表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/21

1.怪奇事件調査同好会(1/5)

放課後の渡り廊下に、少し気の抜けた声が響いた。

「すんません」

「はい?」


伊達メガネをかけた男子生徒が女子生徒二人組に後ろから声をかけた。

ポーズをとって、メガネは日の光に反射して光っている。


「よかったらこれ、受け取ってくれへん?」

「はぁ...?」


無駄にカッコつけて男子生徒が渡したのは“怪奇事件調査同好会”の勧誘のビラだった。

女子生徒達はそれを男子生徒に返す。


「ごめんなさい、うちらもう部活入ってるんで」

「そうやったん?こっちこそごめんなぁ。ところで、よかったら連絡先交換せぇへん?」

「ごめんなさい」


女子生徒たちは返事もそこそこに自分たちの部活へ急ぐ。

男子生徒は照れ笑いを浮かべ、伊達メガネを外した。


「照れさせてもうたんかなぁ」

「そんなわけないでしょう、倉橋部長。引いてましたよ、あれ」

「天ヶ瀬」


男子生徒、倉橋明良の後ろからツッコミ。大和なでしこが似合う藍色のショート髪の女子生徒、天ヶ瀬朧だ。

天ヶ瀬は呆れたように言う。


「ていうかそのメガネ伊達ですよね。いちいち外すの面倒じゃないですか?」


倉橋は「フッ」と笑う。


「かっこええ男は、メガネしとかへんかったらモテすぎてまうやろ?」

「モテないの自覚したくないからですよね」

「うるさい」


こんな会話はいつものことである。

怪奇事件調査同好会を設立してから約2ヶ月。何もすることがなく、天ヶ瀬の仕事は倉橋のツッコミをするくらいしかない。


「というか今更部活勧誘って...もう6月で...って、ん?」


天ヶ瀬が呆れていると視界の端に動くものが見えた。

廊下のざわめきが、ふっと遠のいた気がした


「どうかしたん?」


天ヶ瀬は壁をじっと見ている。

すると、天ヶ瀬の影が、夕日と逆方向へグニャリとズレたように見えた。


「え?!今動いたで?!」


天ヶ瀬自身は微動だにしていない。

倉橋が声をあげると、影は元に戻ったように見えたが、壁にわずかに残る歪みが、不気味に揺れていた。


「なんやったん...?今の...?」


天ヶ瀬はしばらく黙って、壁の歪みをじっと見つめた。

目に映った影の異様さを、頭の中で整理しているようだった。


「...実は私影を操る妖怪なんですよね」

「え?!妖怪?!」

「今まで黙っててすみません...」

「そんな...天ヶ瀬が妖怪...?」


あんぐりと口を開ける倉橋に「予想通り」と顔を綻ばせる天ヶ瀬。


「嘘ですけど」

「...嘘かい!」


天ヶ瀬はたまにこうして倉橋に嘘をつく。

それで倉橋が大げさに驚くのを見るのが好きなのだ。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


少しでも「面白い」「続きが気になる」と思ったら、下の星やブックマークを押していただけると励みになります。


どうかよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ