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2、姉ちゃん綺麗

 そこは森だった。

 俺は姉ちゃんの頬をつんつんする。


「うう……」


 どうやら姉ちゃんは気を失っているだけのようだ。

 そっと木陰に寄せ観察する。

 綺麗だ。

 相変わらず、そこにあるのは美の造形。

 俺の理想がそこにある。

 整った顔は、少し怖さを覚えるほど。

 ああ、好きだ。

 姉ちゃんに顔見ながらご飯が三杯は食べられる。


「うう……太郎?」


 姉ちゃんの顔を見るため眼鏡を外したので、前が良く見えてないらしい。

 眼鏡、眼鏡と探す姉ちゃんが可愛い。


「ほらこれだろ」


 そう言って分厚い眼鏡を渡すと姉ちゃんはそれを装備する。

 まあ、これはこれでありなのかな?

 美人は何つけても美人ってことで、むふふ。


「たった、10年でこんなに大きくなっちゃって、もう」


 実は姉ちゃんに会うのは、11年と98日ぶりだ。

 10年ではない。

 姉ちゃんといいことしようと部屋に侵入し、それを両親に見つかり俺は隔離されてしまったのだ。

 あと少しだったのに。

 家の実家は、室町時代後期から続く武術家の家系。

 俺が総合格闘技で世界一になったら、姉ちゃんと逢わせてくれるというので俺は世界チャンピオンになったのだ。

 つらかった。

 トレーニングもつらかったけど、なによりつらかったのは姉ちゃんに逢えなかったことだ。


「ね、姉ちゃん昔の続きをここで……」


 俺の口づけは、姉ちゃんの手によって防がれた。


「そういうのは、いいから」


「あっ、はい」


 姉ちゃんの少し怒った顔も好きです。


「うーん、まずはどの時代に飛んだのか調べるところからよね。行くよ太郎」


「はーい」





 俺は、姉ちゃんをお姫様抱っこしてる。

 少し森の中を歩いただけで、「もう歩けない」と膝を折ったのだ。

 うん、姉ちゃんは相変わらず運動音痴のようだ。

 ちょいっと抱えて、トコトコ歩く。

 清流が流れていたので、水分補給する。


「ああ、生き返ったわ」


「姉ちゃん少しは運動しないと体に悪いぞ」


「今日は、頑張ったわ」


 そんなこと言う姉ちゃんだが、実際には森を数分歩いただけである。

 季節はまだまだ冷える初春である。

 水を飲んで体が冷えたであろう姉ちゃんに、タキシードの上着を掛ける。


「ふふ、大きい」


 俺の身長は185センチある。

 格闘家としては、決して大きくないが姉ちゃんからしたら大きいのだろう。

 ちなみに姉ちゃんの身長は、163.3センチだった。

 今はいくつかすぐにでも知りたい。

 お姫様抱っこの感じだと体重は、40キロ後半だろうか。小数点以下も把握したいので、はやく体重計のある場所に行きたい。

 でも、教えてくれない可能性もあるな。

 その時はどうしよう。こっそり覗く? それで嫌われたらどうするか……。


「何考えてんの。早く抱えて人のいるところまで運んで」


 喜んで!!

 俺は、姉ちゃんをちょいっと持ち上げ、道無き道を進む。


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