コンビニ店員
「いらしゃーしゃー」
どことなくやる気がないいらっしゃいませがコンビニ店内に流れてくる。
「こちら1点で180円でーす」
お金を受け取り、レシートを渡す。
「ありがとございやしたー」
これまたやる気がない。
「はぁー、だりぃー」
とその時、店長がやってきた。
「どうだい?田城くん。できてるかね?」
━━━━━あ、やべ、店長来た。
「はい、しっかり出来てます!」
「そうかい、それは良かった」
───あー、いっそう店長になりたいわぁー。
「それじゃあ、私は先に上がらせてもらうよ」
「あ、はい、お疲れ様でした」
店長は店を出て行った。
店長と入れ替わりでお客さんが入ってきた。
「いらしゃーしゃー」
またまたやる気が無くなった。
田城はなんとなく入ってきたお客さんを見ていた。
───ん?あの人何してるんだ?
フードを深く被っているお客さんは、お菓子コーナーをじっと見ていた。そして、お菓子を持ち田城の前に立つ。
───あ、なんだただのお客さんか。
「120円でーす」
と言ったその時。
「ねぇ」
その声は、子どもの様な声に聞こえた。
「はい?」
「これいらない?」
渡されたものは、ビー玉のような、物。
「なんですかこれ」
「これは·····いや、なんでもない」
そう言って、コンビニを出て行った。
「なんだったんだ?」
田城はなんとなくポケットにビー玉のようなものを入れた。
しばらくして、田城は勤務時間が終わると、家へ帰る準備をしていた。
コンビニの制服を脱ぐと、ビー玉の存在に気づいた。
「あ、そういえば」
天井にかざしてみた。
とその時。
ビー玉から物凄い黒い煙。
田城は前が見えなくなり、咳き込んだ。
「うわ、なんだこれ、ゴホゴホ」
しばらくすると、煙は消え去った。
田城は目を開けると、そこには、大草原だった。
「・・・」
しばらく沈黙が続く。
「・・・は?はぁ!?」
田城は大草原の中で叫んだ。
「どこだよここ」
周りには建物や人の気配、もちろんコンビニの姿もない。
「え、わからん、わからん」
───コンビニバイト、帰る準備、ビー玉・・・。
「あのビー玉のせいだ!煙が、もわもわって」
状況整理が着々と進んでいく。
「これもしかして、異世界・・・転生か?だとしたらなんかワクワクしてきたぞ」
───もしかして俺、この世界で魔王を倒して、みんなに称えてもらい、働かなくていい生活!?きたぞこれ!
「異世界転生だぁぁぁぁ!」