46話 3回戦 その1
読みに来てくださりありがとうございます。
あとがきにも書きましたが、今は2日に1回の更新でやらせて頂いております。今後ともよろしくお願い致します。
2回戦が終わり翌日、3回戦が始まろうとしていた。
◇3回戦
第1試合 ラルクvsアシュル
「やっと貴方と戦える日が来ましたね」
試合開始前、アシュルの元にやってきたラルクは
余裕そうに話しかける。
それをめんどくさそうにアシュルは
「僕は別に戦いたくなかったよ」
そう答えるのであった。
「そう言わず全力でお願いしますね」
そう言ってラルクは自分の開始位置に向かって歩き出す。
「はぁーさて、僕もいくかな」
大きなため息と一緒にアシュルも開始位置に向けて歩き出した。
お互い開始位置についたことを確認した審判は合図をかける。
「始め」
ついに第3回戦 第1試合が始まった。
最初に動いたのはラルクだった。
2回戦で見せた3属性を使った槍攻撃。
それを15本ほどを1度で作り出す。
(やはりと言うべきか2回戦の試合が全力ではないわな)
心の中で呟くアシュル
そして、ラルクは作った15本をあらゆる方向からアシュルに向けて飛ばしていく。それだけではない飛ばしたと思ったらさらにまた15本とどんどん飛ばしてきた。
それに対してアシュルは避けつつ、時にバイソンで相殺したりしていた。だが、アシュルからラルクに攻撃をすることはない。
ラルクが攻撃、アシュルが守りと言う形成はかなりの時間続いていた。
(ふん、所詮その程度ですか。グラニルもこの間のは油断と言うことでしょうね)
アシュルが攻撃してこないことでそう判断したラルクは、
「僕の恩恵量切れを狙っているならやめた方がいい、僕は君とそんなに大差がないからね」
そう言う余裕ぶったラルクに対してアシュルは
(何を言っているんだほんとに)
内心とても呆れていた。だって攻撃をできないじゃなくて、していなかったから。
「そんなの気にしなくていいよ。話している余裕があるならどんどん攻撃してきなよ」
淡々と話すアシュルにラルクは目を少し細めたが、
すぐ普通の顔となり、今度は30本に槍の数を増やし攻撃してきた。
それを何事もなく避け、バイソンによって相殺していくアシュル。
また少ししたぐらいだろうか、だんだんラルクがイライラしてきているだろうとアシュルは感じていた。
現にラルクの攻撃は先程よりも威力などは強いけれども単純な動きしかしていなかったから。
一瞬の判断で行けると判断したアシュルはついに動き出した。
まずは手始めにかつては完成はしていたけど今では完璧と言えるまで完成させた技を、
「リフレクションバレット」
そう言って普通は弾丸同士をぶつけて行う技をラルクの攻撃を利用してラルクに攻撃をしていく。
ラルク自身は急に現れた弾丸をどうにか避ける。
だが、そのせいで攻撃が止まってしまった。
形成逆転かのようにアシュルは間髪入れず攻撃していく。それも全てリフレクションバレットを使って。ラルクは攻撃に転じることが出来ず自らを守るために技を出すしか余裕がなくなっていた。
アシュルは攻撃をしながら、どんどん前にいく。
このまま撃ち続けてもよかったのだが、これだとこれから先の自分の成長につながらないから。
ミールに付き合ってもらった練習、そしてリコにも最近は付き合ってもらっているから、だからこそその成果を見せるべきだとアシュルは今ラルクに向かって動き出した。
ラルクは近づくのを感じたのか属性槍でアシュルの攻撃を受けながら、属性を自分に纏っていく。
こんなことをできるのはラルクだけだろう。
基本属性の適性を持っていて、知恵も高いラルクだからこそできるのだろう。纏う属性は内側から順に、土、水、風となっていて、動けない代わりに高い防御力をつけた形となっている。完全に接近戦を見据えた形となっていた。だが、そんなことアシュルには関係ない。さらに攻撃速度を上げ近づいていく。
そしてちょうど最初にいた場所からラルクまで半分と来た時、バイソンからエレファンに持ち帰る。
そこでも隙は与えない。部屋でずっと持ち替えの練習をしていたのだ。
先程よりも威力が強く、飛んでくる範囲の強い弾丸は、ラルクに属性槍を使わす余裕も作らなかった。
さらに近づいていくアシュルにラルクはついに属性槍の使用をやめる。そしてエレファンの弾丸は自分が纏った防御に任せ属性玉を作り始める。
その属性玉は色々な属性を一定の流れを持たせることにより作り出すことができる技で、
作った属性玉の周りに他の属性玉を作り上げることで、強力になっていくものだった。
最初は火の属性玉、つぎは土、そして水、風と重ねていく。とうとう手のひらサイズぐらいまで大きくなったその玉はラルクの手から離れ、何かに接触した場合大きな衝撃と共に訓練場を破壊するほどの威力を持っていそうだった。
それを見てアシュルは思う。
(口では何事もないように言っているけど、内心では怒りで自分の攻撃の威力すら見誤るほどか、、)
……と。
そして審判も思っていた。
(この技は少しやばいですね。これは試合のルール的にもギリギリ許せる範囲を超えています。
1回戦のアイリーンさんたちみたいにはしたくありませんね)
なので試合を止めようと判断して動いた時、
アシュルと目があった。そして、その目を見て審判は試合続行を決めた。だって、アシュルの目はラルクの技の危険性をわかっていた目をしていたから。それなら審判は止めなくていいのだ。
一瞬でそうやり取りをする2人をよそにラルクはアシュルが近づくのを今か今かと待っていた。
(調子に乗りやがって、農民の分際で。
僕がこんな奴に負けるわけないだろう)
もういつものようなクールな彼ではなかった。
ついにアシュルは自分に取って間合いである接近戦の領域に入った。すぐに鬼丸に持ち帰るアシュル。
そしていつもは絶対に触ることのできない左手は鬼丸を持っている右手の下に添えられていた。
なぜ左手で持てるのか、それは鬼丸を作った時に右手の持ち手の下部分にあらかじめ左手で触れられる紐を用意していたから。
鬼丸に持ち替えたアシュルは、ずっと練習してきた技を繰り出すため、走りながら構える。
それと同時にラルクも自分の射程距離に入ったのだろう属性玉をアシュルに放った。
そして、アシュルは
「流断斬撃」
を繰り出した。
この技は最近編み出した技でアシュルだからこそできた技と言えるだろう。
その技は名前の通り、流れを断つ斬撃。
流れを意識してミールと鍛錬していた時にたどり着いた技だった。流れを持つものも流すことに意識していたアシュルはある日、流れの向きに対してある角度を入れると流れそのものを断つことができることを知ったのだ。
アシュルの技はラルクから放たれた技を半分に割る。
するとアシュルを中心にして左右の方向に風が吹き水が流れ、土が落ち盛られ、火はアシュルの横で燃え盛っていた。さらには、訓練場の窓から差し込む太陽の日差しも相まって、とても幻想的な空間となっていた。
だが、それも一瞬で次の瞬間には地面がえぐれ、衝撃波が左右に飛んでいった。そのせいで窓も何枚か割れてしまう。その中でもアシュル、ラルクは悠然と立っていた。
そして、アシュルは一瞬でラルクに接近し、
鬼丸の技と共にこの試合を終わらせた。
「峰打ち」
シンプルだが、人を傷つけない攻撃はこれしかないのだ。
「勝者 アシュル」
審判からの宣言で第3回戦、第1試合が終わった。
結果的にSクラスでアシュルが初めて、学年別闘技大会の出場権を手に入れたのだった。
第1試合 アシュルvsラルク
勝者 アシュル
46話読んで頂きありがとうございます。
初の鬼丸の技だし。
とても迷いましたね。やっぱりあの鬼退治のアニメの影響か名前を考える時、呼吸やら何の型
などの単語が浮かんでくるんですよ、、、
大変でしたね笑
今は2日に1回の更新でやらせていただいてもらっていますので、よろしくお願いいたします。
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