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エルフの兄さん、頬が赤く腫れて痛々しかったな。しかし、人間の男性冒険者もズタボロで酷かった。
回復魔法をかけてあげれば良かったかな。でもまたケンカされたら、嫌だし。今回は余計な真似しない方がいいよね。
私が小さく頷くと、それを見ていたジェイクが不思議そうな顔をした。
「リエラさん、何で今頷いたんですか?」
「え!?えーと、なんでもないよ。気にしないで」
「そうですか?ところでリエラさんはどこの宿屋に泊まってるんですか?」
「まだ決めてないよ。これから探すつもりだけど」
「あー、今から探すとなると、もう見つからないですよ。この街は冒険者だけではなく商人や旅人、観光客まで多くの人が泊まるんです。この街は他の国々に通じる分岐点ですから」
「そうだったわ。どうしよう」
「・・・リエラさんさえ良かったら、僕達の家に泊まりますか?」
「お兄ちゃん!?」
シェイラがジェイクの服を大きく引っ張る。それを見ながら、私は小さく問い返す。
「・・・いいの?」
「いいですよ。それでは行きましょう」
私達は揃って冒険者ギルドを出た。