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ホバートの町歩き

9月11日 ホバートの町歩き


 イギリス風の気持ちよい朝食の後、迎えにきてくれた尚ちゃんと出発。私たちのショートステイ期間中、彼女は片道30分近くの距離を歩いて宿まで何度も往復してくれたわけです。

9月11日土曜日は朝市で、ずらりと露店が並ぶサラマンカ・マーケットから、第一次世界大戦のタスマニア出身戦死者を悼むソルジャーズ・ウォーク(戦死者一人一人に木を植えてある)を通って、尚ちゃんごひいきの王立タスマニア植物園をめざします。


 ホバートの町並みは落ちついて、コンビニはないし、自販機もわずか。中心街を除けば高いビルもなく、煉瓦造りの古めかしい建物もところどころに。

 坂道を上り下り。道沿いの庭には梅や木蓮が咲いて、木々が芽吹き始めています。町なかでいちばん多く目についたのは移入種のクロウタドリで、同じく移入種のイエスズメやホシムクドリもそこここに。メエエ、とヤギのような声で鳴いていたのはミナミワタリガラスだそうです。違うなあ、と思うのはあちこちに立つユーカリの大木のせいでしょうか。芝生に咲いているのもタンポポではなくて、デージーに似た小さな白い花。

 海に近いこともあり、店や民家の感じは館山あたりの町並みにちょっと似ているなあ、と思いました。町はずれにそびえ立っているのが頂上にテレビ塔が立つマウント・ウェリントンです。

 サラマンカ・マーケットの露店の数は何百にもなるでしょう。だいたい4列で、延長は1キロ弱。ここでも尚ちゃんの知り合いの方が「さっき、カワリオオタカが飛んでいるのを見たわよ」 手染めの絹製品の店を出しているエルスさん。バードウォッチャーとのこと。「今日は風が冷たいから、山の方は雪が降るかもしれない。早めにお友達を案内したほうがいいかも」。

 町並みを出て、ひろびろとしたソルジャーズ・ウォークの丘を上ります。1924年にできたというので、戦死した兵士ひとりに1本ずつ植えられたという樹木は樹齢80年くらい。りっぱに育っているのですが、他で見かけるはるかにみごとな大木は樹齢100年どころではなさそう。

 聞いたこともない(あたりまえですが)鳥の声ばかりで、先に進めなくなってしまいます。緑・赤・青と色あざやかなジャコウインコとナナクサインコが交互に。シドニーでおなじみになったカオグロミツスイも。もっと大きくて声もドスがきいたキミミダレミツスイは、落ちた花で地面が赤くなっているほどびっしりと咲いたユーカリ類の赤い花を食べていました。ほおのところにぴろーんと長い黄色のぶらぶらが下がっている、なんとも不思議な姿です。あれ、つまむときっとあったかいんだろうなあ。


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