約1400文字の異世界転生
俺の名前は千次百四。
どこにでも居る男子高校生だ。ちなみに二年生な。
俺はトラックに轢かれて死んだ。呆気なくな。
そしたら何か神様が力は与えるんで一時間で異世界を魔王を倒してとか言われて、魔王倒したら生き返らせるって言ってさ。
不思議過ぎて困る。
そして今に至る。
まず、一時間ってなんだよ!!!RTAかよ!ふざけんな、もっと時間をくれ!
そんな俺がいるのは城の目の前だ。凄くでけぇ、城。
黒く染まっているんだよ、魔王の城みたいだよね。
けど入ってみるか…ここがどこか知らないし、魔王がどこにいるか分からんしな。
俺は城の扉を押して入った。
***
中は煌びやから装飾がされており金がかかってるのか分かる。
赤い絨毯を引かれているところを歩いて行く。
誰も居ない……
普通なら扉の所にも居るはずだし、ここにも居るはずなんだよなぁ。
「誰かぁ!居ませんかぁ!」
「そこに人が居るんですか!」
声が聞こえた方を見ると獣耳っ娘が居た。
狐の耳で短髪の黒髪だ。
「どうしたんですか?」
「魔王様が毒にやられた。現在トイレに篭っている」
「しょっぼ!トイレに篭っているだけかよ!」
「何おう!魔王様はトイレに篭るのは珍しいんだぞ!」
「どれぐらいだ?」
「えーと、1400年くらいに一度」
「めっちゃ珍しかった!」
「て言うかお主は誰だ!」
「俺の名前は千次百四だ」
「妾の名は空球だ」
「お主はなんでここに?ここは魔王城だぞ」
「ほ〜ん、ここ魔王城だったのか。いや、魔王様に用があってな」
「なんの用だ?」
「トイレットペーパーをあげようと」
トイレットペーパーを出す。
トイレットペーパーなんて無かったけど欲しいと思ったら出てきた。これが力か…凄いな。
「そうか、では魔王様の所に案内しよう」
「おう、頼むわ」
***
空球に案内されたのは王座の前だった。
王座に着いたら空球はどこかに行った。
王座の前は広く、そして王座に座っている人が居た。
禍々しく、威圧感を感じる。これが魔王かと本能で感じる。
「良くぞ来た、神々の使徒よ」
「アンタが魔王か」
「いかにも、では殺り合おうではないか」
「いいだろう、来い!」
とかノリで言ってるけどこんな感じなの?
そんな事を思っている内に魔王は剣を握り、振るう。
振るわれた剣によって出来た斬撃が飛んできた。
「うお!」
既のところで避ける。
何か、欲しいな。刀とか言いな。
そう思うと刀が出て来た。
「全力で行くぞ!」
「来い、使徒よ!」
刀を上段で構え、踏み込み、上から全力で振り下ろす。
振り下ろされた刀は壮絶な威力をたたき出し、空気を切り裂き、地を切り裂き、魔の王をも切り裂いた。
それは凄まじい程、呆気なかった。
命が消えるのはいつも呆気ない。
「ふふ、我を倒したのだな、使徒よ」
魔王は体が崩壊して行く。
「あぁ」
「この世界は神々のゲームだ。悲しむことは無い。お前はお前の道を進め」
「ゲーム?」
「あぁ、神の世界で悪さをした奴を裁く。お主から見たらゲームだ。我に取っては命懸けだがな」
「そうなのか……魔王は楽しかったのか?」
「あぁ、楽しかった」
「なら俺も少し嬉しいよ。じゃあな、悪さすんなよ」
「お主も死ぬなよ、またどこかで」
「あぁ、また会おう!」
俺と魔王は握手を交わした。
そして魔王は消えて行った。
粒に……光となった。
「!!」
急に地面が光り輝き、意識が失われる。
気が付けば病室だった。
なんでもトラックに轢かれて運良く助かったのだとか。
まぁ、とりあえず俺の不思議な体験は終わりを告げた。




