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死獣神~死の書~  作者: 天馬光
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応龍神撃(1)

 闇に暗躍し、ターゲットの命を奪い取る裏稼業・殺し屋。

 これは、その中でも最強と謳われた1人の殺し屋と仲間達の終わりの物語。

 そうとは知らない仲間達は、もうダメだと思い、思わず目を閉じた。

 が、聞こえてきたのは、断末魔ではなく、砂を叩く音だけ。不思議に思った鳳凰らが目を開けると、黒猫の姿ごどこにも無かった。

 跳躍して避けたのか? いや、そんな体力は残っていなかったはず。なら、いったいどこに? 仲間達や黒龍が面食らい、辺りを見渡していると、見慣れぬ影が上空を覆った。


 ハッと気付き見上げると、そこには立派な翼と猛々しい尾を生やし、月を背に照り映えた青龍が、黒猫を姫のように抱きかかえて、宙に浮いていた。

 人の形は保ってはいるが、明らかに前よりドラゴンに近い。その姿に、全員が唖然とする。


「龍。その姿……」


「……青龍君。とうとうその域に達したか」


「その域だと? どういうことだ?」

 宿敵の突然の変化に、未だ頭が追いつかない黒龍に尋ねられ、事情をよく知るペガサスは真摯に答えた。


「あれこそ完全なる龍人化であり、龍人の真の姿です」


「何、だと?」

 そう。龍人化はあれで終わりではなかったのだ。


 これまで青龍や黒龍がやっていた龍人化は、言うなれば半龍人化。その状態でも龍鱗などといった恩恵はあるが、完全に龍人化すると、単に身体的変化や飛行可能になるだけではない。ドラゴンの力を全て引き出せるようになることで、戦闘力と頑丈さが大幅に強化されているのだ。

 この形態になるには、龍人化以上の精神高揚が必要なのだが、青龍は黒猫を救いたいという一心だけで、見事それを成し遂げた。


 そんな進化を果たした青龍は、ゆったりと地上に降り立つと、体力の限界で元の姿に戻った黒猫を優しく降ろした。

 無論、彼女もこの展開は予想しておらず、仲間達同様キョトンとしている。


「龍、君……?」


「柚。そこで待ってて。君の代わりに、あの人を討ってくるから」


「え? けど、私……」

 黒猫は俯き、そう呟く。罪の意識から合わせる顔が無いのである。

 それでも青龍は、彼女の頭に手を置き、優しく接する。


「もう無理しなくていい。悪ぶらなくていい。柚の気持ちは、全部わかってるから。だから、その覚悟も想いも全部、僕に預けて」

 そう言われて、少し肩の荷が下りた黒猫は、青龍に全てを託し、見守ることにした。


 仲間達の期待を一身に受け、再び宿敵と対峙する青龍と、自分より上の段階に進化した宿敵を忌まわしくも嬉しく思い、たった1人になっても考えを改めず、強者との戦いに興じようとする黒龍。

 長きに渡る最後の戦いに終止符を打つべく相対した2人の龍人は、高まる緊張感を打ち破るように、互いの刃をぶつけた。

 これが龍人の最終形態。〇イヤ人顔負けの変貌ぶりだと思います。

 

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