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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
7.女王の奏でるラプソディ
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32.エメラルド島泊地

 エリックさん作成の図面通りに泊地に埠頭と防波堤の建設が終わった後、Q(クイーン)A(アレキサンドリア)を埠頭に停泊させる事にします。それにしても、エリックさん達、『クロエ君にならできるよね』とかいって、結構大掛かりな土木作業を、さらっと頼んでくるようになりましたね…… ちょっと、付き合い方を考える必要がありそうですね。


 急ごしらえとはいえ、島の一画にL字形に水路(堀?)を造り、軍港区画と島を隔てます。軍の区画と元の島は、それぞれ一か所ずつ設けられた石橋でつながった構造になっています。水路の幅は五メートル程ですが、潮の流れが岩に海水を叩きつけるように打ち寄せた場所が片側の口となっているので、水流はかなり早く、水に落ちればあっという間に流されてしまうでしょう。

 二か所の石橋も、オーソドックスな充腹式上路アーチ橋の形をとっていて、眼鏡橋のような形をしています。単純な岩に半円形の水路を穿(うが)った形です。

 そして、水路を作るために削った岩は、そのまま埠頭と防波堤を作る建材として使っています。もちろん、二か所の橋には、落下防止に大人の腰の高さよりも高く、欄干を設けてありますので、水路に人が落ちる事はないでしょう。


 埠頭とはいっていますが、実際はドッグと言って船が入るための細い水路の形をとっていて、奥が行き止まりの構造です。船をドックに入れた後は海側の水門を閉じて、ドック内の水を排水することで、船台に船を固定して修理などを行う目的に使用するドックをドライドックと言いますが、エメラルド島に建設されたドックの主目的は整備用ではありません。


 ドックのもう一つの用途、荷役用ドックがエメラルド島のドックの建造目的となります。潮の干満が大きいと、岸壁に船が接岸していても、当然のことながら海面の高さに応じて船も上下します。干満の差なんて、大した事ないだろう? と考えたあなたは、有明海やホープウェルロックを調べてみてくださいね。ホープウェルロックでは、最大の干満の差が十六メートルにも及ぶんですよ。ビルにして五階分の高さに匹敵する海面の高さが変わるのです。

 エメラルド島の干満差は二メートル程ですが(干満差が大きいと港としての利用は難しいですからね)、Q(クイーン)A(アレキサンドリア)では補給物資の積み込みに問題がでます。荷役夫を雇って荷物を積んでいては、補給の時間もかかりますし費用もかさみますからね。

 エメラルド島へ運ばれた物資は、浮き桟橋につけられた商船から倉庫へと搬入し、木製のパレット上におかれて保管します。

 Q(クイーン)A(アレキサンドリア)には、艦内荷役運搬用のフォークリフトが存在していて、それを使って運搬予定ですが、フォークリフトは普通の乗船口から地上に降りることは出来ない為に。後部甲板のデッキサイド式エレベータを使用して埠頭へと渡る予定なのです。その為、デッキサイド式エレベータの高さが潮の干満で変わる事が無いように、設置されているのです。もちろんエレベータの縁と埠頭の面にはドッグレベラーという、埠頭とエレベータの高さを合わせる装置もついています。


 そして、右舷側の埠頭は、岩山方面へまっすぐ伸びた滑走路の様になっていますので、飛行隊の訓練にも使えます。誘導する為の地上設備などはないので、全てQ(クイーン)A(アレキサンドリア)の設備を使う事になりますが、特に問題は無いように思えます。


 ドックと海面を隔てるドックゲートですが、アレキサンドリア下層街の軍港と同じように、フロート式にしています。軍港はドライドックですので、河川側の水圧でドック側にゲートを押し付ける形式でしたが、今回はドック内に海水がある状況になります。ですので、ドック内から外側にドックゲートを押し付ける為に、満潮時にも海側より高い水位にして水圧をたもつ必要があります。

 ですが、この仕組みを使用するのはQ(クイーン)A(アレキサンドリア)だけですから、わざわざ魔道具を設置する気はありません。僕が居るんですから、ゲート閉鎖後に海水を魔法でドック内に注水すれば、荷役用ドックとして使う事は可能です。

 整備・修理用にするには、ドックゲートを海面側に移動させるだけでなく、船が乗る船台などが必要ですので、こちらは直ぐに使用するには準備が必要です。


 右舷側と左舷側の高さの違いは、そのまま倉庫区画としてあります。こちらも、保温・保湿などの設備が必要になりますので、いまは常温保存が可能なものだけになりますね。扉は石造りの大扉を使っていますので、重量はとてもありますが片手で押すだけで開くことを可能にしています。


 Q(クイーン)A(アレキサンドリア)の補給物資としては、大部分は食料だけになります。大半が日持ちのする干し肉などですが、玉ねぎなどの根菜類や果物類、ミルク等が補給の対象となります。

 勿論艦内工場でも生産しているとはいえ、葉物野菜などは購入しますが、補給先で事前に購入しておく事は難しく、仮にできたとしても市場から買い占める事にならない程度に抑える必要もあります。足元を見られて、市価の倍額を提示する商店主もいるようですしね。


 こうして埠頭回りのQ(クイーン)A(アレキサンドリア)が使用する区画と、泊地と秘密性を高める対策はとりましたが、他は一切手を付けていません。


 施設は石造り二階建ての、小規模な建物が一棟と、砂浜に近い場所に木製のコテージ風の兵舎が十棟程度。恐らく、水兵が泊地に立ち寄った時の起居用のエリアでしょう。小規模ですが、基地司令と参謀の二人で維持・管理をするには広い気がします。

 軍の帆船が帰港していない時は仕事が少ないのは事実でしょうが、掃除・洗濯などの家事仕事を自分たちでこなしているとは思えません。

 そして、泊地の様相が変わっていることも、見ている割には反応が無い事も気になりますね。事前に今日入港することは伝えてありますからね。


 艦橋から泊地内の各処の様子を、情報パネルに表示してみます。石造りの建物を映した画面が映る画面を見てみますが、二階の一室のカーテンが揺れた気がしましたが、特に大きな動きは見えませんね。

 他の箇所も、木造の兵舎や小規模な畑、当然出来立ての港湾施設部分にも人の姿は見えませんね。


「……少なくても大勢の人がいるようには見えませんね」


 ユイの言葉に僕も頷くしかありません。岩山側は水路を隔てた岩の上や、通くに見える寺院のバルコニー上にちらほらと人影が見えます。岩山に来てる人は、驚いているでしょうね。いきなり水路ができていて、泊地に近寄る事が出来なくなっているのですから。


「……艦長、泊地周辺に小型の偵察用ドローンを出す許可を……」


 ユイにしては珍しい積極対応の意思を示しましたね。僕自身も確認はしていますが、ここなユイにもお願いしておきましょう。


「船務長お願いします。それとワイアット航空指令にお願いがあります。入港前に、比較的余裕のある士官というこっとで、アンソニー砲雷長を基地司令への挨拶に行ってもらいます。飛行船の準備をお願いします。

 では、他の者は入港準備。船務長は別途任務に就きますので、航海長は入港完了まで一時的に権限を委譲します。では、入港準備開始!」


「「「「「Yes,ma'am!!」」」」」


 こうして、Q(クイーン)A(アレキサンドリア)は味方軍港への停泊というには、物々しい状態で、作りたてのドックへと艦を進めるのでした。

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