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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
2.いつか覚める夢
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2.新学期

 部屋のカーテンが開けられ、眩い明かりが部屋を照らしました。僕はベットの上から枕もとの時計を眺めます。


 「ジェシー、まだ6時だよ。もう少し寝かせてよ~。」


 カーテンと共に窓を開けて、空気の入替を行っているジェシーが僕にいいます。


 「クロエ、今日から学院の新年度が始まります。いつものように、いい加減な髪型では登校できませんよ。お目覚めになられたら、シャワーを浴びてきて下さい。」


 むぅ、頭はスッキリしているのに、身体がなかなか言う事を聞かなくなってますね。むりやり、ベットから降りると少しふらつきましたが、何とか立て直します。

 その後、シャワーを浴びてエマの作った朝食を一人で食べます。制服を着て椅子に座らせられると、ジェシーの手によって髪型が整えられていきますね。


 「エマもジェシーも、もう立派なメイドとして活躍できるね。」


 僕がそういうと、ジェシーの表情が少し和らぎます。暫く待つと、アレクシアさんが起きだしてきましたね。僕よりいい加減に見えるのに、部屋を出るときはちゃんとしているんだから、つくづく生粋の女性は凄いなぁと感心しつつ、朝の挨拶をします。


 「おはようございます、アレクシアさん。今朝は早いんですね。」


 「おはよ、クロエちゃん。今朝は学院の新年度だしね。わたしも顔はださないといけないのよ。今年は例年と違って、エルフ族と他国からの留学生が入学してくるしね。」


 なるほど、破天荒なアレクシアさんでも、守らなければいけないことはあるのですね。僕がそんな事を考えていると、アレクシアさんが僕をジト目で見つめています。


 「クロエちゃん、今、失礼な事を考えてたでしょう? まあ、今はその件は後回しで良いわ。クロエちゃんのクラスに、今日から他国からの留学生の女の子と、エルフ族から初めての入学者が入ってくるわ。仲良くするのは良いけど、あまり迂闊(うかつ)な行動をしちゃ駄目よ?

 特に留学生の前では。エマとジェシーも必要以外は学院に入れないんだから、余計なトラブルは避けてね。」


 「あの、僕はそんなに粗忽(そこつ)にみえますか?」


 「クロエちゃんは、粗忽というか迂闊なのよね。特に仲が良くなった子には、赤裸々だし。」


 赤裸々って、なんか酷い言われような気がする。


 「何れにしても、貴女の魔道具は留学生の前で見せちゃ駄目よ。あと、上級のクラスにも男子の留学生が2名きてるけど、こちらもいろいろな面で注意してね。」


 「色々な面てなんです? 僕は特に男子の留学生に興味は無いですよ。」


 僕がそういうと、アレクシアさんがちっちっちと言いながら言葉を続けます。


 「あのね、クロエちゃん。他国からすると、貴女やイリスはこの国の将来の重要人物となることが確定しているのよ? そういう血統の家だということは知られているのだから。

 そういう女の子を篭絡(ろうらく)しておけば、10年20年後の外交面では、大きなアドバンテージになるって事。武力併合できなければ、身内とする方向に考えるのは外交よ。」


 篭絡と聞いて、僕は紅茶を噴出しかけます。危ない危ない、朝からなんて話を聞かせるんだこの人は。


 「篭絡って、10歳未満の女の子に本気で手を出す人は居ないでしょ。気にしすぎじゃないですか?」


 僕がいうと、アレクシアさんも冗談よといいながらも、言葉をつなげます。


 「王族や貴族なんてものが居る国はね、身分のある女の子は生まれたときから婚約者が決まってしまう事なんか普通なのよ。そして、それが普通である国が、同じ事をこの国にも要求してくる事はあるの。だから注意してね。

 留学生本人は、そういうことを考えててもいわないことがわかっているけど、お付きの大人はそうとは言えないしね。」


 はぁ、新年度早々面倒な話を聞かされましたね。ま、僕は男子と絡む気はないので、イリスにつこうとする虫を気にすることにしましょう。


*****


 「おはようございます。クロエ様」


 元気に大声で挨拶する女の子に、僕は勿論見覚えがあります。エルフの町クレナータで会った幼いエルフの女の子、ユーリアちゃんですね。この夏もクレナータに行った時に会っていたのに、少しも教えてくれなかったんですね。


 「ユーリアちゃん、学院に入学するなんて少しも言ってなかったじゃない。酷いなぁ」


 僕がそういうと、ユーリアちゃんはうふふっと可愛い声で笑います。


 「だって、クロエ様を驚かしたかったんですよ。びっくりしました?」


 「うんうん。驚いた。あと、その様はやめようね? 普通にクロエでいいよ。」


 え~と、しぶるユーリアちゃんを何とか(なだ)めます。ここには身分制度はありませんしね。隣に居るイリスに、ユーリアちゃんを紹介します。7歳とはいえ、眉目秀麗なエルフ族の子ですからね。イリスに並んでも十分な美少女です。

 イリスも、エルフ族の子供を見るのは初めてのようですね。今まで彼らは、森からでてもアルマンディンの町まで。

 しかも子供は森から出るという事は無かったのですから。


 「ようこそ、魔法学院へ。私はクロエの友達の、イリスよ。クロエ共々仲良くしてね。」


 イリスの挨拶に、ユーリアちゃんも笑顔を浮かべて元気に返事をしています。新入生の中でも、やはり珍しいのかユーリアちゃんは人気者ですね。

 そうこうしているうちに、12歳以下の担当の女性講師の方がやって来ます。彼女は数学の講師でもあります。


 「皆さん静かにしてね~。まずは、座席は新入生は一番廊下側の席から座って頂戴。その他の子は、とりあえず好きな席でいいわ。まずは、今年初めて受け入れる編入生の子を紹介しますよ。」


 講師の方の説明後、背後に居たリンが、前に進み挨拶をします。


 「おはようございます、魔法学院の皆さん。東国の遼寧(りょうねい)から留学生としてきています、リン・シャオロンです。不慣れな事が多いと思いますが、よろしくお願いします。」


 うんうん、普通に良い挨拶ですよね。黒色の髪が珍しいわけではありませんが、リンの髪の毛は濡れ烏色で、少し青味がかった黒色です。光の加減でとても綺麗に見えますね。


 「では、リンさんと新入生も入ったので、最初に席順を発表しますから、自分の席についてくださいね。その後、お約束の自己紹介を低年齢の子から始めますので、ちゃんと考えておくように。」


 え~という悲鳴じみた声の後、席順を発表されます。基本的に成績順なのは、受ける講義の内容が異なるからですね。イリスはあいも変わらず、窓側の一番前の席、つまり12歳以下のクラスの主席です。次席は僕なのですが、数学や物理関係は僕のほうが成績が良いのだけれど、言語関係や歴史に関してはイリスに適わないんですよね。精神年齢は僕は20歳になるのに、10歳のイリスに完敗なのですから、多少なりと落ち込む要因ではあります。

 リンは、新入生よりの座席ですね。そしてユーリアちゃんが新入生の中では主席です。これは、僕ものんびりして居られませんね。


 お約束の自己紹介のあと(しっかりとあだ名を新入生に披露してくれた男子には、戦闘術の講義で反省してもらう事にしましょう)、それぞれの受講対象の一覧が配られます。

 基本的に、クラス単位で行う講義は殆どありません。全ては選択性の講義が主体の為、各クラスは講義の合間の待機場所に近い形となります。それでも低年齢の子は殆ど同じ講義内容になるのですけれど、僕やイリスは殆どが選択講義ですので、戦闘術などの一部の講義しか被らないのですよね。

 リンちゃんとユーリアちゃんは、ある程度講義が被るでしょうから、心配は要らないでしょうね。


 「ねえ、クロエ。貴女は攻撃魔法?をとるのよね? 私は医療術?があるから、そこはご一緒できないわね。あとは、ほぼ一緒でいいかしら?」


 「ん~、数学?はもういいかなぁ、錬金術?は冶金?終了済みが前提だから、冶金?うけないといけないんだけど、まだリアンはいるかなぁ。僕彼が苦手なんだよね。」


 「冶金や鍛冶はリアンの独壇場だもんね。でも、鍛冶をとる女子はいないわよ。火を使う分、お肌が荒れるし、細かい火傷はしょっちゅうですもの。」


 「あ~、そっか。冶金はそうでもないし、細かい細工物が得意な娘も多いよ。魔道具を作るには必須スキルだしね~。」


 などと、イリスと2人で受講内容を検討していると、周囲の子達からたずねられます。


 「ねえ、クロエさんは戦闘術?をとるの? あれってほぼ実戦形式って聞いてるわよ?」


 「殺人兎(ボーパルバニー)は、攻撃特化だからな。魔道具すら……」


 そこまで言ったところで男子は講師の先生に頭を小突かれます。


 「細かい講義内容については、ここで話しちゃ駄目よ。新入生や留学生が居るんですからね」


 小突かれた男子は、ちらっとリンさんをみて、了解したように頷きます。


 「じゃあ、受講希望は、今週中に提出してね。今週は各講義は対象者には見学可能となっているから、見てから決めて良いわよ。

 じゃあ、新入生と留学生以外は解散していいわ。」


 担当講師の指示を受けて、新入生とリンさんを残して、みなぞろぞろと部屋を出て行きます。一部はサロンの個室で相談するようですね。


 「クロエ、貴女はこの後どうするの?」


 イリスに質問されて、僕は考えます。


 「じゃあ、サロンにでも行って、受講内容の打ち合わせしようよ。あそこなら、防音されてるしね。」


 「はぁ、仕方ないですわね。紅茶は私がもちますから、お菓子は貴女がもってくださいね。」


 「それずるいよイリスさん。ここは年上ということで、全部おごってくれてもいいんですよ?」


 そんな他愛ない話をしながら、僕とイリスはサロンへと向います。こうして平和裏に新学期初日は終了しました。

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