5.ご機嫌(1/3)
怪奇事件調査同好会は正式な部として怪奇事件調査部昇格した。
が。
部室は霧で覆われていた。
「天ヶ瀬さーん...ご機嫌如何どすかー...?」
「......はい」
倉橋が声をかけるが、視線も合わず短い返事で終了。
「朧ちゃーん、お菓子あるよ」
「......」
お菓子だけ受け取って無視。
「全く、朧は子供ですね」
完全無視。
霧が濃くなった。
キリヤが入部してからずっとこうだ。
あれはキリヤが入部した直後のこと。
「よろしくお願いしますね?朧?」
「っ〜......ここでは部長が1番偉いんですから、部長の言うことは聞いてくださいね」
怒りを一旦沈めて、冷静にそう言う天ヶ瀬に、キリヤは口を開く。
「明良が隊長ですか?昨日の戦闘を見る限り、下っ端が妥当だと思いますが?」
「この部活は部長が作ったんです。1番偉いのは当たり前です」
「実力が1番低い者の下につくのは些か疑問に思います。仮に実力があったとしても、明良に上に立つ者としての素質はないと思います。そんな者の下についている貴方達も、実力を疑いますね」
このキリヤの言葉に天ヶ瀬がキレたのだ。
「天ヶ瀬、キリヤのこと許したってや」
「嫌です。部長のことも貶してるんですよ?」
「まぁ、キリヤも悪気があるわけちゃうから」
倉橋がキリヤを庇うのをみて、天ヶ瀬は何も言えなくなる。
「キリヤばっかり悪いわけちゃうから」
「っ〜......もういいです」
それから天ヶ瀬はついに倉橋まで無視してしまうようになる。
「天ヶ瀬ぇ...」
「......」
部活動以外の休み時間にも天ヶ瀬のクラスに通いこむ倉橋だったが、最後まで無視を貫く天ヶ瀬だった。
「天ヶ瀬さーん...」
「......」
「どないしたらえんやろ...」
「クッキーでも作ってみたら?あの子意外とそういうの喜ぶよ」
朱雀がアドバイスする。
「でも、俺お菓子なんて作ったことないし...」
「こういうのは気持ちだよ。一生懸命作れば、きっと機嫌直してくれるよ」
最初は不安だったが、徐々に「よしっ」とやる気が起きる倉橋。
放課後は部活を休んで調理実習室に駆け込む。
「クッキー言うても色んな作り方あるんやな...」
「スマホ一つで簡単に調べられるなんて、時代だねぇ」
「なんで私まで...」
朱雀とキリヤを巻き込んでクッキーの作り方を調べる。
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