32.傷痕は燦々
あの状況から、信じられない事に、二度寝を決め込んだ彼女を何とか起こすと、彼女をベッドに座らせた。私室で過ごすに当たって、したい事がある。
彼女の髪を、とかしたい。
ジゼルは、自分の髪を…その髪色を、心底憎んでいる。その為だろう、ほとんどとかしていない様だ。たとえ手入れをされなくとも、若々しい彼女の髪の毛は、いつも燦々と銀色に輝いている。だが、どうせなら…とかしてやりたい。
それはきっと…彼女の為では無い。
自分の為、身勝手な行為であると思う。
テオドールも、生前、良く彼女の髪の毛は綺麗だと言っていた。まあ…テディは、彼女について、全てが可愛いと言っていたが。その通りだな。よく分かっている。
当たり前だが、女性の髪なんか、とかした事は無い。そもそも、ジゼル以外の女性の髪に、望んで触れた事は無い。なので、昨日家に帰った際に、母親に櫛を借りた。母親は、ついでにと、髪の手入れについて書かれた本と、髪留めも渡してきた。
本には、髪の結い方も載っており、彼女に似合いそうなものもある。練習すれば出来そうだ。野営訓練に支障が無ければ、今度いろいろ試してみたい。きっと、可愛らしいと思う。
綺麗に編み込まれた銀色の髪で、可愛らしく笑う彼女を想像する。現実には…笑ってくれるかは、分からないが……
彼女は、髪をとかそうとすると、初めは戸惑っていた様だが、無理矢理肩を押さえつけると大人しくなった。所々、毛先が絡まっている箇所も、解いていく。
櫛を入れる毎に、段々と、銀色の髪の毛がより一層、燦々としてくる。彼女は、口に出されると嫌がるだろうから言わないが、どんな髪より、綺麗だと思う。そして、良く似合っている。
納得のいくまでとかし終え、彼女に、髪を束ねる留め具を渡す様に言うと、当然の様に、総務課で貰える事務用品である、軍用の輪ゴムを渡された。
いつも、彼女が髪を留めている物を見ては、もしや……と、思ってはいたが……
さすがに、これは無いだろう。
だが、彼女は、何が駄目なのか理解出来ない様だ。そんな風に堂々と疑問を呈されると、こちらも何が駄目なのか良く分からなくなって来るが…駄目なものは駄目だ。この、綺麗な髪には合っていない。
母親から渡された、髪留めで留める事にしよう。しっかりした、髪留め用のゴム紐に、銀色の小さな飾りが付いている。その飾りには、アイゼン家の家紋が装飾されていた。こういったものを、アイゼン家以外の者が付ける事は、普通はしないと思うが、母親が渡してきたのだ。
彼女とは、もうすぐ婚約する。例え、俺がガルシア家の婿養子になる形だったとしても、彼女が付けて構わない、という事だろう。それに、あまり自分で言うのもなんだが、アイゼン家の家紋が装飾された物を身につけておけば、変な輩は寄って来ないだろう。彼女は可愛らしいからな。良い虫除けになるだろう。
いつも、彼女がしている様に、耳の少し上辺りで、髪を一つにまとめ、髪留めで結んだ。
銀色の髪が、サラサラと揺れる。初めてにしては、納得の行く仕上がりだ。
揺れる銀色の髪を一房手に取り、その毛先にそっと口付けた。気付かない彼女は、大人しく前を向いて、髪が結い終わるのを待っている。
出来る事なら、ずっとこうしていたい。
髪を纏められた彼女は、軍服を着ていないため、いつもは見えない、細いうなじや、なだらかな肩が見える。
肩にも、顔と同じ様に、傷痕が付いていた。
彼女が…ここまで来るのには、相当な努力を要されたはずだ。彼女は、幼い頃に徴兵され…調べたところ、自身で耳を取れるまでに約3年かかっている。訳ありでなければ、そんな兵は、とっくに切り捨てられている。正直、軍人という職業に適性があったとは思えない。
父親が言う様に、まるで武運が固まってそこにあるかの様な彼女だが、武運一つで、生きながらえる事など、不可能だ。
体も、傷だらけだろう。
一つ一つの傷痕が、彼女が生き抜こうと、足掻き、努力した結果だ。
彼女の、傷痕も全て、手に入れてしまいたい。今すぐここで押し倒して、服を脱がせて、体に付いた傷痕も、一つ残さずこの目で見たい。
彼女の肩に付いた傷痕を見ていると、徐々に、願望が抑えられなくなってくる。
押し倒したい。
大声を出されない様、左手で彼女の口を背後から塞ごうとした時、彼女が、ソファーの方をチラチラ見ている事に気付いた。
ソファーのテーブルの上には、家から用意してもらった、朝食を入れたバスケットを置いている。私室には、美味しそうな匂いが漂っており、彼女は何となく気付いて、眠そうだが、ソワソワしている。
その姿を見たら……毒気を抜かれてしまった。
美味しそうに食べ物を頬張る彼女は、可愛らしい。いくらでも見ていたい。
結局、彼女に回しかけた左手を引っ込め、髪を結い終わったと告げた。彼女は、こちらを振り返り、不思議そうな顔をして、結ばれた髪を、両手で触っている。
自分で用意しておいてなんだが、彼女の今の服装は、目に毒だ。早く軍服に着替えさせないと、また口を塞いで押し倒したくなる…
彼女のクローゼットから、軍服を取り出し、軍用ブーツと一緒に持たせると、視界から遮る様に、シャワー室の扉に押し込んだ。
………危なかった。
少し、冷静にならなくては──
彼女が着替えている間に、バスケットから朝食を取り出す。家の料理長は、俺が軍で彼女と食事を共にしたい旨を告げると、喜んで、夕食だけでなく、朝食も用意すると申し出てくれた。彼女は、軍の購買部で、良く珈琲を買っており、紅茶だけでなく、そちらも好きな様だ。彼女の好みを一通り料理長に伝えると、最近流行りの珈琲豆があるとかで、朝食に添えておくと言われた。
バスケットの中には、その流行りのものであろう、引かれた珈琲豆と、淹れる為の器具が入っている。彼女が着替えている間に、朝食をテーブルに並べ、珈琲を淹れた。
私室中に、珈琲の柔らかな香りが漂い始める。
俺だけでなく、彼女もそうであろうが…例え貴族家の者だとしても、この国の軍人ならば、自分の身の周りの事は、一通り何でも出来る。特に、偵察班に所属し、単独で、任務や遠征に赴く彼女にとっては、当たり前の事だろう。
だが…自分でも何故だかよく分からないが…彼女には、身の回りの世話を焼きたくなる。身なりを整えたり、食事を与えたり…
どうしてだろうか。なぜ……
考えても、良く分からないが…アイゼン家では、父親に邪魔された。今度、絶対続きをさせてやる。
珈琲を淹れ終えると、着替えを終えた彼女が、シャワー室からこちらを伺う様に、顔を覗かせた。あの室内用の服は、早く俺の視界に入らない所に片付けなければ。足早に彼女に近づき、サッと服を取り上げると、クローゼットに封じ込めた。
似合いすぎるのも、問題だな。
いやでもしかし…またあの姿を見たいのも事実だ。どうしたものか…
とりあえず、悩んでも仕方がない。朝食を食べよう。ソファーに向かい、彼女を手招きして呼んだ。彼女は、朝食の存在を確認すると、ようやく、眠くなさそうな、しっかりした顔つきで、声を上げて喜んだ。
全く…寝起きの悪さを、この野営訓練中にどうにかしなければな…
彼女は、珈琲を渡すと、嬉しそうに隣に座る。私室のソファーが、彼女の重みで、ほんの少しだけ沈んだ。夕食の時は…絶対膝に座らせよう。
美味しいと言って、珈琲を飲んでいた彼女だが、カップを見つめ、何かを思案する様な表情になった。
彼女は、俺との会話の中で、時折りこの様な表情をする。どの様な感情からくるものなのか…未だに分からない。何となくだが、本人にも分かっていないのではないだろうか。
恐らく、違うと思うが…何か足りない物があるかと尋ねると、やはりそうでは無いと言う。そして、朝食を準備した事に対する、礼を述べて来た。
どの様に、礼を述べるか、思案していたのだろうか。エイダン殿が、独房で会った際、彼女の言葉遣いについて、心配していたが…確かに、完璧とは言いがたいが、彼女は武芸と同じく、日々悩み、努力しようとしている。それだけで、素晴らしい事だ。それに、俺に掛ける言葉の為に、思い悩む姿は可愛らしい。
どれだけ言葉を選んだ所で、伝わらない事もある。あまり気にしないで欲しいのだが…加えて言えば、俺には改まった話し方では無く…そう、敬称では無く、名前を呼んで欲しい。
だが、どうやってそれを説明すれば良いか、俺も分からないでいる。
難しい問題だ。まあ、今は、朝食が冷めては美味しくないだろう。彼女に勧めながら、今日の予定を聞いてみた。午前中は、全体訓練だが、下士官の彼女は、午後は個別に軍務に当たるはずだ。
やはり、午前中はマシューの小隊の全体訓練に参加すると答えた。彼女なりに、下級兵をどう育てるか、しっかりとした考えを持っている。立派な事だ。
今まで、言葉遣いや、社交よりも、武芸を優先して来た…それで構わないと思う。彼女は十分努力している。次にエイダン殿に会ったなら、是非伝えたいものだ。
偵察班出身のリーが、中隊長になってから、リーの持っていた軍務や、任務は、彼女が引き継ぎをしている様だ。実力は、下士官として申し分無いだろう。
彼女と、同窓のミラー伍長、この2人は、リーに師事された事もあり、部下の面倒を良く見ている。事実、ミラー伍長の分隊の兵は、仕上がりが良い。
だが、その為普通科や、他の科から、前線で人手が足りなくなった時に、安易に隊から補充を出す様依頼されている。手っ取り早く、兵を補充出来るが…その場しのぎの愚策だ。そう何度も使う策では無い。普通科で、多く新兵を教育出来る様、考えるべきだが、前任者の連隊長は、記録を見る限り、そうした依頼を一度も断る事無く、兵を出している…
そして、前回の依頼で、ミラー伍長の分隊から出した者達は、ついに全員殉職している。その為、ミラー伍長の分隊…マシューの小隊まで、人手不足だ。頭が痛い。
リーや、彼女や、ミラー伍長の様に、個人で下級兵の育成に力を注いでくれる者もいるが…組織として、何か策を考えねばいけない局面だろう。
彼女の言葉を聞いて、考えを巡らせた所で、彼女は午後の予定に言い淀んだ。
偵察班の者は、諜報部からの依頼を受ける者も多い。彼女も、その一人だ。リーが受けていた依頼を、彼女が引き継いでいると聞いている。
諜報部──この軍では、広報部と同じく、軍内にあれど、独立した機関だ。諜報部からの依頼は、多岐に渡ると聞くが、依頼を請け負う兵以外には、詳細が伝えられる事は無く、興味本位で聞く事は軍規違反となる。依頼が来た場合は、他の軍務より優先してその任務に当たる事が、軍と諜報部との取り決めとなっている。
諜報部からの依頼であれば、さすがに口外出来ない。言う必要は無い、と言いかけた所で、彼女はいきなりこちらに向き直った。
「……ジゼル、ど、どうした急に…いや、午後の予定は、言えないのなら、言う必要は無い。君は、諜報部からの依頼も来ているだろう?それについては、言えないだろうから──」
彼女は、何やらパンを、その小さな口いっぱいに頬張って…珈琲も、ごくごくと飲み出した。
「ぷはっ……」
「ジゼル………?」
そして、息苦しそうな顔になり、何かを言おうとしている。
「ノ……ノ……」
「え?何だ?良く聞こえないが……」
「ノ………」
「の?」
の───……まさか⁈
「ジゼル⁈大丈夫か⁈何だか苦しそうだが…ああ!パンが喉に詰まったのか⁈」
恐らく、「喉に詰まった」と、そう伝えたいのだろう。珈琲で流し込む様に言うが、きっと苦しいのだ、上手く出来ないでいる。
何という事だ…早く流し込まないと…まさか、パンが喉に詰まって殉職するなど、あってはならないっ!!我々が殉ずるならば、戦場で無ければ……いや、彼女の事は、絶対守ってやるつもりだが、まさか俺が持って来たパンでこんな事に……
「ジゼルッ!早く流し込みなさいっ!!」
「ノ…ノ…」
「ジゼル、飲みなさい!」
ああ、大変だ!このままでは、本当に……!
「ノ…ノ………ノードレド地方の食文化について、どう思われますかっ⁈」
「は?」
「……ごくっ……」
彼女は、謎の問いかけと共に、珈琲を飲み込んだ。
「良かった、パンの詰まりは取れた様だな。ノードレド地方……ここから南方だな。俺はあまり詳しくないが、そこの食文化は変わっているのか?」
「変わっている訳では無いのですが、主食が、稲科の種子で、炊いたり、蒸したりするのですが──」
「そうなのか。」
何だかよく分からないが。パンの詰まりが取れた様で、安心した。本当に、良かった……
また、せっせと朝食を食べながら、ノードレド地方の食文化について力説してくる彼女は、可愛いものだ。彼女は、任務で他国に行く事も多い。仕事柄、他国の文化に興味も湧くのだろう。任務を遂行する為に、必要な知識でもある。ノードレド地方に興味があるのも、素晴らしい事だと言える。
それに、彼女の声を聞いていると、人の話を聞きながら、食事をする、というのも、悪くないものだと思う。
そんなに、その地方の料理は美味しいのだろうか。俺は叶うなら、このまま彼女を食べたいが。
彼女の力説を聞きながら朝食を食べ終え、2人で私室を出ながら、そんなにノードレド地方の食文化に興味があるのなら、アイゼン家の料理長に言って、作ってもらおうと提案すると、彼女は嬉しそうに微笑んだ。本当に…ひた向きで可愛らしい。
歩きながら、彼女の肩を抱き寄せる。彼女は、嫌がる事も無く、大人しくしている。夕食も、一緒に食べるのが、楽しみだな。
「ジゼル、」
「はい、少佐。」
「俺も…なるべく早く、軍務を片付ける。夕食を持って来るから、一緒に食べよう。今日の訓練が終わったら、大人しく私室に────」
「アイゼン少佐。」
肩を寄せる彼女に、訓練後は、大人しく私室に戻る様言い聞かせようとした時、背後から呼び止められた。
振り向くと、自分の私室の向かいの部屋から、上官が顔を覗かせてこちらを見ている。父親と同年代の上官は、なにやら心配そうな顔をしている様に見えた。
「おはようございます。」
そう言いながら、彼女の肩を、より一層抱き寄せると、上官はゆっくりこちらに歩いてきた。
「あ……おはようございます。」
彼女はそう言って、俺に肩を抱き寄せられたまま敬礼した。
「ガルシア軍曹、おはよう。今日も野営訓練だね。大変だろうけど、しっかり励みなさいね。」
上官はそう言って、彼女に優しい笑みを向けた。彼女は、優しそうな人だな、とでも思っているのだろう。笑顔を返している。
「アイゼン少佐、出勤中に悪いけどねえ、ちょっと話したい事があるから、良いかな?」
「今ですか?」
「うん、そうだよ。……君、そんな嫌そうに……とにかく、廊下ではなんだから、君の私室で話そうか。」
「はい……」
そういうと、上官は、俺から彼女を引き離した。
「ごめんね、ガルシア軍曹。」
「いえ………」
「訓練、頑張ってね。」
「ありがとうございます。」
彼女は上官に促され、歩いて私室棟の出口に向かって行った。くそっ……本当なら、一緒に行けたのに……
「相変わらず、殺風景な部屋だねぇ、ノア君。」
ノアの私室を見渡し、上官が少し笑いながら言った。
「お話とは…何の件でしょうか。閣下。」
「君は…本当に機嫌が悪そうだねえ。君の事は、下級兵の時から見てきたけど…まさか君にこんな心配をする日が来るとはねえ。夢にも思わなかったよ。」
上官は、やれやれと頭を掻きながらノアを見る。
「何の事でしょうか?」
「……ノア君、君は昨晩ガルシア軍曹の私室にいたのかい?駄目だろう?ちゃんと自分の私室に戻らなきゃ。まあ、ルーカス君から聞いてはいるがね。」
「兄上から?」
「そうだよ。君達は婚約───」
「そうです。彼女は婚約者ですので。何の問題もありません、閣下。」
「こらこらこら!まだ、違うよねえ?嘘は駄目だよ、嘘は。これから婚姻を結ぶ予定なんでしょう?」
「…………………」
「何か言いなさいよ……あんなに堂々と、私室棟の廊下で肩まで抱いちゃって……本当に、あの君がねえ、ジキルの娘と…まあ、君が幸せそうなのは、喜ばしい事ではあるのだろうけどね、とにかく、君達は婚姻前なのだからね。ルーカス君も心配していたよ?人前では、節度ある行動を取りなさいね。……全く、君にこんな事を言ってる自分自身の方が、信じられないよ……」
相変わらず無言のままのノアを見て、上官は深くため息をついた。
「この件は…とりあえず、君に注意はしたからね?君は軍人であるが、アイゼン家の人間でもある。彼女に対する行動には、気を付けなさいね。」
「……………」
「君は…ガルシア軍曹の事になると、別人の様な態度だねえ。」
無視を貫くノアを、上官は呆れた目で一瞥して呟く。
「ああ、ノア君。話は変わるけど、この前の…前線での捕虜はどうしたね?相手側からこちらの要求に対して、回答は無かったのだろう?」
「宣言通り、下士官以上を残して処分しました、閣下。」
「うん、それで良いよ。……今度はちゃんと返事をするんだねえ……残した捕虜はどうするか決めたのかね?」
「応じる者については、こちら側の兵として使おうと考えています。閣下もご存知でしょうが、今軍内は、下級兵を中心に、数が不足しています。解決策にはなりませんが…多少ましにはなるかと。」
「そうだねえ。残しておいても無駄なだけだからね。応じた者については、待遇良く扱いなさい。だが、使い潰すつもりで、投入する場所は選ぶ様に。」
「承知しました、閣下。」
「なかなか……頭が痛い問題だねえ。」
「はい。早急に、兵の育成について策を講じます。」
「いや、そっちじゃなくてね。君の方だよ。まさか、佐官の君にこんな、生活面で学生みたいな心配を………」
「どういう事でしょう、閣下。」
「……もう、良いよ。どんなに心配しても、止められない事もある。ジョセフには悪いがね。……さあ、もう行きなさい。引き留めて悪かったねえ。」
「本当ですよ、閣下。彼女は先に行ってしまいました。」
ノアは恨めしそうに、ジロッと上官を睨みつけた。
「それは……悪かったねえ。ほら、行った行った。」
上官は、最後まで恨みがましい視線を送ってくるノアを送り出し、自身の私室の前でため息を着いた。
「いや、話には聞いていたが、想像以上だねえ。信じられない。ジョセフが心労で、やつれもする筈だ。」
そして、向かいにあるノアの私室と、その右隣にあるジルベールの私室を見て頭を掻くと、自身も出勤するため、私室に戻った。私室の扉は、パタンと乾いた音を立てる。
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不慣れな点が多く、時折改稿をしながらの投稿をさせて頂いています。
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