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王女への忠告

「来ないで!」


 懐からカチャリと取り出した護身用の拳銃をアレンに構えるキャロル。しかし銃口を向けられても、アレンは恐れなかった。


 人を撃つ覚悟がないことなど、雨天の水面のように揺らぐ瞳を見れば一目瞭然だから。

 アレンは左手を掲げ――、


「そんなオモチャで俺に勝てるわけないですよ」


 ドシンッ! 執務室の床を縦に割るように、石の柱が轟音を立てて落下したのだ。


「いやああああああああああああ!」


 バリバリバリバリッ! 柱に絡む引きちぎれた幾本の黒い線が眩い電気を発している。

 腰が抜けたキャロルは壁を滑り、尻もちを付いて、


「な、なんですか!? この巨大な石の柱は!? どうして電気をまとって……ッ。いやぁ……!」

「電柱ですよ。日本にはそこら中に刺さってるから借りてきました」

「か、借りる!? どうやって……」

「俺の左手は異世界の〈日本〉に繋がってます。あらゆるモノを自由に持ってこられますから。王女一人の命くらい簡単に奪えるモノだって」


 そうしてアレンは、立ち上がることができなくなったキャロルに近寄り、


「もう一度言います。戦争をやめてください。これ以上、国民を死なせないでください」


 恐怖に顔を歪めて泣きじゃくるキャロルは、首を縦に振り続けてアレンに肯定した。


       ◇


 その後。


 アレス帝国は近隣国からの撤退を兵に命じた。カサマ王国に企てていた侵攻も取りやめになった。しかし撤退したからといって平和な状況とは言い難く、混乱が生じた国内は荒れているものの、それでも他国との戦争はなくなった。

 雑用で宮殿の廊下を通るアレン。騎士を連れた王女が対面から歩いてきた。

 アレンは王女に目配せをすると、


「ひっ……」


 怯えた王女は足早にすれ違っていった。

 怯えられるが、


(俺の立場も危ないな)


 明確に王女に敵対した自分は暗殺される可能性がありうる。

 だから。


(一行も早く日本に逃げるべきだ。さて、日本の勉強は済んだし、本格的に作戦を練ろうか)


 そう考えながら、アレンは先を進んでいくのであった。

最後までお読みになってくださった方、ありがとうございました!

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