吸血鬼の憂鬱〜黄昏の吸血鬼は暁の夢を見る〜
なかなか暗めになりそうな予感
あれから幾世幾年が過ぎただろうか?
輝かしくも愛おしいあの日々は今でも鮮明に思い出す事が出来る。
世界の始まりの時、今では創世の神話として語られるあの日々が、ただただ懐かしく憧憬に身を焦がしてしまいそうになる。
この世界は7柱の神によって作られた世界だ。
1柱を除きそれぞれの神が、それぞれが守護する知性ある者を作った。
太陽と光を司る神が普人族を
海と水を司る神が水人族を
森と風を司る神が森人族を
大地と土を司る神が獣人族を
山と火を司る神が山人族を
月と闇を司る神が魔人族を
最後の1柱は世界の調和を司り、数多くの動物や魔物を作り世界に調和を齎した。
あの頃は本当に良かった。
神々に見守られながら全ての種族が平和に暮らしている、まさに理想卿の様な時代だった。
当時の街並みは目を見張る程美しく、それぞれが種族の力を活かし、それぞれが全ての為に生きていた。
各種族が1人の代表を立て、その代表が神との対話をしていた。
天上人の筈なのに気さくで、それでいて平伏してしまうその存在はまさに神としか形容出来ないだろう。
私は魔族の代表だった、代表と言っても神との語らいや、種族の話しをする以外殆ど仕事が無く、それぞれの代表達との話し合いとは名ばかりの世間話で盛り上がるだけの日常だった。
私はある時1人の女性に惹かれた。
いや、多分ずっと惹かれていたのだろう…その人は普人族の代表の女性だった。
快活で明るく、正に太陽の様な人だった。
私と彼女は次第に惹かれて行き、恋に落ち、愛を育んだ。
それが崩れたのは一体何時からなのだろう、今でもその答えを探し、その不毛さに気付いて自嘲してしまう。
もう失った時間なのだから…
もうあの頃を知る者達も居なくなって久しい、一体何時までこの様な想いを抱え生きて行かねばならないのだろうか?
私の寿命の無い体も、種族故に頑強なこの体も全てがその原因なのだろう…
今では私を作った神が恨めしい。
あぁ、誰でも良い、どうか私を殺してくれ。
それが無理なら、せめて、せめてあの頃に戻してくれ…
ハッピーエンドにならなそうな感じですね〜
まぁいつか書きたいなぁ…