3.血筋(3/4)
「明良君、そのままね!」
もう一度朱雀が炎を出す。
「無駄なことを」
また天狗が団扇を振りかざそうとした時。
ギシッと体が動かない。
「むっ」
後ろを振り向くと、正面にいるはずの倉橋がお守りから鎖を出して天狗を縛っていた。
天ヶ瀬の能力で見せていた正面の倉橋が霧で消えて、そのまま朱雀の炎が天狗を覆う。
「その調子です、部長」
「おう!けど、なんか体の力抜けてくるわ」
炎が消えて丸焦げの天狗が鎖に縛られたまま口を開く。
「小賢しいことを。この鎖はなかなか厄介だが...いつまで続くかのう?」
天狗が力を入れて鎖を引きちぎろうとする。
「うお?!なんか引っ張られる感じする?!」
「天狗を縛るイメージを強く持ってください!」
「ん“ん“ん“〜〜っ!!」
「ふん!」
踏ん張るも虚しく、鎖が引きちぎられた。
「部長、もう1回いけますか?」
「任せろ!」
お守りをかざして先程のように力を込めるが。
「あれ?!なんも出んくなった?!」
ガス欠のようにプスッと音を立てるだけで何も起きない。
鎖は、倉橋の力を大きく消耗するようだ。
「早いな。もうきちゃったか」
予想していたらしい朱雀が背中に赤い羽根を生やして天ヶ瀬に声を投げかける。
「朧ちゃん!すぐ戻ってくるからしばらく粘っといて!」
「うおっ?!」
朱雀はそう言って倉橋を担いで、翼を羽ばたかせて飛んでいく
「ちょっと?!私戦闘タイプじゃないんですけど?!」
天ヶ瀬を置き去りにして、神社から一気に離れる。
「朱雀、天ヶ瀬だけで大丈夫なんか?」
「大丈夫大丈夫。あの子も伊達に千年生きてないから」
「千?!」
朱雀の翼であっという間に目的地に到着した。
場所は晴明神社だ。
「ここって...」
「晴明神社。明良君と凄く相性がいい場所だよ」
朱雀について行くと社の御扉を躊躇なく開く。
「勝手に入って大丈夫なんか...?」
「ここは神域だからね。人っ子一人いないよ」
「ほな大丈夫...か?」
社の奥に、どこから出してきたのか朱雀が座布団を敷く。
「ここに座って」
「何するんや?」
「今から明良君の消耗した霊力を、霊息法で回復する」
「霊息法?」
「霊力の流れを整えて回復する呼吸法だよ。鎖は明良君の力を大きく消耗する。だから一度、霊息法で霊力を整えてもらう必要がある」
「ほう?」
「取り敢えずやってみようか。座禅の姿勢で、お腹に力をいれてみて」
目を閉じてお腹に力を入れてみる。
が、何も感じない倉橋。
「う〜ん...?」
「お腹に気を集めるんだよ。吸って、貯めて、巡らせて、吐く」
「う〜んん??」
「これは時間かかるなぁ」
場所は変わって天護神社境内。
天ヶ瀬は霧で幻を見せて天狗を惑わせていた。
「ふん!」
しかし風で簡単に吹き飛ばされる。
「本当、相性最悪ですね」
「しぶとい奴め。ここまで足止めされるとは思わなんだ」
天狗が団扇を振りかざし、攻撃する。
「無駄です」
攻撃は天ヶ瀬をすり抜ける。
今度は倉橋達を追いかけようとする天狗だったが、霧の幻で同じ場所に戻される。
「なかなか厄介な術よ」
「お互い様です」
またもや天狗の団扇で霧が晴れる。
天狗が神社を出る直前で天ヶ瀬が霧で惑わすのを繰り返す。
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