3.血筋(4/4完)
「おりゃ!」
そこで入口の神社、空中から鎖が飛んできた。
「むっ」
「遅いですよ!」
「ごめんごめん」
朱雀が倉橋を抱えて戻ってきた。
「またこれか。何度やっても同じことよ」
「明良君、さっきの唱えて」
倉橋は目を閉じて強くイメージする。
そして発する。
「天雷!」
鎖を通じて天狗に電流が渡り天に届く。
「ぐあ“あ“っ!!」
そして、晴天なのにどこからともなく雷が天狗に向かって落ちる。
「やった!効いたで」
そのまま天狗は地面に落ちて倒れる。
「僕の炎は霊的な力より弱いからね。明良君の雷なら効果あるよね」
そして天狗が起きるのを待つこと小一時間。
「ワシの負けだ。煮るなり焼くなり好きにするがいい」
天狗はそう言うとその場で胡座で座り込む。
「いや、ただ探し物探しに来ただけなんで」
倉橋の言葉に天狗は目を丸くさせる。
「なんと?!それならそうといえば良いではないか!」
「話聞かんと攻撃してきたんはそっちやん...」
丸焦げで豪快に笑う天狗に呟く倉橋。
「そういえば、結界をすり抜けて飛んできた物があったのう」
「確かあそこに...」と社の奥に引っ込む天狗。
「あったあった。これだ」
その手には可愛らしいお守りがあった。
男子生徒に聞いていた特徴と一致する。
「これや!」
「恐らく妹さんの清い思いが込められてるから結界をすり抜けたんだね」
これで一件落着。
お騒がせした天狗に謝って神社を出る。
道中で重大発表がされる。
「えっ?!うちの先祖って、あの安倍晴明なん?!」
朱雀の発言であんぐりと口を開ける倉橋。
「うん!君の力は血筋によるもの。だからお守りなんて媒体は要らないんだよ。何より君と晴明って本当にそっくりなんだもの、びっくりしちゃった!」
「そんな...安倍晴明って...」
俯いて言葉を失ってしまった。
「部長...たとえ部長がどんな出自でも私は部長のこと」
「これってぇ!モテるやんな?!」
「...は?」
天ヶ瀬が気を使って声をかけると、被せるように倉橋は叫んだ。
「先祖が安倍晴明って言うたら、かっこええよな?!え?!俺、モテてまうん?!」
興奮気味の倉橋を、二人はいつかの時のように呆れた方向を向く。
「...僕、本当に彼が晴明と同じ血筋なのか疑わしくなってきたよ」
「...大丈夫です。私もなので」
三人の明るい声が静かな現場に少しだけ響いた。
夕焼けがゆっくりと空を赤く染めていく。
その喧騒が少し遠くなった時。
薄暗い建物の影から、細長い影がひとつ揺れた
「あれが、日本の陰陽師ですか」
風がひゅうっと鳴る。
次の瞬間、そこにはもう誰もいなかった。
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