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タクシーの運転手から

作者: 弥禾

こんな60のおっちゃんの、しょーもない話だけど

少しばかり、お姉さんより長生きしてるから、

ちょっとお話聞いてよって。


お話してくれた言葉がね。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


私が片思いしてる人はとても

モテる男の子なの。

その日は一緒に夜、バー行って

終電まで一緒いたの。


私、少し、期待してたの。

儚くてもあなたと夜を明かすことを。


でも、彼はこのあと予定があるから、

と帰っていったの。


もう、先に予定あるなら思わせぶりな

態度とらないでよ、って悲しくなったの。


私、ひとり取り残された駅のホーム。

冬の夜の寒さが倍、冷たく感じた。

もう誰でも良いから誰かそばにいてほしいよ、

って寂しくなった。


私の勝手な期待とわがままな話をね、

タクシー運転手さんはただただ

聞いてくれてね。


お話してくれた言葉がね。


「悲しくなるのも寂しくなる気持ちも分かるで。

 ただ、ここは耐えなあかんときやと思う。

 お姉ちゃんのこと、少なからず

 彼は気に入ってるっておっちゃんは思う。

 今は、思い通りならなくて辛い気持ちで

 いっぱいなんは分かるけど、

 一緒にいた時間、どきどきさせてくれた時間に

 ありがとうって、おっちゃんは思うな、

 その時間は楽しくて幸せやったろ?

 今回がうまくいかなかったから、

 諦めるはもったいないな。

 今は、辛抱や。

 終わったわけやないやろ、

 自分から終わらしたらもったいないで。

 遊ばれてるって思っても

 一緒にいる時間は嬉しいもんは

 しょうがないで。

 今しかできんことに、おっちゃんは

 ありがとうって思うな。」


 この出会いのおかげで、

 私が彼を諦めることを諦められたの。


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