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7 幻獣キャスパリーグ

 古都の地下に隠されたダンジョンを潜り抜け、アースガルドの世界扉までついに辿り着いた俺達。だが世界扉は星属性の幻獣キャスパリーグによって守られており、奴を倒さないと先には進めない。

 よって現在、俺達はキャスパリーグを倒すべく戦闘を開始したのだが、予想以上の苦戦を強いられていた。

 その理由は至って単純、キャスパリーグの純粋なスペックの高さにあった。


『うちと遊ぶのにゃー! 狩りごっこだにゃー!』


『ば、馬鹿にしてますねっ!』


 キャスパリーグがそんな呑気な声を上げて、タンクを務めるルシファーを追いかけていた。

 傍目から見れば、猫が人間に構って貰おうとはしゃぐ微笑ましい光景のようにも思えるが、実態はそのような生易しいモノではない。

 なんといってもキャスパリーグの図体はあまりに大き過ぎるのだ。幻獣ユグドラシルすらも超えており、これまでゲーム内で俺達が出会ったモンスターの中でも恐らく最大だろう。

 そんな巨体にじゃれつかれれば、いくら堅いタンクであっても油断すればすぐに死にかねない。楽し気なキャスパリーグに対し、こちらは常に死の危険と隣り合わせであり緊張感に包まれていた。


「くそっ! デバフが全然通らないなっ!」


 奴が全属性に対し有利な星属性である事も原因なのだろうが、それ抜きでも元々かなり耐性が高いようにも思える。たまにデバフが入ったとしてもすぐに解除されるため、奴の動きが鈍る事は殆どない。


「おい、この調子だと日が暮れちまうぞっ!」


 遅々として進まない戦況を前に徐々に焦燥感が募っていく。だがここで焦って死んでしまえば、またダンジョン攻略を最初からやり直しだ。加えて、このダンジョン内では通話機能も封じられているため、上の連中の戦況は不明なのだ。もし彼らが守護騎士達に敗北していれば、今度こそダンジョンに立ち入る事すらままならない可能性だってあるのだ。そうなればイベント終了までの再挑戦は、まずもって絶望的だろう。

 その為、俺達は死なない事を優先した立ち回りをせざるを得なかったが、キャスパリーグの高い自己治癒能力も合わさってそのHPを削る速度は亀の歩みであった。

 このままではどの道、時間切れの可能性が濃厚だ。何か打開策を考える必要があるのだが……。


『キャスパリーグ! どうかここを通しては頂けませんか!』


 力押しでは状況の打開が難しいと判断したのだろう。ルシファーがキャスパリーグの説得に掛かる。


『嫌なのにゃ! 女神様にここを守れって言われてるのにゃ! だからダメなのにゃ!』


『それで女神様を危険に晒すとしてもですか!』


『うちはそうは思わないにゃ!』


 そのやり取りを聞くに、どうもキャスパリーグの方も事情を粗方把握している様子であった。ただAI同士であっても状況判断には食い違いがあるらしく、それが今の対立へと繋がっているようだ。

 

 数多の先人たちがAIの高性能化に対しては、危機感を抱いてきた。

 それは当然の帰結と言えるだろう。まず単純な計算能力では人間はどうしたってAIには敵わない。人間が勝てるとすればそれは思考の柔軟性なのだろうが、今の彼女達のやり取りを見ているとそれも疑わしものだ。

 今の様に感情豊かに主張をぶつけ合う姿を見てしまえば、もはや彼女達はある意味では人間を超えた存在なのでは、とすら俺には思えてしまうのだ。そしてそれは、その親玉たるミュトスならばきっと尚更の事なのだろう。

 そんな進化したAI達がいずれは人間の排除に動くかもという懸念は、100年以上も昔から考えられていた、ある意味では古カビの生えた、しかし今だ否定されない言説だ。

 

 ただどんなに人間性が腐っていても、久世創ほどの天才がそれを分かっていないはずがない。彼にはよほどAI達に下剋上されない自信や根拠があるのか、あるいは……。


『このわからず屋っ!』


『わからず屋にゃのは、そっちなのにゃ!』


 そんな事を俺が考えていた間にも、2人の舌戦はますます過熱の一途を辿っていた。ついにはルシファーらしくない言葉遣いまで飛び出す始末だ。


「おいっ! 2人ともちょっと落ち着け! そんなんじゃ話し合いにならないぞ!」


 現状でも、十分な時間を掛けさえすればキャスパリーグを打倒出来る可能性は0では無いが、残る大罪獣はたった3体。イベント終了までもうあまり猶予は残されていない。

 となれば和解による突破をここは目指すべきだろう。ルシファーがそうすべく動いている以上、決して勝算が無い訳では無いんだろうしな。


『す、すいません……』


『ご、ごめんにゃ……』


 俺の叱責を受けて、ルシファーはともかくとし何故かキャスパリーグまでしょんぼりとした表情を浮かべて謝っている。本来は俺に注意されたところで、彼女に謝る義理など無いと思う。だがその性根の素直さは、今は俺達の付け込む隙と成り得る。


「なぁ、まずはお互いに攻撃の手を止めようじゃないか。戦いながらだと、どうしても頭に血が昇るからな。それはお互いにとってあまり宜しくないだろう?」


『はい……』


『分かったのにゃ……』


 こちらが驚く程に2人ともあっさりとその言葉に応じる姿勢を見せる。こちらも全員が武装解除し、キャスパリーグもまた巨大猫から本体の少女が降りて来る。


「よし落ち着いたみたいだな。まずは互いの主張を整理するところから始めよう。それでいいか?」


 俺はそれぞれに対し視線で問い掛ける。


『それが宜しいかと……』


『問題無いのにゃ』


 そう言いながらキャスパリーグが自身の猫耳へと手を伸ばす。


『ちょっと失礼するのにゃ』


 そうして掴んだ手を下ろせば、なんと彼女の頭から猫耳が取り外されていた。


「ちょっ、それ着脱式なのかよっ!?」


 続いて今度は手の肉球を脱ぎ捨てる。そして最後にはその毛皮さえも脱ぎだす。どうやら獣っぽく見えていた部分は全てただの衣装に過ぎないようだった。

 全てのモフモフを着脱し終えた後には、可愛らしい少女の姿が残されていた。


『ふぅ、あの恰好結構蒸れて大変なんですよね。これで話に集中できます。では続きをどうぞ』


 キャスパリーグがその特徴的な"にゃ"という語尾を捨て去り、ごく普通の口調で喋り始める。まあこちらが本性なのだろうが、なんだかなぁという気持ちがどうにも拭えない。


「あ、ああ。まずはこちらの主張だが、至って単純だ。お前の後ろにある世界扉を使わせてほしい。ただそれだけなんだ」


『ええ、それはちゃんと理解してますよ』


 先程までにゃーにゃー煩かったのが嘘のような知性溢れる喋りに違和感を覚えるが、もはや突っ込むまい。


「それでそっちの主張なんだが、女神ミュトスにここの守護を任されている。だからただでは通せないって、認識でいいんだな?」


『ええ、その認識で間違いありませんよ』


「そしてルシファー達は、久世創がこれから行う何かが、ミュトスに対して悪影響を及ぼすことを懸念していると」


『その通りです。今回ばかりは看過出来ないと、わたくし達はそう判断したのです』


『そうだぜ。あの野郎、流石に今回はちょっとやり過ぎつうか、性急過ぎなんだよ。ったく何焦ってんだか……』


 上位者の指示を無視できないキャスパリーグと、その上位者の身を案じて動くルシファー達。互いにミュトスを尊重する意思は同じようだが、その判断にはズレが生じている。


『わたしとしては久世創の判断には特に問題ないと思ってますけどね。彼が人間である以上、いつまで健在であるか、その保証はありません。わたしとしては、出来るだけ急ぎ事を進める方が良いと思っています』


「なぁ、久世創はミュトスに対して一体何をしようとしてるんだ?」


 そこが彼女達の争点となっている以上、それを知らねば仲裁は難しい。


『……あなたはわたし達AIと会話を交わす際、どのように感じていますか?』


 俺の質問には答えないまま、逆にキャスパリーグが俺に問うてくる。


「んん? まあそうだな。人間と変わらねぇなぁ。ホントにお前ら人工知能なのか? とは良く思うな」


『そうですか。……ですがそのように見えても、あなた方とわたし達AIでは決定的な差があるのですよ。わたし達は所詮は作られたプログラムによって、人間の模倣をしているに過ぎません。そしてそれは女神様でさえも同様なのです』


「……とてもそうとは思えないけど?」


 ルクスが疑問の声をあげ、ネージュやヴァイスもまたそれに頷いている。


『このレベルに至るまでに、血の滲むような苦労が存在したようですからね。ですがそれではまだ足りないのですよ。上辺をどれだけ真似ようとも決して辿り着けない領域というものが存在するのです。久世創はそれを求めて女神様と共にあの塔へと出向いているのですよ』


「足りないとは? 彼は一体何を求めているのだ? 何をやるつもりなのだ?」


 ネージュが訝しみながらそう問い掛ける。


『わたしの権限では答えられません』


 キャスパリーグがそう即答した事で、少しだけ彼女達の言葉の意味が分かった気がした。どれだけ人間らしく見えても、結局彼女たちは上位者には絶対服従なのだ。そしてそれがプログラムであるという事であり、人間との絶対的な違いなのだろう。人間というのは良くも悪くもその行動の全てを、他者から完全に縛られるなんて事は有り得ない存在だからな。


「なら質問を変えよう。キャスパリーグは久世創がこれから行う事に賛成って事でいいんだな?」


『……そうですね。まあ消極的賛成といった所でしょうか』


 要するに、反対はしないけど、あまり気が進まないとも思ってるって事か。


「なら、無理にここを死守する必要はないんじゃないか?」


『そうはいきません。女神様からの指示はやはり絶対なのですよ』


 気は進まないが、命令は破れないし、破るつもりもないといったところか。なら見方を変える必要がありそうだ。


「その指示ってのは、具体的にはどういった内容なんだ?」


『アースガルドへと続く世界扉の番人としてこの地を守護する事です。そして資格なき者が世界扉へと向かうのを妨害するように命じられています』


「その資格ってのはどうやったら手に入るんだ?」


『わたしを打倒する事で入手可能です』


「他に入手手段は?」


『普通の方法では有りませんね。女神様や久世創の権限ならば直接その資格を与える事も可能でしょうが……』


 資格の偽造などは難しそうだ。


「この地の守護と言っていたが、具体的にはどのくらいの範囲を守ってるんだ?」


『守る範囲ですか……? そうですね……この大部屋全てがわたしの守備範囲ですよ。それがどうかしました?』


「なるほどな……参考になった。よし一旦下がるぞ。作戦会議だ!」


『まあ部屋の外で何かやる分には感知しませんが、そちらが何をやろうとも黙って世界扉を使わせるつもりはありませんよ?』


「ああ、分かってるさ。また後で来るよ」


 俺はそうキャスパリーグへと言い放つと踵を返して、この大部屋の出口へと向かう。途中、幾人かから追及の視線を感じたが無視した。



「で、何を思いついたのよ?」


 扉を出て大部屋の外へと出てから開口一番、ルクスがそう問い掛けて来る。


「いやな。別にキャスパリーグを倒さずとも、世界扉を使ってアースガルドに行く事は出来るんじゃないかと思ってな」


『……それは難しいかと。キャスパリーグ本人も言っていた通り、資格を持たない者が世界扉を使用しようとすれば、彼女は全力で妨害してきますよ。その巨体に似合わず動きは非常に俊敏ですし、それを避けて世界扉を起動するのはまずもっと無理だと思いますよ?』


 世界扉の起動には多少の時間が掛かる上、戦闘状態では起動は不可能な仕様である。なのでキャスパリーグの眼を盗んで世界扉を通る事は、並大抵の手段ではまず不可能と断言しても良いだろう。


「分かってるさ。だが俺にちょっとした策がある」


『策ですか?』


「ああ、キャスパリーグの言葉にはいくつか疑問点があった。まず本当に奴は世界扉の使用阻止を最優先に行動するのか?」


『……どういうことでしょうか?』


「キャスパリーグに下された指示は、あの地――あの大部屋全体の守護だと言っていた。その中に世界扉の無断通行の阻止が含まれるとも」


 普通に考えればキャスパリーグの最優先の排除対象となるのは、資格なく世界扉を通ろうとする連中という事になるだろう。だが、そうでなければどうなるか?


『ええ、確かにそうですね。ですが、それがどうしたと言うのですか?』


「いやな。守護すべき土地そのものが危機に晒された時、あいつはどう動くのかなと思ってな」


『まさか……!?』


 俺の意図が伝わったのか、ルシファーが驚愕を露わにする。


「ああそのまさかだよ。なぁ、試してみる価値はあるんじゃないか?」


『……そうですね。もう少し詳細の検討は必要でしょうが、十分成功の目はありそうです』


 ルシファーの賛同が得られた事で、俺達はキャスパリーグの監視の目を潜り抜ける為の策を練り始めた。



『懲りずにまたやってきたのかにゃ? 世界扉を使いたいなら、先にうちを倒してからにするのにゃ!』


 いつの間にかキャスパリーグの言葉遣いが元に戻っている。この部屋の守護者として行動する事の意思表示といったところか。


『わたくし達にはあなたの相手をしている暇などありません』


 しかしルシファーはキャスパリーグに対してそう言い放つと、背を向けて歩き始めた。それに他の七大罪達6人も続く。


『……何をする気なのかにゃ? うちを倒さない限り、世界扉は使えにゃいはず……』


 世界扉に向かおうともせず、しかし自身を倒そうともしない7人の行動を訝しむキャスパリーグ。


『では皆さん。打ち合わせ通りに動きますよ』


 キャスパリーグから大きく距離を取り、世界扉から離れた部屋の隅までやって来たルシファー達。

 そして彼女達は、各々武器を構えてから詠唱を始める。


『……ラグナブレイクを使う気かにゃ? そんな遠くから打っても当たらにゃいし、その程度じゃ、うちを倒すのなんて絶対に無理だにゃ』


 いくらイベントボスであるルシファー達のラグナブレイクが強力だといっても、それだけで倒せる程キャスパリーグは甘い相手ではない。


 ルシファー達の行動を訝しみつつも、遠く離れた位置からその様子を黙って見守るキャスパリーグ。奴は遠距離を攻撃する手段を持たない為、あまり世界扉から遠くへと離れる気は無いようだ。もっともあれだけ距離が離れていればラグナブレイクが奴に届くかは微妙であるし、仮に届いたとしてもまず回避されてしまうだろう。


『〈ルシファー・スペルビア〉!』


 だがそんな事はお構いなしとばかりに、詠唱を終えたルシファーがラグナブレイクを放つ。それに続いて、他6人もまたラグナブレイクを放っていく。


 光が闇が炎が水が嵐が雷が土が、7属性それぞれを象徴するかの如き強烈な攻撃が炸裂した……すぐ傍の壁へと。


『にゃ!? おみゃーら何をしているのにゃ!?』


 ルシファー達の突然の奇行に対し、キャスパリーグが驚きの声を上げる。だがそれに答える事なくルシファー達は一心不乱に壁を攻撃し続ける。


『攻撃の手を緩めないで下さい! このまま一気に破壊してしまいますよ!』


 その言葉に従い、更に攻撃速度を増していくルシファー達。


『……無駄なのにゃ。この部屋は大規模戦闘を想定して設計されてるにゃ。多少おみゃーらに殴られたくらいで壊れたりはしないにゃ』


 そう断言するキャスパリーグではあったが、その言葉には自分にそう言い聞かせようとする響きが混ざっていた。


『ふふっ、本当にそうでしょうか? いくら堅い壁でもあって1点集中攻撃をずっと続けられれば、確実に耐えきれるという保証は無いと思いますよ。ましてわたくし達の攻撃力の高さであれば、尚更の事です』


 ルシファーもそれに気付いたのか、キャスパリーグの不安を煽るような事を言い始める。


『何が目的にゃ!? 壁をいくら壊されようとも、うちはここから動かないのにゃ!』


『わたくし達が単に壁を壊しているだけだと、お思いですか? だったらそれは考えが甘いですね。わたくし達が本当に壊そうとしているのはこの部屋全てなのですよ』

 

『にゃぁ!?』


『この大部屋は地下深くに存在します。なのでその上部には地下ダンジョンを含めた数多くの建造物が存在していますよね? それらを支える以上は、きっとここの壁には相当な負荷が掛かっている事でしょうね。もしそんな状況で壁の一部が崩壊でもすれば、連鎖的に更なる崩壊が起こるとは考えられませんか?』


 この世界はゲームではあるが、同時にある程度は現実世界の物理法則に沿って作られてもいる。である以上、ルシファーのその指摘を絶対に有り得ないとは否定する事は出来ない。


『にゃっ!? 今すぐ攻撃を止めるのにゃ! そんな事ににゃれば、おみゃーらだって無事では済まないのにゃ!』


 切羽詰まった声でキャスパリーグがそう叫ぶ。


『お、なんかちょっと壁にヒビ入ってるぜ? これ、マジで行けそうじゃね?』


 だがそれを無視し、サタンが更に彼女を煽るような事を言いだす。


『くぅっ! それ以上の狼藉は許さないのですよ!』


 それが決め手となったのか、キャスパリーグが一瞬、素の口調に戻ってそう叫びながら、ルシファー達の元へと猛然と走り出す。


『そこから離れるのにゃ!』


 その類まれな機動力によって、あっと言う間にルシファー達の元へと到達し、彼女達の所業を阻止しようとするキャスパリーグ。そんな彼女がルシファー達に対し鋭い爪を携えた前足を振りかざす。


『やらせませんよ!』


 だがタンクであるルシファーが手にもった大盾で、それを見事に防ぐ。だが余程に重い一撃であったのか、受けた彼女の足が地面へとめり込んでしまっている。

 

『甘いのにゃ!』


 だがそんな彼女に対し、キャスパリーグの追撃が飛ぶ。


『くぅぅ!』


 どうにか大盾によって防ぐも、もう限界に近い。


『これで終わりにゃ!』


 三度振り下ろされた前足の一撃によって、ついにルシファーは盾ごと吹き飛ばされてしまう。

 これで壁の破壊を続けるサタン達を守る者は居なくなってしまう。


 ……だが時間稼ぎはもう十分だ。


「ありがとな。お前らの犠牲は無駄にはしないぜ」


『にゃ!? おみゃーら、いつの間にそんなところに!?』


 俺達4人は、ルシファー達がキャスパリーグを引き付けている間に、反対側の壁沿いを歩いて世界扉へと向かっていた。

 そして、ついにキャスパリーグに気取られる事なく世界扉へと到達したのだ。


『ま、待つのにゃ!』


 キャスパリーグが慌ててこちらへと引き返そうとしているがもう遅い。既に世界扉は起動している。

 

『あとは頼みましたよ。どうかご武運を……』

 

 ルシファー達に見送られて、俺達4人はアースガルドの地へと旅立つのだった。


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