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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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2人きりの時間(3)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 その証拠に、約束を交わしたことで2人の絆はより一層強まり、未来は苦難を乗り越えるだけの心の強さを得た。


「それじゃ……この後どうする? 気を使ってくれた翔馬君の勇姿でも見に行く?」


「うん……あ、待って」

 未来はそう言って呼び止めると、恋人繋ぎで龍の手をギュッと握った。


「……着くまでの間でいいから、こうさせて」

 頬を赤らめながらそう呟く未来の手は柔らかく、ほんのりと湿っていた。人前で見せつけるようなこの行為に、恥ずかしさと嬉しさを感じてのことだろう。

 龍もそれを察したのか、同調するように徐々に頬が赤く染まっていき、握り返した手は彼女と同じくらいじんわりと汗ばんでいく。



 そんな端から見れば初々しいカップルである2人が、幸せへの一歩踏み出そうとした矢先、


 ドカーンッ


 と、耳をつんざくような音が小中学校全域に響き渡った。

 合同とはいえ、たかが文化祭で花火などが上がるわけがない。なのに起きた巨大な爆発音。間違いなく爆弾による爆発である。


 突然のことに何事かと困惑する人々同様、戸惑う龍と未来。事態を呑み込めない彼らの携帯に見慣れた番号から着信が入った。武文からだ。


「もしもし?」


「あ、龍君!? 大変なんだ!」


「どうしたの? 玄田君。すごい爆発音がしたけど」


「今、中学校の体育館で翔馬君のライブを見てたんだけど、翔馬君が歌い終わったと同時に自爆したんだっ!」


「……え…………?」

 まさかの知らせに、龍は目の前が真っ暗になり、携帯電話を落とした。



 その後の捜査で、翔馬は爆発前にバリアを舞台周辺に展開し、自分だけに害が及ぶようにしていたらしく、遺書の発見もあって、警察は自殺と断定した。

 その一方で、人類抹殺を企てているはずの彼が、何故客をかばうような死に方をしたのか。それについては、舞台が黒こげになったことや、遺体や証拠品が見つからなかったため、結局わからず仕舞いとなった。


 いずれにしても、この自爆騒ぎのせいで綱手の風フェスタは、プログラム1つと閉会式を残して中止。龍と未来のデート気分もぶち壊しとなり、彼を知る者達は悲しみに打ちひしがれるという最悪の結末となってしまった。


 そうまでして翔馬が自殺をした理由。そこには誰にも話せなかったある裏があった………………

 翔馬の突然の死。龍達のショックは計り知れないでしょう。

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