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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
2.いつか覚める夢
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25.不穏な気配➀

三人称視点で記述されます。不慣れな点がありますが、お楽しみいただければ幸いです。


*****


 それは夏至祭を数日後に控えたとある平日の昼の事だった。講義の時間に空きがあるオリバーとアレクシスは、学内の小規模な広場でサッカーをしていた。受講制限の多い彼らは、こうしてサッカーに興じている事が多く、学内では1,2番を争っている上手さである。


 「アレクシス、それは本当か?」


 「どうやら本当の事のようですよ。夏至祭の当日、エルフの娘ユーリアと言いましたか。その子はエルフ領に帰郷するので無理ですが、それ以外の3人にはそれぞれ一人だけ接触を持つ機会を与えてくれるそうです。」


 オリバーの確認に、事情通のアレクシスが答えた。オリバーと違って、アレクシスは学内の男子生徒ともそれなりに友誼を結んでいる。特に、リアンとワイアットの2人は、例のカルテットへの接触を妨げている勢力であり、様々な情報をもたらせてくれるのだ。

 オリバーはアレクシスを促して、続きを話させる。


 「問題は2つあります。1つは、3人のうち誰か一人を選ばなければならないこと。そしてもう1つが、チャンスを得る為の方法が抽選である事です。」


 「抽選となると、単純に武威や策略を使うわけにもいかないか。」


 オリバーは唸るように呟くが、アレクシスは今回のチャンスを与えるという設定自体も疑っている。


 「どうも、紅家・青家の男子だけじゃないようでしてね。今回絡んでいるのは……」


 アレクシスの独自調査では、どちらかというとリアンもワイアットも反対の立場だったらしいが、係累の女子からの提案だったらしいのだ。当然抽選方法にも絡んでくるだろう。

 白家・黒家は女系の特殊家系ゆえに係累はないが、紅家・青家は普通に男子も女子もおり、分家筋の家系もそれなりにいるのである。実際、リアンやワイアットが始祖四家次期頭首といえど、女子であるイリスやクロエの情報はさほど集める事はできないだろう。彼らに協力する女子の係累からの情報が大多数を占める分、提案を断るわけにはいかなかったらしい。


 「女共が何を考えていようと、チャンスはチャンスだ。お前も逃すつもりはないのだろう?」


 オリバーの言葉にアレクシスは、少し考えて答えた。


 「いや、僕は今回は参加せずに見物側に回らせてもらいますよ。貴方は参加するのでしょう?」


 アレクシスの言葉に、驚きの表情を浮かべながらも、オリバーは人好きのする表情を浮かべる。


 「当然だ。折角の機会、利用させてもらう。まあ、誰を目標にするかを最初に選ばねばならんのが面倒だが。いっそ、3人全員へチャンスをくれれば良いものを……」


 アレクシスは女子の策謀か何かを感じ、今回の参加を見送ったようだが、オリバーに関係は無かったようである。実際の係累の女子の思惑は、男子の誰がカルテットの誰にご執心かを明確に線引きする事が目的で、アレクシスの考えるような政治的な問題ではなかったのだ。

 クロエ達が成人に近づくということは、年齢の近い係累の女子も当然お年頃となるわけで、自分達が見定める好物件が早々に玉砕すれば、自分達にチャンスが増える事になる。誰が好みかによってその後の対応を変えていけば、年頃の男子など同世代の女子の掌の上で転がされるだけの存在である。女子達からみても、クロエを筆頭にあのカルテットは、現時点では男子に興味を示していない。早期に手を打てば、意中の男子を獲得できるというしたたかな女子の戦略であった。


*****


 「では、これで。」


 席を立ち、嬉々として店外にでていく赤髪の女子の後姿を、アレクシスは見送った。四季の2階個室の予約と合わせて、男子禁制のケーキバイキングというものの4人分のチケットと、交換で得た情報はなかなかに興味深いものである。


■ クロエ・ウィンター


 性別 女子

 年齢 10歳

 特技 対人格闘戦 男子顔負けで、惚れる位強い

 成績 言語・歴史は得意ではない(でもイリスの次に優秀)。

    数学・魔術他 規格外・想定外

    鍛冶・冶金などの制作系も得意

 身長 ちいさい、かわいい(130cmくらい)

 肉体的特徴

    ・女子としていろいろ成長してない (`・ω´・)+ ふふん

    ・羨ましいほど白いお肌 (#`皿´) グギギギギッ

    ・細く華奢に見える手足 (=n=;)ムムゥ

 性格

    ・大雑把、いいかげん、適当

    ・粗忽・迂闊

    ・結構細かい配慮をする

 異性関係

    ・気配すらなし リアン様、ワイアット様とは対等以上の口をきく

     特にリアン様は、暴力被害があるようだけど、リアン様の口が悪い

 交友関係

    イリス・ユイ・ユーリアが主

    その他大人とも交友があるよう

    メイド2名が、学外では常時ついている様子

 その他

    ・妹にしたい子上位を常にしめる

    ・お姉さまにしたいという下級生多い

    ・僕っ子

    ・ウィンター家養子(養子になったのは2年ほど前)

    ・不思議な料理を作る

    ・養(・)子(・)に(・)な(・)る(・)以(・)前(・)の(・)ク(・)ロ(・)エ(・)に(・)つ(・)い(・)て(・)知(・)る(・)者(・)は(・)誰(・)も(・)居(・)な(・)い(・)

    ・クロエが現われた頃、星(・)が(・)ア(・)レ(・)キ(・)サ(・)ン(・)ド(・)リ(・)ア(・)上(・)層(・)街(・)に(・)落(・)ち(・)た(・)と

     いう事実

    ・ファロス島内での事故にクロエも絡んでいたらしい


 大概の情報は既知であったが、その他として上がっている幾つかの項目は噂としても興味深いものである。星が落下したというのは、実はアレクシスも知っている。

 当時は下層街の学校に、オリバー、リン(今のユイ)と共に学んでいたのだ。アレキサンドリア自慢の防御障壁を、あっさり貫通していった星に驚いたものであったし、その後暫くしてからのファロス島の訓練中に起きた事故も噂を聞いた事はあるのだ。

 イリス・ユイに対する情報は、正直余り豊富とはいえないが、女子達は比較的クロエに関しての情報は簡単に洩らしてくれる。ユイ自体は今では平民だが、以前は皇女であり付き合いも短い。逆に何年も一緒だったオリバーやアレクシスの方が詳しいかもしれない。クロエはある意味、生粋の市民でない為なのか、それとも自分達の主家、ユアンやワイアットに対し冷淡だからなのかまでは、うかがいしれないが(とはいえ、魔道具や魔法に関しては一切明かさないのはさすがである)、女子の本音も垣間見えるのだ。


 「養子というだけでなく、本来市民ですらない正体の知れない存在ですか。それなら、あの未知の知識や、見たことも聞いたこともない魔法を使う事といい、納得できますね。アレキサンドリア上層部は、早期にその貴重さに気づいたという事でしょうね。」


 アレクシスはカウンターに支払いを置くと、下層街へと家路についた。オリバーにこの情報をいくらで売ろうかなどと考えながら。


*****


 「ゴ~~~ル!」


 オリバーは夏至祭朝からとばしていた。彼の対戦相手との勝負は、くじ運が良いのかサッカーによる1対1の戦いが続き、アレクシスの居ないこの勝負ではオリバーの圧勝だったのである。


 「順調なようですね。次は決勝ですか。勝利を期待していますよ。」


 アレクシスの言葉も、今は心地よいだけである。


 「おぉ、挑戦してなかった事を悔やんでも、今さら遅いぞ。」


 オリバーの言葉に、アレクシスは苦笑いを浮かべる。仮に決勝に勝利したからといって、クロエがオリバーになびくとも思えないが、オリバーは確信しているようだ。おそらくオリバーがクロエを選んだのも、アレクシスのもたらした情報が影響しているのだろう。生粋の市民でなければ、条件次第では自国へ引き抜くことも可能と踏んだのかもしれない。まあ、そう簡単にクロエをアレキサンドリアが手放すとは思えないがというのが、アレクシスの心中(しんちゅう)である。そして、これまでの参加者やイリス・ユイへの挑戦希望者をみても、準決勝に残った辺りから見目も能力も高いものが多い。この時点で、アレクシスは主催者である女子の思惑に気付いていたのである。


 (なるほど、クロエ達に意中の男子をふらせて、その後のフォローで気を持たせる戦略ですか。色恋沙汰だと、女性にはかないませんね)


 事実、敗退した男子を、女子2,3名で慰めたりしながら、夏至祭へと向っている男女のカップルも多い。

 そして、その後の決勝戦を迎えたオリバーは、あっというまに敗退していた。相手は2mを超える巨漢であり、力はオークかというくらい強い。そして、勝負は単純な格闘戦である。オリバーも膂力は弱いわけではないが、剣を使った勝負であるなら負けはしなかったろう。純粋な肉体勝負の上に、どちらかというと痛覚に鈍い身体を持つ相手に、オリバーは健闘したほうであったろう。

 恐らくクロエの最後の相手は、紅家・青家の男子の意向を慮(おもんばか)った女子の配慮であろう。彼女達は、特にクロエに対しては遠慮しないのと、一部の女子にはユーリアを妬み、クロエをお姉さまと慕う女子も居るとか居ないという噂もあることだし。クロエに対して格闘戦まで持ち込める男子が皆無となっているのもあり、クロエの格闘戦を色々な意味で見たいという要望は男女共に多いのだ。

 そして、男子の知らない事実があった。クロエvs巨漢の男子 の格闘戦は、一部女子の有志により、『記憶(Memory)』への、動画撮影出張サービスが依頼されていたのである。撮影された動画は、一部女子のみの厳密な配布基準をクリアした者のみが有償で入手し、それをみてうっぷん晴らしをするなど様々な用途で使用されたということを、クロエ達と男子は知る由もない。


 夕刻、クロエ達にアタックをした男子は全員玉砕をしたと、ワイアットから聞かされた二人は、今頃女子達がうまくいったとほくそ笑む姿を予想しながら、下層街への帰路に着くしかなかった。

 2人は翌日に自国へと帰郷する為に、それぞれの商館に戻ったが、夜間にファロス島大灯台の上空に現われた、3つの大輪の花に驚く事になった。一部の兵士や商人達は、その光の花の美しさに神の祝福かと狂喜したという。

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