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2.初めまして(3/4)

《キィー!!》

「部長!」

「おわぁ?!」


妖怪の声は何重にも重なって聞こえて気持ち悪い。

咄嗟に天ヶ瀬に貰ったお守りを持ったまま両手を前に突き出す。

すると倉橋の手から光が放たれた。


《ギャギャッ》


そのまま倉橋から放たれた光に突っ込んだ妖怪は消滅してしまった。


「え??」


倉橋はわけがわからず自分の両手を見つめる。

そしてお守りを見つめるとバッと天ヶ瀬に向き直る。


「お守りのおかげや!ありがとう!天ヶ瀬!」

「え??は?いや、そんなはず...」

「よかったね、お守りがあって」


朱雀は完全に楽しんでいるようで天ヶ瀬がそれを睨む。

そうこうしているうちにもあちこちのひび割れから先程と同じようにヒビツキが這い出てきた。


「よっしゃぁ!もっかい祓ったるで!」


さっき一体祓ったように、襲ってくるもう一体に構える。


「あれ?さっきは祓えたのに、なんで今は祓われへんの?!」


何も起きない。

「なんでぇ?!」

「どうしちゃったの明良君!さっきの感じだよ!」

「ほんま、わからんって!」


朱雀が既のところでヒビツキを倒す。

その時、天ヶ瀬の脳裏に昔の記憶がよぎる。


?『どうやって妖を祓ってるかって?そうだねぇ...』


「部長!落ち着いて、あいつが消えるイメージを強く、具体的に想像してください!」


天ヶ瀬が倉橋の襲いかかるヒビツキを蹴り倒してそう助言する。


「ほんと、数だけは多いなっ」


朱雀も襲い来る奴らを燃やしていき倉橋の時間を確保する。


「イメージ...あいつらが消えるイメージ...」


目を閉じて強く鮮明に想像する。

そして天ヶ瀬が取りこぼした一体が倉橋を襲う。


「部長!そっちいきました!」


目を開けてお守りを持つ手に力を入れる。

すると襲ってくるヒビツキに向かって光が飛んでいく。


《ギィー!》


「できた!」

「一体ずつじゃキリが無い。明良くん、光が全体に広がる感じでイメージしてみて!」

「よっしゃ!イメージ...」


先程と同じように目を閉じイメージする。

倉橋を中心に光がビルの1回層全体に広がっていく。


《ギャーッ!》

「できた!」


さっきまで重かった空気が軽くなる。

今いる階層のヒビツキは全部祓えたようだ。


「よし。このまま上の階も掃除していこうか」

「まだあるんか...」

「ここ何階ありましたっけ...」


元気よく足取りの軽い朱雀とは対照的に、倉橋と天ヶ瀬は既に疲れが見えてきている。


「おりゃっ」

《ギャッ》


何度も繰り返すうちに倉橋はコツを掴んだのか、どんどんヒビツキを祓っていき最後の階層まできた。


「これで最後や!」

《ギギィ!!》


全部で10階層。

倉橋は地面に座り込む。


「なんや、どっと疲れた気いするわ...」

「私もです...」


疲れきった二人に朱雀は明るく声をかける。


「二人ともありがとうね〜。おかげでこの辺りの建物崩壊を防げたよ」

「朱雀1人でも何とかなったんじゃないですか?貴方戦闘苦手ではないですよね?」

「流石にあの数は無理だよ」


「それもそうか」と思い直す天ヶ瀬。

狭い部屋にいる状況。

この場合朱雀は一対少数なら簡単に燃やせるが、大多数が相手だと大きな炎が使えなくてキリが無いのだ。


「ほな帰ろか。天ヶ瀬は俺が送ったるわ」


立ち上がって倉橋はそう天ヶ瀬に言う。


「あ、僕朧ちゃんに話あるから、僕が送るよ」

「そうか?じゃあ俺は先に帰るな。天ヶ瀬、また明日」

「はい。気をつけて帰ってくださいね」


倉橋が10階層から降りていくのを見届けて、暗く反響する部屋で静かに朱雀が口を開いた。


「どういうつもりであの少年と一緒にいるのか聞かないであげるけど、あまり執着しない方が君のためだよ」


倉橋に向けていた笑みを崩さぬまま硬い声で天ヶ瀬に苦言する朱雀。


「朱雀には関係ないです」

「あれ、敬語のままなんだ?」

「部長とあの人も関係ないので、心配はご無用です」


明かりも何もない空間。

天ヶ瀬の表情は暗くて分かりにくい。


「今日はもう帰ります。お疲れ様でした」


そう言うと天ヶ瀬はキュルっと霧に包まれたかと思えば、一瞬で姿を消してしまった。

一人残された朱雀は先程の言葉に返事をする。


「そうだといいね」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


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