31話 その後のアシュル
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アシュルはガスとマーカスの試合が終わった後、すっかり毎日の日課である、訓練場の特訓を始めようとしていた。
この間のミールとの1件から、ミールとはさらに仲が深まっており、リコとも打ち明け最近はほとんど3人で過ごしていた。
アシュルのトレーニングにも色々変化が起きていた。
まず、リコはいつも通り見ているだけなのだが、鬼丸を使って鍛錬する時のみ、ミールに手伝ってもらっていた。
やり方は、ミールに"ミラータクト"を使ってもらい、バイソンで実弾を発射。弾丸をミラーで反射させつつ、ミールのタイミングでアシュルに攻撃。それを鬼丸で切るか刃の腹の部分で受け流すと言う鍛錬をしていた。最初は弾丸のスピードに慣れるのが大変だったミールも最近は慣れてきており1発で大変だった作業は今では一気に4発放っても反応できるほどになっていた。
アシュルの鍛錬が始まる。
・バイソンでの鍛錬……ニールとの対戦時に全く使い物にならなかったことが相当悔しかったアシュルは、バイソンでできることを考えたのち新たな技を編み出していた。
まずは、もともとできていた6発を1発のように連射する早打。アシュルがバイソンを使うときの基本技である。
それを "ベースバレット"と名付けた。
そして、アシュルが今回生み出した新技はミールの話を参考にして作られた技。
"リフレクションバレット"
これは弾丸に弾丸を当てることによりできる技であり、アシュルでもまだ2割程度は失敗してしまう攻撃である。だが、その失敗する時と言うのはベースバレットでリフレクションバレットを行った時のみ。単発ずつのリフレクションバレットなら100発100中となっていた。
ベースバレットでやろうとすると、2パターンやり方がある。1つが、3発撃ち、残りの3発をリフレクションするやり方。2つが、1発撃ち、1発リフレクションすることを3回繰り返すやり方。
どちらも有効な場面では使えるので、アシュルはどちらも練習しているのだが、完璧とまではいえなかった。
鍛錬が始まった。アシュルは次のトシナ戦も兼ねて自分の立っている位置だけ2メートル下げ、的を見えないようにしていた。的は訓練場の設定で、一定時間ごとに音を発するようにしていて、その音に反応してリフレクションバレットをする内容になっている。
30分繰り返したら、10分休憩、それを2回繰り返して、バイソンの鍛錬は終了だった。今日はベースバレットでのリフレクションでも9割は成功していたので、少しずつではあるが完璧の2文字が見えてきていた。
・エレファンの鍛錬??……こちらもニール戦で、接近しないといけない、デメリットをどうしようかと悩んでいた。威力はそのままでデメリットをなくしたいアシュルは、鍛錬というより案を出すことを優先していた。
「案はなくはないんだけどな、、」
そう呟くアシュル
「そうだよね、、アシュル自体が接近戦で強くなるじゃダメなの??アシュル」
エレファンの時間になると何故かミールは降りてきて、毎回アシュルと考えたがるのだ。
未だに、言葉の最後にアシュルと読んでいる。
座るアシュルの横で、しゃがみながら膝を抱えて見つめてくるミールに少し顔を赤くするアシュル
「アシュル?なんで、顔赤くしてるわけ?」
そして、毎回リコが鬼の形相で近づいてくるのだ、
最近の3人の流れだった。
「赤くしてないから、、後ミール前にも言ったけど僕は接近戦の知識がないからできないんだよ」
リコの言葉には否定をし、ミールには昨日も同じようなことを言った気がしているのだが、しっかり伝えている。
(しかし、ほんとにどうしようか)
かなり真剣に悩んでいるアシュルを見て、リコもミールも真剣な表情を浮かべる。
「私の場合は接近戦が基本だから相手の懐に潜り込むためにスピードを意識したけどなー」
リコが言う。
「んー私は逆に相手に近寄られたくないから相手との一定距離をあけて立ち回るように意識してるけどね!」
珍しくミールもしっかり答えていた。
「そうだよなー、いや待てよ?」
何かを思いついたようで少し声を上げるアシュル。
「まずそもそも、エレファンを接近戦で使おうとしてることが間違い間違いなんだよ。」
「と言うと??」
ノリよく聞いてくれるミール
「エレファンは確かに威力が高いけど魅力はそこではないってことなんだよ。エレファンのモデルとなった武器の名前がショットガン別名散弾銃と書いてあったんだ。僕の憶測だけど、この武器は威力を上げるために開発された武器なんじゃなくて中距離よりも近くにいる敵に確実に当たるように開発された武器で、たまたま威力が強くなったってだけだと思うんだ。そのことから、中距離で使うことがこの武器を生かすのに最適なんじゃないかな?威力が少し落ちるだけで、離れてもある程度なら確実に当たるんだから」
「へーなるほど、簡単に言うと、近距離は鬼ちゃんで、中距離はエレファン?長距離はバイソンってことなの?アシュル?」
ミールがわからないながらも自身の解釈で質問してくる。
「惜しいな、近距離は鬼丸、中距離はバイソン、長距離はイーグルかな」
「じゃー結局使わないってこと??アシュル」
またいつものが始まるミール、
リコの目が冷たい。
「いやそうじゃないエレファンを使うのは中距離から短距離に移る時、その移動中ってことなんだ」
そう、アシュルはこの訓練でもほとんど動いて鍛錬をしていないのだ。だからこそ大雑把に3つの距離でしか考えられなかった。だけど、実際考えてみたら動くのは当たり前で、3つの距離の他にも色々なタイミングがあることを思い出したのだ。そして、エレファンは中距離以内だったら、確実に当てられる武器でバイソンより威力が高いのだから近距離で鬼丸を使うまでの間でエレファンを使うことが1番いいのだと気づいた。
「これからは特にエレファンは動きながら撃つことを練習しないといけないってことだな。早速走りながら的を狙うことにするよ」
アシュルは訓練場の設定まで行き準備を始める。
「結局自分で解決しちゃったね、また鍛錬始めようとしてるし」
アシュルを見ながらリコが呆れたようにミールに言う。
「ほんとだよね。もっと私に構ってくれてもいいのにー」
ミールの言葉にリコが"キッ"と睨みつける。
「ミールってさアシュルのこと好きなの?」
唐突に聞いてみた。
「んーまだわからないけどアシュルといると落ち着くなーとは思うかな。もちろんリコともだよ!!逆にリコはどうなのよ、ずっと一緒にいるじゃん!部屋も隣だしさ」
逆に質問されてしまうリコ。
まさかされるとは思っていなかったリコは戸惑いながらも、
「アシュルは友達だよ!友達!」
少し頬を赤く染めて友達と言い張るところ満更でもないのかもしれない。
「ふーーん」
ニッコニコしながらリコを見ながら、立ち上がりミールは2階へと向かった。
「ちょっと、、何よその返事ー」
慌てながらリコは追いかけた。
案外リコはミールに弱いのかもしれない。
無事エレファンの鍛錬も終わった。
最近アシュルは、イーグルの鍛錬をやらないでいた。
理由としては学園の対人戦なんかに、イーグルを使ったら殺してしまうからだ。なのでいまは、対人戦で使える3つの武器でしか鍛錬はしていなかった。
鬼丸の鍛錬……鬼丸の時間だ。ミールに手伝ってもらい先程説明したように鍛錬を開始するアシュル達。
そこにいつもは見てるだけのリコから声がかけられた。
「なんか最近私だけ仲間はずれ多くない??私も入りたい」
寂しかったみたいだ。
「いいけど、ならどうしようか。流石に3人ではできなさそうじゃない?」
やり方を変えようかと提案するアシュル
「いや、アシュルが4発ミールに撃ったら私が入って
アシュルと戦い、時々ミールがアシュルに弾丸を反射するってどう?それでもし私のところに飛んできても、私は私で防ぐから。アシュルもいつ飛んでくるかわからないなか戦うってとても実践向きだしいいでしょ。ミールももっとミラータクトが使えるようになるし、どう?」
とてもいい内容だとアシュルは思うのだった。
リコも入り3人で始まる鬼丸の鍛錬。
アシュルは切ること自体は素振りでなんとかなるため、リコの攻撃を流すことに集中した。
ミールから飛んでくる弾丸は切ることに集中した。
3人で、4発反射したら10分休憩をしまた始める。
この繰り返しを5回行ったところで、夜ご飯の時間なったため終了した。
各自部屋に戻り一旦シャワーを浴びる。
アシュルが髪を乾かしていると、"コンコン"
とノックがされる。
「開いてるよー」
その一言でノックした人と付き添いが入ってくる。
ミールとリコだ。最近は夜ご飯すらも3人で食べていて、シャワーを浴びた後アシュルの部屋で食べるのが日常となっていた。
仲良くご飯は食べた3人はそれぞれの部屋へと戻っていく。
(学校でも3人で学び、放課後も3人で鍛錬、その後3人で夜ご飯を食べる。変わらないこの日常が僕にとっては幸せなんだな。このままずっと続けばいいけど)
目を瞑りながら心で呟き、アシュルは眠りに落ちるのだった。
31話読んで頂きありがとうございます。
アシュル、、、フラグ立てるようなことは言っちゃだめだよ。後で大変なるの私なんだから、
今回は息抜きにアシュルの鍛錬のお話です。
って言うよりミールが好きなんですよ私。
リコとの取り合い?おきそうですね。
ほんとに息抜き程度なので、さっと読んでいただけたら嬉しいです。
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