夜のうた
寂しい夜のおともに。
夜はうたをうたう
真っ暗な五線譜に星屑の音符を散りばめて
あの星座が主旋律、流れ星は不協和音
夜空の楽譜は気まぐれに
美しい音を奏でる
夜はうたをうたう
人工的な街並みに紛れる人々を見下ろして
星を数える恋人と、行き場をなくした少年
夜空の楽譜は残酷に
美しい音を奏でる
夜はうたをうたう
途方もない年月で幾千もの命を見送って
望まずに死にゆくひと、自ら死を選ぶひと
夜空の楽譜は変わらずに
美しい音を奏でる
「まま、夜がおうたを歌ってるよ」
夜空を指差す少女に母は
「そうだねえ、上手だねえ」
そう言って微笑んだ
また明日。