26話 第6試合 エミルvsアイリーン
読みに来てくださりありがとうございます。
血が出るなどの表現があります。
もしダメな方がいましたら。最後にどっちが勝ったのかはわかるようにしてありますので、下まで飛ばすようお願いします。
午後になり6試合目が始まろうとしていた。
6試合目 エミルvsアイリーン
エミルの恩恵は「強風」と呼ばれているがこの国では、
「風属性士」と呼ばれている??属性師となるとラーナのように扱える属性を体に纏うなどは比較的簡単にできるようになる。属性士だと、纏うまでにかなりの鍛錬、恩恵の使用を行わないといけないと言われている。
一方、アイリーンは伯爵家の長女、クラス編成試験10位 恩恵は「大槍師」、槍の武器において天賦の才を持つ恩恵である。
アイリーンはその中でも"双頭槍"と言う武器を愛用しており。アイリーン専用のオーダーメイドで作られている。
(どこかの誰と一緒で愛用の武器に名前を付けており。
物騒な武器に"そうちゃん"なんて名前をつけていたりする。)
お互いが開始の位置につく。
午前での出来事で未だ少し顔が悪い審判が頑張って声を上げて開始の合図をかける。
"始め"
試合が開始した。だが、お互い仕掛けることをせず相手のことを伺う。アイリーンとエミルの力の差はかなりあると言える。だからこそ、アイリーンは双頭槍の領域内にエミルを入れるため間合いを詰めるとクラスメイトの誰もが思っていた。
これはクラスで自己紹介が行われた日の放課後に遡る。
アイリーンは、生まれつき気になったことは調べずにいられない人間だった。アイリーンが大槍師の恩恵を授かった時も、槍自体は知っていたがさらに知りたくなり、家にある書庫からありとあらゆる槍を調べ尽くしたこともあった。そのおかげで双頭槍とも出会うことができた。
クラスの自己紹介の日。アイリーンは1番はじめに自己紹介を行ったエミルが恩恵を「強風」と言っことがとても気になっていた。いつもの癖が出て、3日ほどかけて図書館を出入り、ついに「風属性師」とは種類の違う「強風」という恩恵を見つけることができた。
この国でも、強風という恩恵はまだ見つかっていなかったことから、風属性師よりも上位の恩恵としか認識されなかったようだ。
なぜ珍しい強風の恩恵の効果が書いてあったかは不明だが、強風の効果は風属性師とは明らかに違う箇所があった。風属性師などの属性師などの恩恵は各属性を武器などに変えて攻撃しなくてはならないということ。しかし強風は直接風に干渉できるということ。これはどの範囲までなのかは本人次第ということだ。
それを思い出したアイリーンは、開始と同時に近寄ろうとせず干渉できる範囲を見定めつつ攻めようと作戦を立てていた。
ではなぜエミルは50位なのか。
それは対戦相手が悪かったのだ。その相手とはガス。
いくらエミルが風を利用して攻撃しても気にすることなく攻めて来たのだ。
側から見たら何もせず終わったように見えたのだろう。
結果50位となったのだ。
「エミルよ、お主はどこまで範囲なら届くのだ」
アイリーンはお互いにしかわからないような言い方でエミルに問う。
「やっぱりアイリーンちゃんは知ってたのか、、
言えないよそんなこと。私だって勝ちたいもん」
アイリーンの問いを断るエミル。
「そうか、ならグズグズしててもしょうがないな。
行かせてもらうとしよう」
このまま行っても埒が開かないと否やアイリーンは呟き、
ゼロ距離から瞬時にトップスピード。相棒のそうちゃんを構えながら突っ込んでいく。
5メートルほど進むと。
"風刺"
アイリーンが動き出した途端エミルから声が聞こえる。
その途端、何もないところから風でできた刺が突き出てくる。
(なんなのだこれは、なぜこんな技を持っていながら50位なのだ)
心の中で悪態をつきながらも、しっかり体を回転させることでそうちゃんに力を乗せ、刺を対処していくアイリーン。少しずつだがエミルとの距離が縮まる。
だが、次の瞬間室内なのに向かい風が吹くようになった。
(ここからがエミルのほんとの領域内だったか)
そう思うのも束の間、さっきよりも数が尋常じゃないほど増えた刺が出現。それもアイリーンを誘導するかのようにアーチ状になっていく。アーチから出ようとするも風が強くなり強制的にアーチ内に戻されるアイリーン。
さらに追い討ちをかけるように、アーチの先から風が蛇のようにクネクネしながら攻めて来た。
(今までの風とは少し違うな、何か嫌な予感がする)
アイリーンは自分の直感に従い、風から身を守るようにそうちゃんを前に出す。すると、その蛇はそうちゃんに止められていた。
(やはりか、強風とは風そのものを実体化させることもできると言うこと。でもなぜ私の行く道を制限させ、狭い空間で攻撃してくるんだ?いや、そんなのは簡単だ。単純にできないのだろうな。それなら一か八かでやってみるかここまで攻撃していたら防御手薄だろう)
一瞬のうちに次の行動を選択するアイリーン。
蛇を2、3回攻撃することで発散させ、攻撃がおとなしい隙をつき技を繰り出すアイリーン
"空斬"
アイリーンがそうちゃんで5回空を切った。すると、
斬撃はそのまま風刺でできたアーチをくぐり抜けエミル目掛けて真っ直ぐ進んでいく。そのまま当たるかと言ったところで斬撃がエミルの周りを旋回するように回り始め、防がれてしまう。
(防がれるか、、だが攻撃は弱まったな。やはり攻撃と防御は同時にはできないで良さそうだな。だが斬撃を防がれたと言うことは私には間合いに入り攻撃するか、あの攻撃しか、、いやあの攻撃はダメだ間違いなく治癒ですら痕が残ってしまう。そんなの私のプライドが許さない)
出し惜しみしているのか、確実に倒す手段を持っているのに使えないアイリーン。仕方なく先程と同様に風刺、風蛇を対処しながら前に進んでいく。
やっとのことで、肩で息をしながらも自分の間合いまで残り2メートルの位置まで来ていたアイリーンは同じく肩で息をしているエミルと向かい合う形となっていた。エミルも風刺でのアーチは解いており。風蛇だけでアイリーンと戦っていた。
「これで終わりにするぞエミルよ」
またもや問いかけるアイリーン
「そうだね、私も次が最後だ、」
先程とは違いしっかりと答えるエミル
先に攻撃をしたのはエミルだった。
"断風"
そう呟くと突如アイリーンに横風が当たる。それも上下で逆の方向から。前や後なんかには動けもしない。それ程の風圧力がアイリーンにはかけられていた。
体を支えるためそうちゃんを地面に刺し対抗しようとするアイリーンだが、対抗すればするほど逆に圧がかけられて行く。ついには上下の境目部分に当たる肋骨が真っ二つに折られ、口から血を吐き出す。
そしてついに、風圧からアイリーンの体を支えていたそうちゃんが真ん中から綺麗に折れてしまうことで耐えることが出来ず空中で何回転もさせられるアイリーン。
エミルの恩恵量が底をつき、やっとアイリーンの回転も止まる。地面にアイリーンと2つとなったそうちゃんが
おもちゃのように転がる。
審判がすぐにエミルの勝利宣言をしようと声を出そうとするが、アイリーンがボロボロになりながらも立ちあがろうとしたことで、止めてしまう。
すぐさまエミルはほんの僅かな恩恵量から風蛇で攻撃しようとするが、、
「私の、、、、ちゃん」
掠れる声で呟くアイリーン
「ひぇ、」
エミルは起き上がるアイリーンの顔を見て恐怖の声を上げる。
「私の、、そうちゃんをよくも、」
アイリーンは我が子を失った親のように、悲しそうな、怒りに満ちてそうな表情をしながらエミルを睨みつけていた。
震える体を起こし、折れた半分のそうちゃんを手に持つ。先程はエミルのことを気にして選択できなかった技を自分が勝つため、そうちゃんを破壊された恨みを晴らすため、アイリーンは使用した。
"グングニル"
"グングニル"その攻撃は大槍師の恩恵を持つものしか扱うことが出来ず、さらには相当なセンス、鍛錬を積まないと使うことができない秘技。アイリーンは槍の恩恵に恵まれた家系の者だ。センスなど生まれた時からあった。それに加えてそうちゃんへの愛情(側から見たら鍛錬)を注ぐことで、
僅か10歳ほどで"グングニル"を使えるぐらいまでになっていた。
アイリーンの言葉と同時に、折れた半分のそうちゃんが光り輝き回転を始める。回転が高速になって行くにつれ地面から浮き始める 1/2そうちゃん
「いけ」
準備が整ったのか、アイリーンの一言でエミルに向かって飛んでいく1/2そうちゃん
同時にエミルも風蛇を完成させ放つも、飛んでくる1/2そうちゃんに消され、最終的にエミルの腹部分を貫く。ようやく役目を終えたように1/2そうちゃんは地面に転がった。
アイリーンから審判に目配せが送られ、アイリーンが意識あることを確認した審判はすぐさまアイリーンの勝ちを宣言。
しかし訓練場は悲惨なことになっていた。
両者2人とも血だらけで倒れているのだ、宣言している暇さえなく、すぐさま運ばれる2人。今日の授業はその場で、解散となったのだった。
第6試合 エミルvsアイリーン
勝者 アイリーン
26話読んでいただきありがとうございます。
まさか書いていて、こんなグロテスクになっしまうとは、、
書きながら、どこぞの主人公とラスボスかよって思ってしまいました。もちろんただの予選ですので、安心してくださいね!アイリーンさんが隠れ主人公とかでもありませんので、、
申し訳ないのですが、今日もこの1話だけどさせていただきます。
理由としましては、試合の日程が1日2試合となっているため。今日も1話にしないとずれてしまうからです。
明日からは2話投稿でからよう頑張りますのでよろしくお願いします。
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