はじめに
はじめに
千葉県市川市にある行徳野鳥観察舎。筆者は1976年のオープン以来、夫蓮尾嘉彪とともに常駐の管理者として働き、2009年に定年退職するまで(その後もしばらく)保護区管理や傷ついた野鳥の救護、調査活動等を続けていました。
行徳野鳥観察舎はかつて水鳥の世界的な渡来地として知られた新浜の保護運動の結果として設けられた施設で、行徳鳥獣保護区の一角にあります。行徳鳥獣保護区は人工的に造成され、当初から様々な問題を抱えていました。雨水以外の淡水源がなく、地形の不備と潮汐の少なさのため干潟があまり出ない上に、底泥がシルト質で生物の生息に適さないこと等です。
こうした問題の改善のために、行徳野鳥観察舎友の会(2021年に「行徳自然ほごくらぶ」と改称)は発足以来努力を続けており、認定NPO法人となった現在は、千葉県から業務を受託して、保護区の管理・環境改善事業と傷病鳥の救護事業を行っています。千葉県立であった行徳野鳥観察舎は2018年に廃館となりましたが、市川市が後継施設として「あいねすと(市川市立行徳野鳥観察舎)」を建設し、直接管理運営しています。
1976年から2009年の筆者リタイアまでのできごとは、この「小説家になろう」の場をお借りして、「鳥の国から」「現在進行 鳥の国 1~4」に掲載させていただきました。これは行徳野鳥観察舎友の会の機関誌「すずがも通信(隔月刊)」に連載してきた記事等の再録です。
筆者はリタイア後、住込み勤務からすぐ近くの市川市福栄4丁目(福栄かもめ自治会)に中古住宅を求めて引っ越し、はじめは市川市の非常勤職員として、後にはNPO法人となった友の会の非常勤職員として、週3日程度(実際にはボランティアを含めおおむねフルタイムで)仕事を続けていました。
この時の近況を「身辺雑記帳」として「すずがも通信」に書きました。2016年の連載終了時までの稿を、「花鳥風猫」のタイトルで、エッセーというジャンルで再録したのが本稿です。花や鳥など生きもののこと、時には風など気象のことはよく取り上げたものの、お月様の話題はごく少なく、一方で家族である猫どものことは毎回たくさん。これがタイトルの由来です。
楽しんでいただけることを願っています。