12.やっぱり作るならロマン武器だよね♪
大まかな性能は決まったから、次は外観だよね。ライフル等のナガモノは取り回し上メンドイから、やはり拳銃でいいかな。個人的には、銃はリボルバーの方が好きなんだよね。前世では好みはやはり、44マグか357パイソンかなぁ。どうせロマン武器なんだし、全く同じに作る必要はないもんね♪
見た目は、44マグよりパイソンのほうが好きなんだよね♪ でも、銃身は長いほうが好み。パイソンは8インチモデル(パイソン・ハンター)までしかないけど、誰も判らないんだし、10インチ位でいいよね。ハンターについてたオプションのピストルスコープも、装着できるようにしたいしかな。
パイソンの装弾数は6だから、そのまま6属性(地・水・火・風・光・闇)の玉が撃てるように、属性変換機構を組み込んで、撃ち分けができれば良いかな。そうなると、一発撃つ度にシリンダーが回る必要はないので、属性打ち分けにシリンダーを回す機構は小指で操作可能になればいいよね。
威力の強弱をつけるには、シリンダーの前に威力の増減を調整できる仕組みがあればいいかな。あ、シリンダー自体を交換可能にして、大容量の魔石での高威力で発射できれば最高♪
魔力使い切ったら、都度交換するのでは、連射性に劣るからグリップを握ると手から魔力を供給できればいいよね。それに、親指で操作できる位置で、魔力の剣を生成できるようにしてと……
こうして、かなりのロマン武器の構想が出来たものの、実際作ってもらうのには如何すればいいのかわからない。直接エリックさんと話せればいいけど、彼も普段は忙しいと思われるし。
そして、悩んだ結果僕はアレクシアさんを経由してお願いできないか確認を取ることしか方法が無い事に至ったのである。
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まず、アレクシアさんに自分用の魔道具の製作を、エリックさんにお願いしていいものかどうか確認してみた。
自分でも、かなりの越権行為をしているのではないかと言う認識もあるし、費用面や素材などで製作が可能かどうかも判らない。技術的な問題は、エリックさんであれば無いだろうとは信じているけど……
アレクシアさんに、依頼する内容を簡単に説明してみた処、面白そうだから言うだけいってみればとの回答です。技術面と素材面は問題ないだろうとも言われましたが、そうなると問題は費用面ですね。個人に支給する魔道具にしては、かなり高価ではないかと思いますし。できれば、左右2丁欲しいですしね。
翌日、さっそくエリックさんが来てくれます。本当は僕が出向くのが正しいんだろうけど、リアンもいるところに訪ねる気力はなかったので、ありがたいんだけどね。
「今回は、クロエ君が面白い魔道具の提案をしてくれると聞いてきたんだけど。」
アレクシアさんに相談した翌日の夕方、早速やってきました。面白い事と思えば直ぐにやってくるわよという言葉通りです。
「実は僕の魔道具の仕様がまだ決まってないと伺って、僕なりにこんなものがあればと考えてみたものですが……」
そういって、簡単な図面ともいえない絵を見せます。絵を見せながら、仕様面を一通り話したところで、エリックさんから回答がありました。
「うん、クロエ君の発想は面白いね。技術的にも素材的にも製作は可能だと思う。」
そこまではアレクシアさんの言葉通りです。そうなると、費用面が問題なのでしょうね。僕の顔色をみて、何を懸念しているか予想が着いたのでしょう。
「ああ、費用面も若干高くはつくけど、出せない額じゃないから、そちらも気にしなくて良い。僕が気にしているのは、何故これが必要かという点なんだ。恐らくアレクシアもそうだろう?」
エリックさんがアレクシアさんを見ると、やはり肯きます。
「正直な話を言おう。まず、この武器は魔法を撃つ魔道具であり、しかも本人の魔力を使う点で、術者が魔法を使うのと変わりが無いと思う。一般的な魔道具は、その本人の能力を底上げしたり、補助を行う為に使われる場合が多いんだ。
クロエ君も、魔法が解禁されれば、この『ガンブレード』と君が名付けた武器を使うよりも強力な魔法を使う事が出来るだろう。性能が低いものを、速射性だけで君が選ぶとは思えない。そこの点の理由を聞かせてほしい。」
エリックさんとアレクシアさんには、言える範囲内のことは全て知られているので、問題は無いと思いますが、地球での知識とは制限事項にかかる様で話せません。
「この間の授業で、集団戦の訓練をしたのですが、僕の所属している部隊が、イリスの居る部隊と戦闘した際、中央突破した後に剣士や槍士に後方から追撃を受けて壊滅したのですが、接近されたときの対抗手段があればよいなと思ったのが切欠です。
ただ、大砲と同じように金属の弾を飛ばすのでは、次弾の装填などで時間も掛かりますし、予備の弾丸も携帯しなければならない事を考えて、魔法が飛ばせればその問題が解決するかと思います。
これを撃っていても、魔法詠唱は出来ますので詠唱時間を稼ぐ手段にもなります。」
「ちょっと待って。クロエ、本来魔術師や弓士は部隊の後衛で戦うものよ。あくまで戦闘術を学ぶのは、集団戦で相手がどう動くかを学ぶ為に参加しているのよ」
アレクシアさんがそういいますが、僕はそれを否定しました。
「『銃』の強化が進めば、剣や槍、弓では戦わなくなります。相手は『銃』をもって遠距離から攻撃してくる事が戦いの主となります。『大砲』を積んで移動する車も出ます。
『銃』でこちらの隊列を突き崩した後に、剣や槍でって戦いはあるかもしれませんが、『銃』の強化が進めば短時間に数多くの弾丸が飛んでくる事になります。弾の威力か連射速度があがれば、『銃』や『大砲』だけで戦闘が終わるようになります。
魔法は威力は高いけど、相手と距離がある場合、到達時間がかかると避けられてしまうし、使える人が少ないのは大きいんです。
逆に『銃』は作れば、少年や女性、老いた人でも取り扱える。戦う相手が飛躍的に増えた場合、高威力の魔法を詠唱している時間は無いんですよ。」
そこまで言い終えて、僕はやってしまった事に気がついた。
そっと、エリックさんの方をみると、呆気にとられた顔をしている。
(まずい、つい夢中になって言いすぎた)
牽制の処で話を終えればよかったのに、アレクシアさんの突っ込みに反応して余計なことまで話してしまった。椅子から飛び降りて逃げようとした僕の脚が止まります。というか、動かない?
そぉ~とアレクシアさんの方をみると、非常にいい笑顔で笑っています。
「ふ~ん、随分『銃』や『大砲』に造詣が深いのね~。それはアレキサンドリアでは得られない知識よね。どこで憶えたのかしらぁ?」
「ひっぃ」
僕は竦みあがってしまい、声も出せません。
「クロエはうちの娘なんだから、当然知ってる事は教えてくれるわよね。いえないことは別として」
詰んだ。もう逃げようがない。僕は逃げる事を諦めました……




