6話 第三階層
窓からの光がちょっと厳しくて目が覚めた。
カーテンが欲しいな、とも思うが、ま、目覚ましも無いしちょうどいいかな。
軽く伸びをして、首を回す。っあ〜、昨日頑張り過ぎたか、体が軋むなぁ。
ベッドから下りて、着替えをする。
………………………………………………………………………………………。
さて、朝食を食べに行こうかな。
部屋を出て、階下へ向かう(俺の泊まる部屋が二階にあり、食堂は一階にあるため)。
う〜ん、がやがやと、うるさいなぁ。
この宿、あの廉価でこのサービスだから、人気で、人が多い。人気が多い。
………ちょっと人酔いするんだよなぁ。
まあ、この位は妥協できるから、ここに泊まってるんだが。
と、そんな思考はさておいて…………食うか。
※※※※※※
あー、暖かい。
門の外へ出て、心地よい日に当てられて、心地よく思う。
雲のまばらな晴れの日だ。
散歩気分で一歩二歩、均された砂利道を歩く。
気持ちの良い踏み心地が、足を刺激する。
そうして歩いていると、すぐに時間は過ぎて、迷宮に着いた。
昨日の気持ち悪いのを思い出すと…………、うぇ。
ま、まあ、大丈夫。今日は遠くからやってやる。
意気込んで、迷宮に入る。
ひやりとした、冷たく、快い空気に肌を撫でられる。
………。ここらへんって、俺が昨日あのチンピラ共を潰したところか。
なんか昨日の帰り、あいつらを見なかったような。
………………………。
ま、気にすることないよな。ははは………。
さて、今日は3階まで潜るんだ。
………………。
そういえば、このダンジョンってのは、何階まであるんだろうか。
百階まであるとしたって、今のペースじゃあ、いつ着くか分かんねぇ。
これって、攻略ほど難しいことも無いのかもしれない。
ま、俺には関係ないか。
※※※※※
歩いて、着いた、三階層。
ここまで無事だったのかって?そんな訳はない。
昨日のあれとか、粘水球やらのおかげでもう気持ちの悪い液でずぶ濡れだよ………。
早く帰って洗いたい。
しかし、そんな嫌な目にあっても、来た。着いた。
いやあ、凄かったよ。あれの他にも、火を吐く花とか、歩く茸とか、弓とか魔法とか使う小鬼とかさ。
やばいって、ここ。
こんな嫌なところ、逃げたいよね。
ま、仕事だし、逃げたら駄目だが。
それに、あんな気色悪いの、外に出してはいけない。
もうこの仕事に使命感が芽生えてきたよ。すげえわ、やっぱ。
はははっ………。
下を向いて歩いていると、誰かにぶつかってしまった。
「すいません、不注意でした」
取り敢えず謝りながら顔を上げる。
そこにいたのは2、3メートルはある、二足歩行の………豚だった。
……………………。
気持ち悪すぎるうううううぅぅうぅうっ!
投擲『貫通』ッ!
石は豚を貫き、天井を貫き、飛んでいった。
豚は胸から血を吹き出して床に倒れた。
…………………。
こいつは…豚人か。やばいな。こんなやつが外に出てきたら、まずい。街がめちゃくちゃになってしまう……俺の投擲で。
不穏分子は、不安の種は、磨り潰さねばな。
はあ………。
朝一だってのに、不運っつーか、いやな気分だなあ。
こんなのがこの先ずっととか、嫌になるわ。
早く帰りてえなあ。
※※※※※
二足歩行の豚は真面目に吐きそうだった。無傷で済んだものの、心のほうの整理はなかなかそうもいかず。
早めに切り上げてきてしまった。
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