高いところへ
高いところへ
夕方5時前、コテージに戻ってお土産の水仙を届けると、パトリシアさんはもう出かける用意で待っておられました。
「マウント・ネルソンにする?それともマウント・ウェリントン?」
ヤギとなんとやらは高いほうに行きたがる。
「マウント・ウェリントンでもいいですか?」「OK!」
それほど急勾配でも、ものすごいつづら折りでもない車道ですが、ほんの30分ほどで、海岸近くから海抜1270メートルというウェリントン山の頂上までたどり着いてしまいました。「仕事をしていたころは、朝一番で往復していたものよ」 どういうお仕事だったのかは聞きそこねましたけれど。
パトリシアさんの運転はとてもお上手で、山道なのにほとんど体に揺れがきません。うっそうとした木立を抜け、日本であればハイマツ帯といった岩場にさしかかると、残雪が目立ってきました。そして頂上。展望台の建物があります。時おり吹きつける粉雪でなかば霞んだホバートの市街。見事な眺めでした。
車に残っていたパトリシアさん、「どう?寒かったでしょう」「ファンタスティック。ファンタスティック・コールド!」「ここ何年か、こんな寒さは経験していません」
15分ほど山を下りたところで、
「マウント・ネルソンにも行ってみたい?」「もちろん!」
こちらはずっと低い分、町に近くて、ホバート市街の灯がとてもきれいでした。「宝石みたい」と私たちが大喜びしていたので、パトリシアさんも気をよくされたようで、帰り道もわざわざちょっと遠回りして、港をぐるっと一周してくださいました。
コテージについたところで、前夜から気になっていた星座をうかがうと、「あれが南十字星よ」
夕食は尚ちゃんと「ルーム・シェア」している(「ハウス・シェア」と言った方がよさそう。1軒のお家を何人かで借りている)台湾のリリアンさんが働いているカレーの店で。いろいろなカレーを半分ずつご飯にかけてもらうこともできます。「トーフ・カレー」というのは生揚げのカレー煮でした。またまた「これ、マスターから」。幸いにあまり辛くなかった(おいしかったけれど)ので、量が多くなっても大丈夫。
翌日の日曜は車を借りて、300キロほど北のビシェノまで遠征する予定。ホリデー・ユニット(ベッドやシーツをはじめ、普通の台所用品・シャワールーム等があって、食材だけ持ち込めば自炊できる)に泊まります。「私がお弁当作ってくるので」と尚ちゃん。カレーのお店は尚ちゃんの家のそばなのに、「スーパーに行くついで」と結局コテージ近くまで送って来てくれました。




