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駄女神に拉致られて異世界転生!!どうしてこうなった……  作者: 猫缶@睦月
7.女王の奏でるラプソディ
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24.竜とのお話②

「……では、山頂部に気象観測用の小規模な施設(海上レーダーも含む)を建設させていただいても宜しいですね? この穴の付近であれば、生物はいないようですし」


 僕の問いにも、マー・アズーロさんはあっさりと了承してくれます。許可が出たとはいえ、さすがにそこまでの設備は用意していませんからね。エリックさんに制作をお願いして、任務の帰りにでも設置の為に再びこの島を訪れれば良いかと考えていたその時でした。


「ん?」 『これは!』


 僕が感知したものを、マー・アズーロさんも把握したのでしょう。マー・アズーロさんとは少し違った魔力のパターンを感じます。それは、あっという間に穴の上空に到達し、一気に穴を下りてくる気配です。


「ちょっと、何考えてるんですか!?」


『……全く、あの考え無しめ!!』


 とっさに障壁を張って何者かが降りてきたために発生した強風から、DM2や自分たちを守ります。そんな僕たちの頭の中に、現われたものの声が響きました。


『マー・アズーロ、自分はわしん知己の者を勝手に呼び出して、挨拶もせえへんとは、どないなってんねん?』


 蒼い竜の前に立つのは、緑色の鱗をもった飛竜の姿をしています。そうですね、モン〇ンのリオレ〇アに似ていますが……何故、関西弁??


『……カッチャトーレ、貴様にはいつも言ってるであろう。竜族たるもの、もう少し重みのある言葉を使えと……』


 マー・アズーロさんの声が重々しく響きますが、カッチャトーレさんは聞く気が無いようですね。そして、そんなカッチャトーレさんを見たクラリスさんとコリーヌさんの顔は対照的です。


「あ~、カッチャトーレさんだ。久しぶりだね~、元気してた?」


『お~、嬢ちゃんも久しぶりやな。ワイはめっちゃ元気やで。嬢ちゃんも元気にしとったみたいやなあ』


 ……近所の気の良いおじさんと会話して、楽しそうにしているのがクラリスさんで、


「……この方が、プランシェ家最後の飛竜、カッチャトーレ殿だというのか……いや、言葉遣いは強さには関係しないが、しかしこれは……」


 などと呟いているのはコリーヌさんです。まあ、確かにコリーヌさんの中にあったカッチャトーレさんのイメージが、音を立てて崩れて行ってるのが予想できてしまいます。きっと、子供のころから聞かされていた話では、勇者もかくやというほど美化されていたでしょうからねぇ……


 その後、二竜の話し合いは無事終わりました。本来、他の竜の縁(えにし)を結んだ者を呼び出す場合、事前にその竜の了解を得るのが決まりなのだそうです。それをせずに、マー・アズーロさんはクラリスさんをさらってしまったので、頭にきたカッチャトーレさんがやってきたようですよ。

 来たついでと言う訳ではありませんが、コリーヌさんが自己紹介をすると、カッチャトーレさんはコリーヌさんの実力を測るかのようにじっと見つめてました。

 やがて、カッチャトーレさんはコリーヌさんの実力を認めてくれたようですね。マー・アズーロさんが言っていたように、一族に禁止されていなかったのであれば、コリーヌさんを主と認めても良かったと……


「やはり、人との交流を禁止されているせいで、ブランシェ家の騎竜には慣れないのでしょうか?」


『今のとこ、他所(たしゅぞく)には触らへんちゅうのが一族の総意やしね。人同士で戦うてるうちはありえへんわな』


『本来、竜騎兵というのは人と竜族が共通の敵と戦う際に協力した姿であった。竜はその身が大きく力は強いが、小回りはきかぬ。背に回られれば、取り得る対抗手段は多くは無く、自分自身の鱗の防御力に頼るしかない。

 逆に人は小回りがきく分、大火力を使わずともその身はあまりにも脆すぎる。お互いの弱みを補う為の手段でもあったのでな』


 カッチャトーレさんとマー・アズーロさんはそう言います。


『それに人にはしがらみがありよるやろ。「魔との戦いで出せるのなら、なんでわしらの国を守る為に使えへんのか」っちゅう上役は、何処にでも居るし、そうそう人も拒否でけへんさかいね』


 ……確かに竜騎兵がいて、竜が共に戦ってくれれば国も守れるし、被害も少ないと考えるでしょうね。でも、その戦いは竜族からすればなんの大義名分もありませんね。自分の乗騎となってくれる竜に対して、自分の意思に従ってほしいというだけの者でしたら、そもそも竜側が契約を結びませんし、契約を結んだとしても、あくまで魔を敵とするときのみとなれば、王などからすれば役に立たないですもんね。魔との争い以外であれば、竜族には居所が知られるというデメリットしかなくなります。コリーヌさんは、がっかりしたような、でも現段階ではカッチャトーレさんに迷惑はかけられないという顔をしています。


『お嬢ちゃんとわしら共通の敵が現われたら、その時はお嬢ちゃんをさらってでも騎乗してもらうさかい、そん時はよろしく頼むで』


 カッチャトーレさんは、コリーヌさんにそう言いました。そして、それまでは他言しないよう言われます。まあ、そういう事が無いのが一番なのですがね。


「あ~、そう言えばイリスさん達が心配してるだろうから、状況を説明しておくね」


 僕は思い立って、タブレットからイリスさん達に、二人共怪我もなく、無事に帰れると連絡します。コリーヌさんとクラリスさんの二人に特に怪我はありませんが、さすがに衣類は少し裂けていますので、着替えが必要ですね。その辺はユイに連絡しておきましょう。多少は制服などの予備も置いてあるはずですしね。


 そうして、無事話も終えて、Q(クイーン)A(アレキサンドリア)に戻ろうとした矢先のことでした。イリスさんから、緊急コール(緊急時のみ音が鳴ります)が入ります。


『クロエ、馬鹿二人が一番機を奪取して、そちらに向かってる。操縦士はディラン、砲術士はエリオット。彼らは「竜を倒すのは俺たちだ」って飛び出していったわ、気を付けて!!』


 ……馬鹿? しかもケンカしたのに仲がいいのは結構ですが、何もしていない竜を倒す? アレキサンドリアと竜族の争いの引き金になる気ですか……

 意識を島の外に向けると、クイーン経由で一番機が円を描くように断崖の内側にそって上昇している事を確認します。この周囲にある鉱石は、熱を加えると危険なものが多いですからね。


「マー・アズーロさん、カッチャトーレさん。お二人に事前に申し上げておきますが、うちにも馬鹿が居たようで、竜を倒すのは自分たちだとこちらに向かっている馬鹿が二名ほど居ります」


 僕の言葉で、クラリスさんもコリーヌさんも固まってしまいます。まあ、竜とは言え知り合いを倒しに来るというんですから当然の反応ですね。カッチャトーレさんはあごを開いて凶悪な様相を示しますし、マー・アズーロさんは自分の不用意な行動が、争いを招いたかと微妙な表情を浮かべています。そんな二竜二人の顔を見ながら、僕は言葉を続けました。


「申し訳ありませんが、馬鹿の処分はこちらに任せてもらってもよろしいでしょうか?」


 例え竜族相手でも、僕は有無を言わせる気はありません。彼らの虚栄心の為に、竜族とアレキサンドリア共和国が戦争状態に陥ることなど許す気もありませんしね。

 ディランとエリオットの二人は、この短期間の間に三度目の失態をし、反省している様子もありません。とはいえ、彼らは明らかな命令違反をしている訳ではありませんでした。今回の機体の奪取が、恐らくワイアット航空指令の命令ではない限り、初の命令違反でしょう。彼らは竜を倒せば、そんなものは握りつぶせると思っているようですがね。

 その他の訓練やサイドデッキでの騒乱は、アレキサンドリア軍人の品位を落とす行為とみなされるでしょうが、事が品位の話ですので重罪にはしにくいし、ならないでしょうね。エリオットの場合は特に、紅家からの横やりが入る事は間違いがありませんから。


 カッチャトーレさんは、人間の小娘に指図されることに多少不満を抱いたように見えますが、マー・アズーロさんは問題を大きくしない為にはしかたなかろうと納得してくれます。


 二竜の許可が無事(?)取れましたので、僕はタブレットを録画&発信状態でジェシーに放ります。


「ジェシー、これから起こる事を録画。リアルタイムでアレキサンドリアと『Q(クイーン)A(アレキサンドリア)』に転送して。

 エマは、クラリスさんとコリーヌさんを連れて、DM2内に乗り込んで外気遮断。最悪の場合致死性の毒ガスが充満する可能性があるので、その場合はここをでて上空待機!」


 僕の言葉にジェシーは頷き撮影を開始し、エマはクラリスさんとコリーヌさんをDM2に案内し発進の機会をうかがいます。さて、馬鹿へのお仕置きをするのと同時に、軍規の明文化のきっかけにできればよいのですが……

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