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タスマニア・ショートステイ  はじめに

  タスマニア・ショートステイ


はじめに


 2004年9月、当時観察舎で働いていた瀬戸山瑞香さん(現在は屋久島在住・カフェ「やまがら屋」を経営)、露木歩美さん(現在は澤野姓・山形在住で2児の母、環境省勤務)といっしょに、滞在中の竹内尚子さんを訪ねてタスマニアに行きました。彼女の案内で州都ホバートを中心に何カ所かを巡った旅行記です。


 アメリカのウィスコンシン州で国際鶴財団(ICF)を創設されたジョージ・アーチボルド博士のもとを1980年に訪れた時から、私には夢ができました。

 私たち夫婦、蓮尾嘉彪と私は、ずっと野鳥観察舎の常駐の管理員として働いてきました。ありがたいことには住込みのため、お家賃も光熱費もただ。当初は「二人でひとり分の賃金」と言われ、たしかに薄給ではあったのですが、待遇は担当者ほかのご努力で少しずつ上がり、さいごは退職金もいただきました。生活に困らず、住居を提供されていた分を、どこかに還元したいと思っていました。

 ICFで行われていたボランティアの方々に宿所を提供し、セミナーや情報交換も行うという活動のやり方はとても魅力的でした。後に訪れたイギリス鳥類保護協会(RSPB)も同様です。行徳で働いてくれる若い方々に、こうした経験をしてもらいたい、そしてできることなら、将来行徳でも海外からの研修を受け入れたいというのが私の夢でした。

 この夢をかなえてくれる形で、石川一樹さんはアメリカのICFへ、佐藤達夫さんはイギリスのRSPBへ、そして竹内尚子さんは彼女が行きたいと言ってくれたオーストラリアのタスマニアへ。ほんのささやかな資金援助しかできなかったのですけれど。そしてこうした知人が滞在しているところを訪問するというのは、何よりも楽しい時間でした。

 行きずりの旅行者でも、そこに何か月か滞在している友人がいれば、生活者でなくてはわからないいろいろな事情が多少は呑み込めてきます。「小学生は日焼け止めクリームを塗らなくちゃいけないきまりなんです。塗ると青い色が消えるので、こどもたちは面白がって塗っているみたいだけど」 タスマニアは南極に近い位置。ちょうど南極のオゾンホールが大きな問題となっていた時期で、メラニン色素が少ない白色人種では皮膚ガンの危険が大きいと言われていました。それにしても、小学生が日焼け止めクリームをつけないと普通の生活ができないなんて。フロンガスの規制でオゾンホールが消えつつあるという最近の話題は、昨今稀なよいニュースでした。

 「あのベージュ色に見えるのはウッドチップの山なんです。日本のパルプ需要でユーカリの原生林が伐採されていて」「黄色く咲いているのはゴース(ハリエニシダ)。外来種ですけれどものすごく広がっていて、タスマニアの在来植物が圧迫されているんです」 なにげない会話の中で尚子さんに教えられたあれこれには、胸を突かれるものがありました。 

 タスマニアをさいごに、留学とはひとあじ異なる海外での滞在推進・援助も、作業や生活に追われて続けられなくなりました。お隣の韓国か台湾、あるいは遠いマダガスカルに誰かを送り出せればと思ってはいたのですけれど。行ってみたかったなあ。

 

 興味や志を共にした瑞香さん、歩美ちゃんといっしょに行ったタスマニア。楽しかった日々をご覧ください。


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