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第十二話「戦闘特訓① 兎狩り②」


「はぁぁぁぁ!!」


 右上から斜めに大きく振り下ろす。それを見て兎は左へぴょんと跳ねた。


「大振りしたって当たらないわよ」


「分かってるよ!」


 れいなからのアドバイスだがそれは分かっている。分かっているのだが出来ない。剣を振るなど初めてなのだ。細かい動きは想像以上に難しい。


「もっと速く動かなきゃ……」


 もう一度低姿勢になる。

 

 速く動くための基本は低い姿勢。自分に言い聞かせるように頭の中でそう繰り返す。


 膝をバネのように使って地面を蹴る。遮るものはない。


 いい速度が出た。


「くらえ!」


 だが、助走をつけた斬撃もかわされる。


 この兎は反応も凄いがジャンプ力も大したものである。

まるで無重力空間にいるかのように、一メートルほど後ろに跳んでかわした。


「当たらねえ! こいつ本当に雑魚なのか?」


「ええ。その証拠にあまり攻撃してこないでしょう? 動きは中々速いけど安全だわ」


 なるほど。こちらにあまり攻撃はしてこないがこちらからからもしづらい。まさに特訓にはうってつけって訳だ。


「がんばってねー。時間かかりすぎると私が殺しちゃうよー」


 おっとりとした口調で話すさつき。その割には物騒だが確かに彼女にはそれをするだけの力がある。ユウキにはない力、それが悔しかった。


「いや、今から速攻で終わらせてやるさ」


 ユウキは辺りを見渡す。兎は真っ正面。逃げる気はないようだ。広い荒野の奥には大きな岩が見えた。


「あれを使えば動きを止められるか……?」


 何か閃いたユウキは刀を正面に構える。その目は真っ直ぐ兎を捉えていた。


「これで最後だ! いくぞぉぉ!!!」


 走りながら小さく右腕を左から振る。すると魔獣は右に跳ねる。やはりそうだ。


「攻撃された方向と逆の方向に跳ぶ習性! それを利用させてもらう!!」


 ユウキは追いかけ着地点を狙う。兎が後ろに跳ねた。


「そこだぁぁぁ!!!」


 右手を伸ばしターゲットに向かって飛び込む。またもや後ろに逃げようとした兎を岩が阻んだ。


 ブスッと鈍い音がする。腹を刺された魔獣は黒い砂になって消えてしまった。小刀が帰り血で染まって、ユウキは地面に突っ込んだせいで傷だらけだが、とにかく勝利だ。


 ユウキの元に二人の少女がやって来る。


「やったねー! おめでとー!」


「考えたわね。追い込むときの斬撃は良かったわ」


 仰向けになって二人を見る。笑いかけてくれる二人が本当に祝ってくれているのが伝わってきて、ユウキは嬉しくなった。


「ありがとう……大変だったよ……」


「そうね。よく頑張ったわ。今日はこれくらいにして明日も頑張りましょうね」


「え! 明日も?」


「と・う・ぜ・ん でしょ?」


 満面の笑みのれいなを見て、ユウキは溜め息をつくしかなかった……


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