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しめくくり

今日からいよいよ4月。一昨日から一挙に春を通り越した初夏のような陽気が入って、桜も大あわてしていることでしょう。3月27日に文京区ばかり三か所、お墓参りのハシゴ。本駒込の清林寺(蓮尾家の菩提寺。もっとも亡夫嘉彪は東京湾で散骨したのでこのお墓にはいません)、同、吉祥寺(嘉彪の上司、吉井正さんのお墓)、そして母方の長崎家のお墓がある護国寺。この季節は例年ならどのお寺でも道すがらのお花見を楽しんでいるのですが、今年はもののみごとに花はまだ。

 帰りがけ、神保町の「にゃんこ堂(姉川書店)猫本の専門書店」に寄って、お目当ての文庫版「般ニャ心経」と「ニャんかしあわせ」を買いました。般若心経の句と禅の言葉を猫の写真と一緒にわかりやすく解説してある本で、買うたびにお友達に差し上げてしまい、自分の分がなくなります。どちらももう10冊は買ったのではないかしら。

 3月18日から30日まで、市川駅前の超高層ビル、「アイリンクタウン」45階で、古くからのお友達(というよりお師匠さん)の高野史郎さんが「スケッチで見る市川の植物」という個展をされていました。展示期間中はほとんど全日、10時から17時まで会場におられるとのこと。オープン日の18日は高野さんの90歳のお誕生日。お誕生日に合わせて、かれこれ40年以上も作り続けている石粘土の鳥のマスコット(根付)を90羽お届けしました。ちょっとお疲れかな、とお見受けして、あまりご無理のないように、とは申し上げたのですが、期間中に4回ほどお邪魔したかぎりでは、なぜかだんだん元気になっておられたような。人と会ってお話しするのは私などには疲れることが多いのに、高野さんにはかえって元気のもとになるのかも。

 繊細で確実な線描と色鉛筆の色彩は生き生きとして美しく、90歳になられても好奇心まんまんの高野さんのお人柄そのまま。出展されていたスケッチはどれも21世紀になってから、つまり60歳を過ぎてからの作品になります。昨年10月に描かれたものも、線にも彩色にも少しのゆらぎもなく、みごととしか言いようがありません。自然観察指導員の草分けでおられる高野さん、落花生の花が地中に潜れないと空中では実が結べなかった、とか、ご自分で実際に栽培してみた様子のおもしろいこと。    

 21日にはこちらもとてもすてきなお友達(お姉さまですね)の田中愛子さん(行徳郷土文化懇話会会長)と高野さんと3人で、生まれて初めての「ひつまぶし」の昼食(アイリンクタウン1階の和食店にて)。「愛子さんについて行けば素敵な方と美味しいものにいつも会えますね」

 行徳郷土文化懇話会では4月から5月にかけて3回にわたり、70箇所にもなる行徳の札所めぐりを主宰されるとのこと。準備がしっかりあるとのことで、愛子さんのお時間に空きができた時を見計らってのデートでした。 

 高野さんのカラスウリのスケッチの前で愛子さんに教えていただいた句。

 果つるまで 人は燃えたし 烏瓜

  関口忠一郎 

 関口さんは行徳郷土文化懇話会を創設された方。「かも苑」の会長さんと伺いました。この先果てるのがいつになるのかはわからないけれど、真っ赤なカラスウリの実のように、その時その時を燃えて過ごせればいいなあ。今もなお燃え続けておられる年長のお兄さま、お姉さまとごいっしょしたしあわせなひと時でした。


 そうそう、愛子さんはカラスウリの花をまだちゃんと見ておられないとのこと。夏の宵、8時ごろに開花してなまめかしい香りを漂わせる、繊細なレースのように美しいカラスウリの花。まだ何か月か先のことだけれど、ここにありましたよ、と探してお見せしなくては。


 「花鳥風猫」、付録までつけさせていただいて、これにて終了。お読みくださったみなさま、ほんとうにありがとうございました。またいつかどこかでお会いしましょう。どうぞお元気でお過ごしくださいますよう。


 






 

長いことありがとうございました。「小説家になろう」への再録掲載はこれでいったん終了です。今、「ちば環境情報センター ニュースレター」と遅れて「千葉県野鳥の会会報 房総の鳥」に連載している「新浜の話」がいつか完結したら、また紙面をお借りすることがあるかもしれません。その折はどうぞよろしく。 


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