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「そんなに怯えなくていいですよ、リエラさん。グローゼッドさんはこう見えても優しい人ですから」
ジェイクは苦笑しながら、言った。
「どうせ俺の顔は怖いさ。いいさ、慣れてるさ。さて、いらっしゃいませ。何日泊まるんだ?ここは食事なしの1泊1000バルだ」
安い!
私が目を丸くすると、グローゼッドがまたニターッと笑った。
「ヒッ」
私は不覚にもまた短い悲鳴をもらしてしまった。
「グローゼッドさん、笑うのやめて下さい。怖いですよ」
ジェイクが私の心の声を代弁してくれた。
「なんだよ、笑顔は接客の基本なのに、なんてことを言うんだよ。どうせ俺の顔は怖いさ。だけどな、無愛想はもっと良くないんだよ。客が逃げてくんだ」
「この宿は安いですから、グローゼッドさんが無愛想でも逃げませんよ。その証拠に夕方には全室埋まってしまうじゃないですか」
「泊まりに来るのは野郎ばかりだけどな。こっちは女性客も獲得したいんだよ。だから笑顔を」
「「やめて下さい」」
「お、おう。わかったよ。そんなにダメか。俺の笑顔は・・・」
「「ダメです」」
「酷いな!」