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封印計画

 戸川の登場で一同青くなったが、気を取り直して次の話題に移る。

 いよいよ悪霊、京極刑部の封印計画になる。

「私だけでなく研究室のメンバーと綿密な計画を立てました。おそらく、これが最善だと思っています。江戸時代の祓いしには到底及ぶべくもない我々ですが、現代には現代の策があります。それでここにいる皆さんの協力が必要となります」

 どんな提案が出るのか一同が固唾を飲む。

「まずは職業訓練校側の対応が必要です」

 平山校長が青ざめた顔で言う。

「何でしょうか?」

「我々が行おうとしているのは、江戸時代に行われた封印の再現です。そのためにあの倉庫の床下にある京極の骨壺を明らかにします。その上で再度封印作業を行うのです。つきましては倉庫の床下を掘り起こす、一連の作業の許可をいただきたい」

「なるほど、わかりました」

「あと、お願いですが、その際の費用についても学校側でご用意いただきたいです」

「わかりました。その方向で検討しますが、費用については私の一存では決められません。一度、持ち帰って検討させてください」

「そうですね。了解しました。また、掘り起こすことが決定しましたら、工務店は施工を担当したところにお願いしたい。場所や施工内容は彼らが一番熟知しているでしょうから」

 浅川が手を上げる。

「毛利工務店には私から話してみます。費用についても見積もりを取ってみます。支払いについては校長の方で検討してください」

 平山校長がうなずく。萩原が続けて話す。

「それと平山校長、気が早い話ですが、もしうまく封印できましたら、あの場所は開かずの部屋とさせてください。未来永劫、完全な閉鎖を希望します」

「わかりました。その方向で検討します」

「また、封印当日は校内は立ち入り禁止とさせてください。まあ、どなたも入りたいとは思わないでしょうが」

「大丈夫です。現在も休校状態ですから」

 結城宮司の事件以来、学校は休校になっている。もっとも授業を始めたところで誰も来たいとは思わないだろう。

「工務店が骨壺を掘り起こした後は、我々、私と助手の関口だけで封印作業を行います。戸川さんら警察関係者は現場周辺の安全確保をお願いします」

「大丈夫です」戸川の一存で大丈夫なのかとは思うが、彼女が言い切る。まあ、それしかないだろう。

 浅川が手を上げる。

「何ですか?」

「私も同行させてください」萩原は少し躊躇するが、浅川は続ける。「大丈夫です。ここまで来たんです。乗りかかった船です。最後まで結末を見届けさせてください」

「浅川さん、命の保証は無いですよ」

「覚悟の上です」

「わかりました。でしたらお手伝いをお願いします。当日、機材運びも必要です」

「具体的にはどういった形を取るのでしょうか?」

 浅川の質問に萩原は慎重に答える。

「それについてはここでは言いません。いや、言えません。実際、どうなのかはわかりませんが、悪霊はしたたかです。どこで聞いているかわかりません。いや、もうすべてわかっているのかもしれませんが、細心の注意を払いたいです」

「わかりました」

「すべては封印当日に明らかにします」

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