表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
3.帝政エリクシア偵察録
69/285

9.拘り

 「……うぅ……うぁぁ!」


 跳ね起きた僕は、FC1のベットから落ちて初めて夢を見ていたことに気付き、ホッとします。自分でもおかしいと思いますが、キリニア城砦の人々の顔が浮かんでは目が覚めてしまうのです。

 おかしいですよね? 直接ではありませんが、獣人狩り(じゅうじんハンター)の人だって僕が殺したようなものですが、罪悪感も何もありませんでしたし、今もありません。なのに、キリニア城砦に居た人達はどうなったのかを考えてしまいます。きっと殆どの人は死んだのでしょうね。あの状況で生きていられたら、それはそれで恐怖ですが……


 反省してみると、東部属領の2つの都市に問題なく入れてしまったこともあって、僕自身が慢心していたのでしょう。多少見つかっても、如何にでもなるということもありましたし。

 本来なら、最初に見つかった時に町に向わなければ良かったと思います。ガンブレードを使えば、余裕で切り伏せる事はできましたし、ショックガンモードで使えば、死傷者は少数で済んだ筈です。それ以前に、明らかに武装していたりすれば町の人たちの反応も違ったのでしょうか?

 考えてみれば、ここは敵国なんですよね。ササクのソフィアさんと居た黒狼と白狼の言葉を思い出します。


 『この先も、会う人間全ての未来を案じる気ですか? 案じた人間と、戦場で遭遇した時、むざむざ殺されるつもりも無いでしょうに。』


 白狼さんの台詞ですが、戦場で会う前にその場でそうなってしまいましたよ。僕は殺されるつもりはありませんが、他人から見れば、外套を着た小柄で害し易いと思われるのも事実でしょう。

 アイオライトには様々な種族が居ますので、僕の様に小さい人も居るでしょう。ただ、武装面は少し考える必要がありそうです。銃は表に出すのはまだ早いし、近接戦闘系の装備は見ただけで武装しているとは思えないので抑止効果としては不足です。

 冒険者登録証は、クロエの名前で持っていますので、武装していても冒険者だとわかれば問題は在りませんし、フルネームで呼ばれるわけではないので、冒険者ギルドに入っても問題は無いでしょう。

 それに、冒険者であれば襲われて撃退しても問題はありません。結局殺さないようにして、多くの人々を殺してしまった事実は残りますが、心の中で謝って整理をつけましょう。


 「キルニアの多くの人々、あなた方を殺す事になったことに後悔はありませんが、名前も判らないから謝れませんね。少なくても、戦場で会わない限りはあのような方法で殺す事にはならないようにしますね。」


 そもそも隠れてこそこそしているのは、僕のキャラには合わないようですので、もう止めにしましょう。

 さて、武器は手持ちはないので如何しようか考えますが、そういえばこの世界では召喚魔法は聞いたことがありませんね。6大精霊に準じる系統ではないからなのかもしれませんが、僕が適当に思いついた魔法でさえ実現できているのです。試してみましょうか。


 「《大蛇を切り裂け(アメノハバギリ)》」


 適当に唱えた召喚魔法による武器の召喚ですが、うまくできたようですね。『天羽々斬』の剣は、全長120cmの片刃の剣で、ヤマタノオロチを倒した剣ときいています。片刃の剣というと刀がイメージされてしまうので、召喚された剣も日本刀の形状をしています。


 後は見た目の変更ですね、髪は白髪を後ろで結わえてポニーテールにして、赤い鉢巻とおそろいのリボンで髪の先まで纏めます。腰まであるので結ぶのが容易ではありませんが、そこは我慢しなくちゃね。

 外套は着用しますが、フードは必要時以外は被りません。膝までのスカートは目立つかもしれませんが、和服の着流しでは帰って目立ってしまいますしね。

 問題は、刀の長さはほぼ120cmに対して、僕の身長が130cmですので、腰に帯刀することは出来ないので背負う事になります。本来だとそれでは鞘から抜くことはできないので、どこかの十番隊隊長の様に、抜く段階で鞘には消えてもらいましょう。


 FC1の機体を離れて、適度な広さの場所で素振りをして見ます。うんうん、いい感じですね。適度な太さの木があったので、その枝を狙って刀を振りますが、特に問題なく振りぬけました。

 そういえば、僕は剣道や居合いは自分自身での経験はありませんが、何故問題なく振れるんでしょうね。居合いは『一葉(かずは)』が習っていたので、見たことはありますが、実際振るのは全く別なはずです。これも、アリア曰く蟻よりマシにしてやるといった結果なのでしょうね。そういう意味では、アリアに感謝しなければいけませんね。


 正直、まだ大勢の人に囲まれるのは避けたい所なので、東部属領北部の街『ニーブルズ』の手前の人口5000人程度の町ケルツェンで試してみましょう。


 ケルツェンの町は普通の農業と牧畜の町ですが、ササクやゾムニと違って大きな町ではないのと、中央部から離れている為にニーブルズとの街道を外れると治安も悪化する点ですね。ケルツェンからさほど離れていない人目に付かない場所にFC1と駐機したのに、早くも盗賊さんとエンカウントします。頭数は3人で、胸に十字印はありませんね。少しホッとします。


 「お嬢ちゃん、死にたくなければ武器を捨ててこっちにきな。なに、悪いようにはしねえよ。」


 うんうん、こういう反応のほうが安心する自分の神経もどうかと思いますが、あの狂信的な目や言葉より遥かにましですね。


 「オジサンのお相手をする気はありません。」


 僕はそう言い捨てると、背中の天羽々斬(あめのはばぎり)を抜いて正眼に構えます。あとはお約束通りの『やっちまえ』とかいう言葉が聞こえますが、いい年をして盗賊しかできないのですから強いわけもありません。力任せに振り回す剣は、なんの脅威もありませんね。

 左から右に、剣の側面で胴を打つのが狙いのようですね。まあ、殺してしまっては売る事も出来ませんし、たかが小娘と馬鹿にしているのでしょうけど。後方に一歩さがって剣の軌道を避けると、通り過ぎた相手の剣の側面を天羽々斬(あめのはばぎり)の峰を当てて、更に剣速を加速させると同時に剣の軌道も書き換えます。

 加速された剣は、そのまま僕の右手にいた男の横腹に吸い込まれ、『メキョッ』と言う嫌な音をたてて、男が後方に弾き飛ばされます。今の感じだと、左の肋骨が何本か逝ったかな。


 「まだやりますか? 今なら怪我で済みますよ?」


 剣を振った男は明らかに狼狽していますが、真ん中のおじさんはこちらを睨んでいます。


 「餓鬼がっ、ふざけんじゃねぇ」


 ありきたりの台詞で袈裟切りできますか。売るのは諦めたようですね。天羽々斬の峰で振りぬく軌道を少し変えられた大剣は、僕の右側を通過して地面をえぐります。伸びきった両腕は隙だらけですので、返す刀で男の右肘の腱を断ち切ります。

鎖帷子を着ていたようですが、何の抵抗もなく鎖帷子ごと右腕の腱を断ち切られたようです。さすがは、ヤマタノオロチを斬ったといわれる剣です。


 「さぁ、どうします? 片腕でもきますか?」


 右肘の腱を斬られた男は、少なくても剣を振ることは出来ないでしょう。肋骨が折れた男も同様です。残りは最初に切りかかってきた男ですが、こちらは完全に戦意喪失していますね。


 「わかった。こっちの負けだ。」


 肘を切られた男がそう言うと、街道脇に座り込みましたが、僕は反省しているので甘くないですよ? 背中に天羽々斬を背負いなおして、左右のガンブレードを土属性で右前二時方向と、左7時方向に抜き撃ちします。

 くぐもった悲鳴が聞こえ、2人の男が倒れました。彼らからは僕が何かしたように見えなかったでしょうね。倒れた男2人は弓でこちらを狙っていたので、棒針を整形してガンブレードで射撃。弓の弦と右手を貫いたのです。


 「さて、降伏後に再度こちらを襲うだまし討ちをされたのですが、この場合死んでもらっても構わないはずですよね? 警吏も面倒でしょうし、脚の腱を切って放置しても良いですね。後は狼が処理してくれるでしょう。」


 僕の言葉に男達は震え上がりますが、甘い顔を見せると付け入ってくるのは知れています。まあ、賊とはいえ簡単に殺しては問題でしょうから、男達の持っていた縄で夫々の手を後ろ手で拘束し、男達の首を縄で繋ぎます。


 「引っ張ると首が絞まりますからね。死んでも僕は知りませんので。」


 街道をケルツェンの町まで歩きますが、行きかう人の目が痛いですね。町の門に衛士さんがいたので事情を説明して盗賊として引き渡します。どうやら、近郊で強盗を働いていたようですので、捕縛の証明書を頂きましたので、ハンターギルドに向う事にしましょう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ