れることが必要。


ぴざ【ピザ】一枚を大勢で分かち合うことで、高カロリーへの罪悪感を薄めることに成功した悪魔の円盤。箱を開けた瞬間に知性が消え、ただの「胃袋を持つ獣」へと成り下がる。


ひさしぶり【久しぶり】名前が思い出せない相手に対して、沈黙の気まずさを回避するために放たれる便利な魔法の言葉。再会の喜びを演じつつ、内心では「誰だっけ」というクイズを解いている状態。


びじねす【ビジネス】利益という名の果実を、合法的な手続きと洗練された交渉によって奪い合う知的な略奪の形式。顧客の「悩み」を解決するフリをしながら、その財布を軽くするための高度な経済活動のこと。


ひっし【必死】周囲から見れば滑稽でしかない努力を、本人が大真面目に続けている状態。余裕のなさを露呈しながらも、何かにしがみつこうとする生命の泥臭い輝きのこと。


びにーるがさ【ビニール傘】急な雨という緊急事態を数百円で解決するための使い捨ての救世主。雨が上がれば忘れられ、街の片隅で「公共のゴミ」へと移行する、持ち主の愛着という概念を完全に排除した半透明の消耗品。


びびんば【ビビンバ】石鍋の中で複数の具材を徹底的に破壊し、混ぜ合わせることで「調和」という名の混沌を生み出す韓国発祥の料理。底にこびりついた「おこげ」を削り取る執念が、食に対する人間の本能を露呈させる。


ひやしちゅうか【冷やし中華】「始めました」という貼り紙一つで、日本人に夏の到来を強制的に自覚させる。具材の細切りに費やされた手間を、酸味の効いたスープで一気に流し込む期間限定の麺料理。


ひゆ【比喩】「そのまま言えば済む話を、わざわざ別の何かに例えて悦に浸る」という、極めて回りくどいコミュニケーション技法。説明を分かりやすくするふりをしながら、実際には書き手の語彙力やセンスという名の筋肉を見せつける言葉のファッションショー。


びょういん【病院】3時間待たされて、診察は3分で終わる。先生の「お大事に」の一言を聞くためだけに、貴重な休日を献上する忍耐のこと。➁肉体の故障を修理するために、さらなる苦痛や待ち時間を耐え忍ぶ、清潔な修練場。健康の尊さを、不健康な人々との長い待ち時間の中で思い知らされる逆説的な場所。③病気を治すために行く場所だが、長い待ち時間と周囲の咳払いにさらされ、行く前よりも具合が悪くなって帰ってくる不思議な空間。白い壁と消毒液の匂いで、健康な人さえも「患者」としての意識を植え付けられる場所。


びょうき【病気】肉体という名のハードウェアに致命的なエラーが発生し、強制再起動を要求される「身体のストライキ」。日頃の無理という名の負債が利息付きで一括請求される期間であり、過労社会においては皮肉にも「合法的に責任を放棄して休める唯一の免罪符」として機能することもある不本意な強制休養。


びようしつ【美容室】鏡に映る無防備な自分と、洗練された美容師の顔面格差を数十分間見せつけられる公開処刑場。仕上がりが想像と違っても、気まずさを回避するために「いい感じです……」と嘘をついて店を後にしなければならない。


びようしの「かゆいところ」【美容師の「痒いところ」】洗髪において、必ずと言っていいほど「特にありません」と答えさせてしまう日本的な遠慮を試す質問。実際には微妙に痒い場所があっても、それを指摘することの気まずさが勝る。


ひれいだいひょう【比例代表】個人名ではなく政党名で選ばれ、落選した者がゾンビのように復活するための敗者復活のセーフティネット。民意で否定された人間が、党の順位によって救済される矛盾に満ちた制度。


ふぁくとちぇっく【ファクトチェック】流言飛語の中から真実を掘り起こそうとする試み。実際には自分の信念に反する情報を「フェイク」として排除する。


ふぁっしょん【ファッション】中身の空虚さを隠し、自分を「何者か」に見せかけるための武装。流行という実体のない波に乗り、他人と同じ格好をすることで「個性」を主張する。


ふあん【不安】①まだ起きていない最悪の事態を脳内で先行上映してしまう自分一人だけの上映会。➁まだ起きていない未来の不幸を、現在の貴重な時間を使って分割払いする最も効率の悪い投資。


ふぉろー【フォロー】相手に関心があるフリをしながら、実際には「自分のタイムラインという名の劇場」を賑やかすための無料エキストラの雇用。


ふぉろわー【フォロワー】あなたの人生という舞台を観劇しに来た観客。ただし、彼らの多くは「拍手」をするためではなく、あなたが「転ぶ」瞬間を最前列で見るためにチケットを買っている。


ふぉろわーのぞうげん【フォロワーの増減】自らの価値をデジタルな数字に委ねた現代人の一喜一憂のバロメーター。一人の増加に大喜びし、一人の減少に存在を否定されたかのような錯覚を覚える。


ふくぎょう【副業】本業の疲れを別の労働で癒やそうとする、休息を忘れた現代人のあがき。わずかな追加報酬と引き換えに自由な時間を完全に喪失し、結局どちらが本業か分からなくなる労働の二重生活。


ふくざわゆきち【福沢諭吉】長らく「日本で最も愛される顔(一万円札)」として君臨したが、渋沢栄一にその座を追われた元祖・教育インフルエンサー。「天は人の上に人を造らず」と説きながら、実際には「勉強しない奴は置いていくぞ」という過酷な学歴社会への号砲を鳴らした慶應ブランドの守護神。


ふくつう【腹痛】大事な商談中や移動中の電車内に限って襲い来る、腸内からの緊急テロ。冷や汗と共に「今日から善人になります」と神に誓い、トイレの個室にたどり着いた瞬間にその誓いを忘れる。


ふくぶくろ【福袋】在庫処分という冷酷な現実を「運試し」というエンターテインメントに昇華させた射幸心の残骸、袋を開けた瞬間に、自分がいかに残り物と相性が良いかを思い知らされる、


ふしょうじ【不祥事】隠蔽されていた欲望や怠慢が、時代の監視の目によって露呈し、一瞬にして築き上げた地位を崩壊させる社会的自爆のこと。記者会見という名の「誠意の演技」によって幕引きを試みる。


ふせんし【付箋紙】「忘れてはいけない」という決意をカラフルに可視化し、最終的に「剥がれ落ちる」ことでその責任をスマートに放棄する一時的な記憶の絆創膏。貼れば貼るほど「未処理タスク」という名の視覚的圧迫感を生み出し、所有者の精神をじわじわと削り取る粘着力の弱い警告文。


ぶたのしょうがやき【豚の生姜焼き】醤油、酒、生姜という黄金比によって、豚肉を「白米の最良のパートナー」へと昇華させた定食界の帝王。添えられたキャベツにタレを染み込ませて食べる瞬間に、この料理の真髄がある。


ぶどう【葡萄】放置すれば「ワイン」という名の合法ドラッグへと変貌し、イソップ童話では「負け惜しみ」の象徴として扱われるプライドの高い果実。最近では「シャインマスカット」という名の一房で数日分の食費が飛ぶ「食べる宝石」へと進化している。


ぷらいど【プライド】守るべき自分を失った人間が、最後にかき集めた「自分だったもの」の破片。


ぶらっくきぎょう【ブラック企業】従業員の精神と肉体を燃料として燃やし、利益を捻出する現代の蒸気機関。低賃金と長時間労働を「成長」や「絆」という言葉で粉飾し、人間を使い捨ての消耗品として扱う組織。


ふりま【フリマ】自分のゴミを他人の宝だと偽り、あるいは他人の宝をゴミのような価格で買い叩こうとする欲望の再分配の場。値下げ交渉という数百円を巡る大人たちの卑屈な心理戦がある。


いんふるえんざのしんだん【インフルエンザの診断】高熱の苦痛に喘ぎながらも、医師からの「陽性」判定に「これで数日間は合法的に休める」という歪んだ安堵を抱く、現代人の過酷な精神状態。病を盾にしなければ休息を正当化できない社会の歪みの証明である。


ふろうしょとく【不労所得】働かずに金を得るという、全人類が密かに抱く究極の欲望。実際には「金に働かせるための金」を持つ者のみが許される贅沢であり、持たざる者には手の届かぬ蜃気楼。


ぶろっく【ブロック】指先一つの操作により、特定個人を自らの宇宙から完全に抹消するデジタル時代の絶縁状。対話の努力を放棄し、存在そのものを「なかったこと」にする。


ぷろっと【プロット】物語という名の迷宮を構築するための設計図。美しく整った計画は、実際に執筆を開始した瞬間に、登場人物たちの勝手な振る舞いや自らの筆力の限界によって、無惨に崩壊するのが常。


ぷろんぷと【プロンプト】人工知能という名のブラックボックスに対し、自らの欲望を言葉で呪文化して投げ入れる、現代の魔法。望み通りの結果を得るために、言葉の組み合わせという試行錯誤を繰り返さなければならない。


へいほうこん【平方根】チェックマークのような屋根(ルート)の下に閉じ込められた数字の姿。2のような単純な数字を、1.4142…という終わりのない数字の羅列に変え、学生たちの計算用紙と忍耐力を削り取る数界のシュレッダー。


へいわ【平和】自分と意見の合わない人間をすべて排除し、自分を肯定する声だけが鳴り響くエコーチェンバーの中で安らかな思考停止に陥っている状態。


べっど【ベッド】水平な安息の地。夜には吸い込まれるような引力を持ち、朝には脱出を拒む強力な磁場へと変貌する。


へやぎ【部屋着】他人の視線を完全に遮断した空間で、機能性とだらしなさを極限まで追求した自堕落の象徴。突然の来客や宅配便にパニックを引き起こさせる原因となる。


べると【ベルト】ウエストという名の「自制心の緩み」を締め上げる革や布の帯。穴の位置の変化が、過去の食生活の変遷と肉体の膨張を冷徹に記録する。


へんしゅう【編集】10時間の退屈な日常から、10分の「キラキラした虚構」を捏造するために、ブルーライトを浴びながら寿命と視力を削るデジタル工作作業。


へんなとこ【変なとこ】気管の別名。日常的には存在を忘れられているが、嚥下(えんげ)の失敗によって米粒が不法侵入した瞬間に、持ち主の脳内で「地図にない未開の地」として急浮上するエリア。


ほうき【箒】電力に頼らず、自らの腕力で埃を掃き寄せる古典的な清掃具。掃除機では届かぬ隙間の汚れを炙り出し、原始的な掃除の快感を与える。


ぽえむ【ポエム】自らの溢れ出る情緒を、独特の改行と言葉選びで綴り、翌朝の自分を戦慄させる精神の排泄物。誰にも見せられないはずが、どこか理解者を求めてしまう。


ぼーなす【ボーナス】「もう辞めてやる」という決意を半年ごとにリセットし、再びローンと現実に縛り付けるために会社が投与する一時的な強力麻酔薬。


ほしつ【保湿】 重力と乾燥によって刻一刻と失われていく「若さ」という名の水分を高価な油分と化学物質で強引に引き留める終わりのない防衛戦。鏡の中の自分という名の「枯れゆく大地」に潤いを与え、老化という名の砂漠化を少しでも遅らせようと足掻く人類のささやかな抵抗。


ぼつ【ボツ】心血を注いだ創作物が、他者の評価や自らの未熟さによって闇に葬られること。ゴミ箱に捨てられた原稿の山は、次なる傑作を生み出すための苦く高価な肥料となる。


ほっちきすのしん【ホッチキスの芯】紙束を貫き、バラバラな情報を一つに束ねるという組織への忠誠心を象徴する金属の針。必要な時に限って弾切れを起こし、空撃ちの虚しい音だけを響かせる。


ほっとすなっく【ホットスナック】レジ横という「最後の一撃」に配置された、揚げたての香りで消費者の理性を溶解させるダイエット界における最強の死神。


ぽてとちっぷす【ポテトチップス】大量の窒素でパンパンに膨らんだ袋の中に、塩分と脂質の塊を忍ばせた魅惑の兵器。「最後の一枚」という概念が脳内から消去され、指先が塩で真っ白になるまで止まることのない欲望の螺旋。


ほねやすめ【骨休め】折れてしまう前に、心が「これ以上は無理だ」と鳴らすアラートに従って自分を甘やかす正当な権利。


ほりだしもの【掘り出し物】他人の不要品の中に、自分だけの価値を見出すこと。手に入れた数日後には、自らの部屋を圧迫する「新たな不要品」へとランクダウンする。


ほわいときぎょう【ホワイト企業】実在が疑われる、労働条件が法と倫理に完全に合致しているとされる伝説上の組織。従業員の幸福を追求すると謳われるが、入社した者は極めて稀であり、実態は現代の桃源郷に近い。


まいんどふるねす【マインドフルネス】雑念を払い「今この瞬間」に集中するという多忙な現代人が高い受講料を払ってまで求める「無」の状態。瞑想という宗教的行為を、労働効率を上げるためのツールへと換骨奪胎したビジネスマンの精神安定法。


まうんと【マウント】会話の端々に自らの優位性(学歴、年収、幸福感)を忍ばせ、相手を無意識のうちに格付けする心理的な陣取り合戦。自分が「上」であることを確認しなければ、自らの価値を実感できない孤独な競争心のこと。


まかろん【マカロン】その小さな円形に対し、法外な対価を要求するフランス発祥の彩り豊かな権威。壊れやすい脆さと、贈答用としての圧倒的な「オシャレ感」を武器にもつ。


まくら【枕】一日の終わりに重い頭を受け止め、夢という逃避行へ送り出す柔らかい墓標。翌朝の絶望的な起床まで、意識を一時的に埋葬するための安らぎのクッション。


まける【負ける】自分の弱さを認め、次に勝つための「攻略本」を手に入れるための授業料。


まご【孫】「たまに来るから可愛い」という責任のない愛情の対象。自分の子供には厳しかった者が、豹変して甘やかしの限りを尽くす、老後の最大の娯楽であり家計の静かな破壊者。


まずい【不味い】調理担当者の努力に対する敬意と、自分の舌が感じている絶望的な拒絶反応の板挟みになり、脳が「身体に良さそう」という代替ワードを必死に検索している状態。


ますく【マスク】顔の下半分を封印する物理的なファイヤーウォール。表情という情報の流出を遮断し、無精髭や無表情を隠し持つための顔面用シェルター。


まぜらん【マゼラン】世界一周を目指して船を出したが、本人は途中の島でのケンカに巻き込まれて命を落としたおっちょこちょいな探検家。部下たちがなんとか世界を一周して帰還したため、本人の手柄になった。


まちあいしつ【待合室】自分の名前が呼ばれるという一点の希望を、無機質な椅子の上で待ち続ける時間の停滞した空間。他人の咳払いやテレビの音をBGMに、健康のありがたみを再確認させられる場所。


まつ【待つ】自分にはコントロールできない「運命」という名の列車が、自分の駅に止まってくれるのをじっと見守る静かなる苦行。


まどう【惑う】進むべき道が分からないのではなく、進むべき道を選んだあとに支払う「代償」が怖くてその場に留まり続ける足踏み。


まどぎわのせき【窓際の席】外の世界を眺める特権を与えられながら、実際には室内の閉塞感を強調される、観賞用の孤独。移動手段においては人気のスポットだが、職場においては組織の主流から外れたことを意味する不穏な記号。


まぶしい【眩しい】①他人が投稿した「加工済みの日常」の輝きが自分の「無加工の現実」の暗さを際立たせ、網膜ではなく心がダメージを受けている状態。➁深夜、現実逃避のために逃げ込んだ店内が、自分の将来の暗さを際立たせるほどに、白々しく輝いている状態。


まもる【守る】大切な何かのために、自分が傷つくことを損得抜きで受け入れるという最も美しく残酷な自己犠牲。


まんいんでんしゃ【満員電車】見知らぬ他人の体温と吐息を共有しながら、自分という個体がただの「肉の塊」であることを再確認させられる地上で最も過酷なテトリス。


まんぞく【満足】「もっと欲しい」という底の抜けた欲望のバケツに、一瞬だけ栓をすることに成功した極めて稀で壊れやすい状態。


まんばず【万バズ】 SNSという名のギャンブル場で、偶然放った一言が「1万いいね」という奇跡を叩き出すドーパミン中毒の極致。一時の全能感と引き換えに、見知らぬ他人からの「クソリプ」という名の異臭を浴び続け、最終的には自分の投稿欄が怪しい宣伝やアフィリエイトのURLと化す短時間だけの有名税。


みどく【未読】メッセージを開くという一動作すら惜しいほど、今の自分にとって優先順位が低いことを暗に示す最も静かな拒絶。


みにまりすと【ミニマリスト】物を捨てるという行為に快楽を見出し、何もない部屋に住むことで精神的な優位性を誇示する現代の修道士。所有しないことに執着し、そのこだわりをSNSで発信する逆説的な物欲の形。


むぎちゃ【麦茶】夏に冷蔵庫内で無限に生成される茶色の生命維持水。水代わりにガブ飲みされ、氷の溶けた薄い味わいに「夏休み」の終わりのような侘しさを感じさせる。


むしぱん【蒸しパン】焼くという激しさを避け、蒸気という優しさに身を委ねた白く膨らんだ妥協の産物。素朴な甘さと、歯の裏に貼り付く粘着性が、幼少期の記憶を呼び覚ます。


むしよけすぷれー【虫除けスプレー】自らの皮膚を化学的な臭いでコーティングし、害虫に「不味そうな対象」だと思わせるための防護膜。塗り残した数センチの隙間が、敵の総攻撃を受ける急所となる。


むせる【噎せる/咽せる】気管に侵入した異物に対し、横隔膜と肺が一致団結して引き起こす殺意すら感じるレベルの「強制排出デモ」。涙を流し、顔を赤くしながら、「ここは空気以外の立ち入りは一切禁止だ!」と全身で叫ぶ肉体的な抗議活動。


むなしい【空しい】一生懸命積み上げたジェンガを、自分以外の誰かに(あるいは自分自身で)台無しにされた後の風通しの良さ。


めいわくめーる【迷惑メール】一度も会ったことのない海外の富豪や、身に覚えのない美女からの情熱的な連絡。削除しても翌日には増殖しているインターネットの海を漂う無神経な電子のゴミ。


めがね【眼鏡】ぼやけた世界を強制的に高画質化し、見なくていい現実の汚れまでをも白日の下に晒す。ラーメンを食べるたびに曇りという名の「ホワイトアウト」を引き起こし、所有者の無力さを露呈させる顔面用デバイス。


めぐすり【目薬】酷使された眼球に、一滴の潤いを与えることで再び画面を凝視する力を取り戻させる小さな薬瓶。狙いを外し、頬を濡らす一滴に自らの老化や疲れを実感させられる。


めずらしい【珍しい】味自体は微妙であっても「一生に一度は食べておくべき」という希少性だけで、不味さを好奇心へと変換できている状態。


めるかり【メルカリ】自らの不要品を「ゴミ」と呼ぶのを避け、他人の現金と交換するために使われるフリーマーケット。値下げ交渉という名の心理戦と、発送作業という名の内職を強いられる最も手間のかかる断捨離。


めろんそーだ【メロンソーダ】天然のメロン成分を一切排除し、合成着色料の鮮やかな緑色で子供たちの心を掴むネオンカラーの液体。上に乗ったバニラアイスが溶け出す瞬間の「混ざり合い」を、至上の贅沢と信じ込ませる。


めろんぱん【メロンパン】格子状の焼き模様のみを根拠に、メロンの名を語り続ける製パン業界における最大の詐称商品。その実体は砂糖の塊を被ったパンであり、一口食べるごとに剥がれ落ちるクッキー生地が掃除の手間を強いる。


めんせつ【面接】自分の本性を隠し、相手の期待に沿った「理想的な虚像」を演じきるオーディション。互いに嘘を交わしながら、使い勝手の良い歯車を探し合う数十分間の心理戦。


めんたいこ【明太子】魚の卵を塩と唐辛子で漬け込み、一切れで茶碗一杯を支配する博多の赤い権威。痛風という名の「将来の負債」を予感させつつも、そのプチプチとした食感に理性を売り渡す。


めんちかつ【メンチカツ】挽肉を衣で包み、油の中に放り込むことで、ハンバーグよりもはるかに攻撃的なジューシーさを手に入れた肉の塊。溢れ出す肉汁という名の脂で、翌日の胃壁を蹂躙することを約束されている。


めんどうくさい【面倒くさい】変化を恐れる脳があなたの「最初の一歩」を阻止するためにかける強力な呪文。


もうふ【毛布】乾燥した大気から静電気を回収し、暗闇で指先から青白い火花を放つスリリングな寝具。朝、この温もりから自分を引き剥がす行為は人生における最も困難な決断の一つに数えられる。


もすばーがー【モスバーガー】「ファストフード」を名乗りながら、注文後に平然と10分以上待たせるという、時間感覚がバグったこだわり派のハンバーガーショップ。最後には必ず袋の底に特製ソースが大量に余るという「構造上の欠陥」を抱え、それをポテトで救出するまでがセットの様式美。国産野菜という免罪符により、高めの価格設定と待ち時間を正当化するスローフード界の刺客。


もち【餅】米の粘りを極限まで高め、新年のお祝いを「窒息」という恐怖と隣り合わせにする白く丸い殺し屋。熱を加えれば際限なく伸び、冷めれば石のように硬くなる。


もつなべ【もつ鍋】内臓という、かつては捨てられていた部位を、ニラとニンニクの力で最強の酒のお供へと転生させた逆転の美食。翌朝に体に残る強烈な臭いこそが昨夜の享楽を証明する動かぬ証拠となる。


もんじゃやき【もんじゃ焼き】見た目の美しさを完全に放棄し、土手を作っては崩すという混沌とした工程を楽しむ東京の下町が生んだ液体状の粉もの。焦げおこげを削り取る執念に、人間の根源的な食欲が露呈する。


やきいも【焼き芋】冬の静寂の中に響く移動販売の声に誘われ、石の上でじっくりと甘みを凝縮させた大地のサツマイモ。皮を剥く際の手の熱さと、口の中に広がる素朴な多幸感が、現代人のささやかな癒しとなる。


やきそば【焼きそば】祭りの屋台や海の家においてソースの焦げる匂いという強力な誘惑で通行人の理性を奪う。紅生姜の赤が、その不健康な茶色の世界に唯一の彩りを与える。


やきそばぱん【焼きそばパン】炭水化物を炭水化物で挟み、栄養バランスという概念を真っ向から否定する日本の売店文化が生んだ重戦車。学生時代の空腹を満たすための最も効率的で野蛮なエネルギー補給源。


やきにくていしょく【焼肉定食】 「弱肉強食」という四字熟語と見間違えがちな、日本人が最も愛する平和な四字熟語。脂っこい肉と濃いめのタレ、そしてそれを受け止める白い米という、背徳感に満ちた炭水化物・脂質連合軍。午後からの活動を「激しい睡魔」という名の地獄に変える強力な催眠効果を持ちながら、千円札一枚で「自分へのご褒美」を完結させる胃袋の救世主。


やさしい【優しい】強くなることを諦めなかった人が最後にたどり着く「弱さ」への深い理解。


やしょく【夜食】理性が眠りについた深夜、胃袋が単独で決行するクーデター。翌朝の体重計という名の審判から目を背け、カップ麺や残り物に魂を売り渡す背徳感に満ちた真夜中のエネルギー補給。


やせる【痩せる】自分の食欲という名の野獣を飼い慣らし、重力という物理法則にささやかな抵抗を試みる終わりなき自己研鑽。


やっきょく【薬局】病院で長時間待たされた後、さらに追い打ちをかけるように待たされる処方箋という名の引換券を処理する場所。薬剤師の「今日はどうされました?」という、既に医者に話した内容を繰り返させる、確認という名の苦行がある。


やめる【辞める・止める】「続けない」という新しい選択肢を、自力で選び取った勇気のこと。


やるき【やる気】最も枯渇しやすく、かつ補充が極めて困難な精神的資源。必要とされる時に限って姿を消し、深夜の就寝直前や、やる必要のない別の作業をしている時にのみ溢れ出す天邪鬼なエネルギー。


やるき【やる気】勉強を始めようとすると必ずどこかへ失踪し、深夜やテスト終了直後になると突然帰宅する極めて気まぐれな居候。


ゆううつ【憂鬱】①心の部屋の湿度が上がりすぎて、出口のドアが自重で開かなくなってしまう閉塞感。➁心に低気圧が停滞し、世界がモノクロ映画のように色彩を失う、魂の長い雨期。何をするにも「意味」という名の重石が足首に絡みつき、布団という名のシェルターから一歩も出られなくなる、精神的な重力異常状態。画数の多すぎる漢字そのものが、その重苦しさを視覚的に体現している。


ゆうえつかん【優越感】自分より「下」の存在を確認することで、一時的に自らの価値を底上げし、安っぽい万能感に浸る心の麻薬。他者の不幸や無能を栄養源とする精神的な寄生活動。


ゆうき【勇気】恐怖を感じないことではなく、膝をガクガク震わせながらも「次の一歩」を踏み出すこと。


ゆうきゅう【有給】労働者に与えられた当然の権利でありながら、それを行使する際には「親族の不幸」や「急病」といったスパイスを振りかけないと罪悪感で味がしなくなる幻の休暇。


ゆーちゅーばー【YouTuber】自分の私生活を細切れにして、Googleという巨大な(アルゴリズム)に捧げる現代の生贄。または、カメラに向かって独り言を言い続ける孤独な重労働者。


ゆーちゅーぶ【YouTube】「5分だけ」と自分に嘘をついて開き、気づけば数時間後に「なぜ私は今、カピバラが風呂に入る動画を見ているのか」と哲学的な問いにぶつかる底なし沼。


ゆたかさ【豊かさ】持っている物の量ではなく、いかに多くの「自分には必要ないもの」を華麗にスルーできるかという知的な鈍感力。


ゆたんぽ【湯湯婆】布団の底に潜み、熱湯の力で冷え切った足を温める原始的な生命維持装置。明け方、ぬるくなったお湯を捨てる際の虚無感と不用意な接触によって「低温火傷」という名の愛の傷跡を残す一晩限りの同居人。


ゆとり【ゆとり】通帳の残高が自分の人格の欠陥をどれくらい隠蔽できるかを示す数値。


ゆめ【夢】追いかけている間は「希望」として機能するが、叶わなかった瞬間に「呪い」へと変貌する取り扱い注意の劇薬。


ゆめみる【夢見る】現実に押し潰されないよう、脳内に「もしも」という名の酸素を送り込み、窒息を防ぐための延命処置。


ゆるす【許す】相手を許すことではなく、相手から受けたダメージにこれ以上自分の時間を支配させないと決める自分への解放宣言。


よきんざんだか【預金残高】通帳や画面に表示される、自らの社会的な体力と精神の余裕を数値化したもの。給料日直前の枯渇した数字が、生存の危機を本能的に悟らせる。


よくぼう【欲望】一つを満たせば次の飢えが始まる人類を動かす永久機関。生存に不可欠なエネルギーでありながら、度を超せば自らを焼き尽くす制御困難な心の業のこと。


よてい【予定】立てた瞬間が最も楽しく、当日の朝になると「なぜ入れてしまったのか」と後悔するために存在する未来の自分への嫌がらせ。


よなかのアイス【夜中のアイス】翌朝の体重計への恐怖を、一口の冷たい糖分で黙らせる深夜の甘い逃避。一日のストレスを冷気で凍らせ、脂肪として体に刻み込む。


よびのかぎ【予備の鍵】紛失という「万が一」に備え、引き出しの奥底に幽閉された金属の保険。存在そのものを忘却された頃に、鍵を失くした持ち主がパニック状態で捜索し、ようやくその価値を再認識される孤独な守護者のこと。


よゆう【余裕】 貯金の額ではなく、目の前の絶望を「あとで笑い話にできる」と確信できる心のスタンス。


よろこび【喜び】期待していた事象が現実となり、脳内に快楽物質が溢れ出す一時的な報酬。手に入れた瞬間に「失う恐怖」が始まり、次のより大きな刺激を求めるための飢餓感へと繋がる短い凪の状態。


らじお【ラジオ】姿の見えない他人の喋り声を部屋に流し、孤独の濃度を薄めるための古き良き心の隙間埋め。自分のメールが読まれた瞬間に、見知らぬパーソナリティが「友達」に昇格する。


りかい【理解】相手のすべてを知ることではなく、相手の「分からない部分」を分からないまま受け入れるという諦念。


りしょくりつ【離職率】その組織がいかに「人を使い捨てにするか」、あるいは「いかに魅力がないか」を雄弁に物語る、隠しきれない会社の健康診断書。


りそう【理想】①現実という名の地図を持っていない者が、夜空に描く、決して手は届かないが方向を指し示す星座。➁手が届かないからこそ美しく、手が届いた瞬間に「思っていたのと違う」と捨てられる人間の身勝手な憧れの終着点。


りばうんど【リバウンド】一時的な飢餓に耐え抜いた肉体が、生命の危機を感じて「今こそ蓄える時だ!」と全力で脂肪をかき集め、以前より豪華な体型に仕上げてくれる肉体からの報復。


りぷらい【リプライ】他者の発言に対し、共感、反論、あるいは全く無関係な宣伝を割り込ませる、会話の横入り。顔の見えぬ相手への最初の一歩であり、時に友情を、時に終わりなき論争を生む。


りぼばらい【リボ払い】月々の支払額を固定するという甘い誘惑で、利息という名の魔物を増殖させる。完済までの道のりを永遠へと誘い、未来の自分に莫大な借金を背負わせる。


りもーとわーかー【リモートワーカー】上半身だけは「有能なビジネスパーソン」を装い、下半身は「パジャマ姿の怠惰な人間」として生きる現代のケンタウロスのこと。


りゅっくさっく【リュックサック】両手を自由にする代わりに、背後に巨大な死角を作り出し、混雑した車内で他者の進行を妨害する移動式の物置。背負っている本人は、自らがどれほど周囲を圧迫しているかに気づかない。


りょ【りょ】「了解」というたった二文字の言葉さえ、入力するのが面倒になった現代人の怠惰がたどり着いたコミュニケーションの極北。丁寧さを削ぎ落とし、相手への配慮すらも蒸発させた一文字で要件を済ませようとする究極の省エネ回答。


りょこう【旅行】非日常を求めて遠出し、多額の金と体力を浪費した末に、「やっぱり自分の家が一番落ち着く」という結論を得るための壮大な確認作業。帰宅後の荷解きという名の残務処理に、旅の思い出を即座に上書きされる。


りれきしょ【履歴書】自分の平凡な過去を、さも輝かしい物語であるかのように盛り付け、企業という審査員に「僕を買ってください」と差し出すチラシ。


りんご【林檎】 かつてはアダムとイブを楽園から追放し、ニュートンに物理学の苦悩を植え付け、現代ではスタイリッシュなロゴとして信者から多額の献金を吸い上げる歴史の分岐点に必ず現れる「魔性の果実」


れいとうしょくひん【冷凍食品】調理の手間を「解凍」という一段階にまで短縮した、文明の備蓄。パッケージの美しい写真と、実際に皿の上に出現する現物との乖離を、空腹という調味料で補完する時間のない現代人の救世主。


れんあい【恋愛】脳内で過剰分泌された化学物質により、特定の他人が「唯一無二の聖者」に見えてしまう一時的かつ幸福な精神錯乱状態。


れんきゅう【連休】どこへ行っても人混みと渋滞。結局「家で寝ていればよかった」と後悔し、仕事が始まる直前にようやく元気が出る皮肉な休暇のこと。


ろうご【老後】①若い頃に必死に働いて貯めた「お金」を、ガタが来た「体」のメンテナンス費用として社会に返還する期間。➁生存し続けることそのものが「リスク」として語られる、人生の最終段階。蓄えと健康という二つの砂時計が尽きるのを怯えながら待つ最も長く、かつ不安な時期。


ろぐいんぼーなす【ログインボーナス】毎日アクセスすることへの報酬として与えられるささやかなデジタルの餌。ユーザーをサービスへ繋ぎ止め、習慣化させるための巧妙な罠のこと。


ろぼっとそうじき【ロボット掃除機】健気に掃除を代行するフリをして、床に置き忘れた靴下や充電ケーブルを容赦なく飲み込み、部屋の隅で助けを求めて力尽きる、手のかかる家臣。彼を走らせるために、まず人間が床を片付けるという主客転倒を招く装置。

わーかほりっく【ワーカホリック】労働に依存することで私生活の空虚から目を逸らし、自らを「組織に必要とされている」と思い込ませる休日の過ごし方を忘れた悲しき現代の兵士。


わーくらいふばらんす【ワークライフバランス】仕事が生活を侵食しないように保つという、達成困難な努力目標。実際には仕事の合間に「生活」をねじ込むための時間調整に過ぎず、バランスを取ろうとすること自体が新たなストレスを生む皮肉。


わいふぁい【Wi-Fi】酸素や水と並び、現代人が生存するために不可欠な三大ライフラインの一つ。これがない場所は、もはや無人島と同じ。


わかさ【若さ】無知ゆえの全能感と、無限の時間という錯覚。失って初めてその価値に気づき、取り戻そうとして大金を投じる対象。


わかる【分かる】相手の気持ちを完全に理解することではなく、自分の過去の経験の中から似たような痛みのストックを見つけ出す作業。


わさび【山葵】鼻腔を突き抜ける一瞬の激痛を「風味」と呼び変え、その自虐的味覚を涙を流しながら味わえるスパイスのこと。


わすれられたかさ【忘れられた傘】雨が上がった瞬間にその使命を終え、鉄道の忘れ物センターや店の入り口で、かつての持ち主を待ち続けるビニールの亡霊。


わすれる【忘れる】脳が心をパンクさせないために、古くなった痛みから順番に捨ててくれる最大の慈悲。


わらう【笑う】「私は敵ではありません」という信号を周囲に送り、その場を円滑に収めるために顔面の筋肉を駆使する孤独な平和維持活動。


わりばし【割り箸】左右対称に割ることに全神経を集中させる食事前の小さな博打。失敗した際の不揃いな形が、その後の食事の情緒を微妙に削り取る。


わりびきしーる【割引シール】閉店間際のスーパーにおいて、自尊心と引き換えに安さを勝ち取るための勲章。貼られた瞬間に群がる群衆の姿は、資本主義社会における最も生々しい生存競争の縮図である。


わるくち【悪口】相手の耳に泥を投げつけ、自分のストレスを解消した「つもり」になる最も安上がりな娯楽。吐き出せば出すほど自分の品格が削り取られ、最終的には投げた泥で自分自身が一番真っ黒になっている返り血の激しい言葉のナイフ。


わんたん【ワンタン】肉の塊を極薄の皮で包み、スープという海に泳がせる。その儚い食感は、噛むことの喜びを忘れさせ、喉を通過する際の滑らかさだけを追求させる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ