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アベルの青い涙  作者: 天野 七海
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四話 神との戦い

  エンドリューの処刑当日。


  エンドリューが捉えられてから、既に幾日かが過ぎた。


  処刑の噂は既にスラムの町中に知れ渡っており、住人達は居ても立っても居られなかった。何故ならば、エンドリューの存在は彼らにとって’希望’だったからである。

  助けられた者やその家族は勿論だが、一度も関わった事が無い者さえも、突如現れた救いの主を ’現世に現れたキリスト様’ と呼び、いつかこの世を変えてくれるであろう。唯一、たった一人の存在。と、位置付けしていたからだ。


  その淡い期待と’希望’ という炎が今、消えようとしているのだ…。


  刻々と時計の針が縮まって行くのを、人々は、ただじっと見守る事しかしかなかった。 だが、誰もの心に宿る想いは野次馬心などでは無く《何とかして救いたい》そんな純粋な心だけだった。


 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


  「おぉ、こんなに人が集まるとは…!」


  モンデモンロの声が響いた。


 処刑の時刻にはまだ早いと言うのに、既に見物客は押し寄せる様に集まり、舞台の下はスラムの住人で埋め尽くされているではないか。


  モンデモンロとその一味は、この日のために用意した舞台の上で、処刑の準備に取り掛かっていた。

 派手好きなモンデモンロの趣味だろう。 処刑台はまるでショーでも始まる様に煌びやかな装飾がなされ、 地上から舞台まで数十メーター有るであろうか?もしも誰かがよじ登ろうとしても、並の人間なら上がる事は不可能のようだ。

 

  ここで誰に邪魔されること無く、エンドリューをいたぶり殺すつもだ。



 。。。。。。。。。。。。。。。。


  《ファーン、ファーン…》


  処刑の時刻を告げる音がした。


  周囲はざわつき始め、人々の視線は処刑台に注がれた。

 

  舞台の裾から十字架が運ばれてきた。

  そこに貼り付けるつもりなのか?

 その後を這いずるように現れたのは、両手足を鎖で繋がれたエンドリューだった。 その姿は痩せ細り、かつての面影が無い程に変わり果ててしまっていたのだ。

 人々はエンドリューの姿を哀れに思い、心を痛めながらも、この、息の詰まりそうな緊迫した空気の中で見守る事しか出来なかった。


  エンドリューの鎖は外された。


 その後、大男達の手によって十字架に括り付けられた。

  忘却と失意の中、エンドリューは抵抗する事も無く、まるで死んでいる様に静かだ。


 その時、誰もが思った。


 (エンドリューは、十字架に貼り付けられたイエスキリストそのものだ。と…。)


  『あぁ神様、どうか罪深き我々の罪をお許し下さい…』


  『神様お願いです。私達の救いの主であられるキリスト様をお助けください』


  『私はエンドリュー様に助けられました。もしもあのお方がいらっしゃらなければ、私はここに居ません。どうかお願いです。神様、エンドリュー様をお助けください…』


  魂の叫びにも似た祈り。


  それぞれに発する言霊が、やがて大きな波動を生み出し、一帯の空気を包み込んだ。



  その時、 突風が吹き荒れた。


 風と共に姿を現したのはモロゾフだった。

  モロゾフは、人混みの先にある処刑台に目を向けると、人混みを分ける様に進んで行った。

  殺気が人を寄せ付けない。とでも言うのだろうか? 人々はモロゾフが近づくと即座に道を開け、やがて一本の通り道が出来た。 それだけでは無い。同時に、先ほどまで祈りに溢れていた空気さえもかき消されていたのだ。

 

 モロゾフは舞台に飛び乗ると、エンドリューの傍らへ近寄った。


  「兄上、私です。モロゾフです」


  その声に反応したエンドリューは、正気を取り戻したように瞳を開き見た。


  「なぜ、お前がここに…! 私を助けに来てくれたのか?」


  「まだわかりませんか?? いい加減気が付いたらどうです? 兄上を捉える様にこの者達に命令したのは私。誰でも無くここに居る私なのですよ。ハッハッハッ…」


  「なっ…!」


「 兄上、貴方は負けたのです。命が惜しいのであれば、私の情けでその縄を解いて差し上げましょう」


  「…!!」


  まさかの弟の裏切りに、エンドリューは怒りの表情。と言うよりも、むしろ悲しい眼差しを浮かべていた。


  「私が憎いですか? ですが、私はその何倍も苦しんできたのです。今更、知らない。などとは言わせません! 兄上は何もかも手に入れたではありませんか…。それなのに…私のたった一つの拠り所まで奪うなど!!」


  怒鳴り狂ったモロゾフは、憎しみの表情でエンドリューを睨みつけた。


  「待て! それは誤解だ!」


「そんな言葉で騙されるとでも?! 不公平ではありませんか? 同じ使命を受けた天使であるにも関わらず、一人は人間に崇められ、もう一人は悪魔扱いされるなんて…。ですから私は決めたのです。自ら悪魔になる事を!!」


  モロゾフはそこまで言い切ると、腰元に備えた杭を取った。そして手を大きく掲げ、エンドリューの左手首に振り下ろした。


  《ぐちゃっ》

  「ぐはっっ!うっっっ……!!」


 肉の潰れた鈍い音…。

 エンドリューの手首から鮮血が流れ出した。


  「痛むでしょう? どうです、命乞いする気になりましたか?」


  「ぐっっ…!」


  エンドリューは、必死に痛みをこらえているようだ。


  「ハハハッ…!! 一体いつまで耐えるおつもりですか?? 早く命乞いすれば良いものを…。私は、そんな兄上だからこそ見ていて虫酸が走るのです。はっきりと言ったらどうですか、私の事が憎いと!!」


  「うっ…!」


  モロゾフが、エンドリューのもう片方の腕に杭を打ち付けた。


  《ぐちゃっっ》

  「ぐわっっ……!!」


  再び鮮血が飛び散り、モロゾフの顔に降り掛かった。エンドリューの両手首から溢れる血液はドクドクと脈を打つ様に体を伝い、床を紅く染めていった。

  エンドリューはそのまま意識を失って倒れてしまった。


  「ヒッ!ヒャハハハハハッ……… 」


  モロゾフの狂笑が不気味に響いた。

  人々は恐怖に怯え、じっと、その様子を見つめているだけだった。


 モロゾフが、人間達に険しい視線を向けた。


  「人間共よ、よく聞け! お前達は何の為に生まれたのだ?! ここでアリの様に働いて死ぬ為か?? 不公平とは思わないのか? 生まれながら何不自由無くのうのうと暮らしている者達が居る現実に! お前達は、神が与えた運命を呪わない。とでも言うのか?!」


 人々はざわつき始め、今まで必死に祈っていた者達の行動がピタリと止まった。


  「祈っても無駄だ! これまでに神が自ら救いに来たことがあったのか? 良く考えてみろ。…そうだ……。恨め、そして憎むのだ…。不公平を与えた神を、お前達を支配し続けた者共を!!」


  人々の表情が変わり始めた。

 その目は憎しみに燃え、それぞれに何やら口が動き始めた。


  『私の子供は疫病で死んだわ。必死に祈ったのに…。でも、助けてくれなかった』


  『そうだ、失った者達が生き返るわけも無い…』


  『確かにおかしいわ。どうして私達だけ虐げられなきゃいけないの?』


  『憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…。憎い…!!』


  小さかった声が、やがて大きな叫びに変わって行った。


  ……いいぞ、この調子だ。

 もっと叫べ、喚け。その醜い心こそが我が力となるのだ…。

  あぁ…力が漲って来る。

 こ、これが負の力か……!!


  モロゾフの身体は熱くなり、見えない力を全身で感じ取った。

 この抑えられない程の力を余すこと無く我が手中に納めようと、モロゾフは固く拳を握り締めた。


  モンデモンロは場の雰囲気に恐れを抱いたようだ。顔は青ざめ、オロオロと落ち着かない様子を見せていた。


  「モンデモンロ様、私との約束を果たす時です。最後のトドメを!!」


  「あぁ、そうだった、そうだった…」


  モロゾフの声に我に返ったモンデモンロは、ようやく落ち着きを取り戻した。


  その時、突然空に一筋の光が走り、雷鳴が響いた。

  信じられない急な天候に、人々は不安そうに空を見上げた。


  《ビリッビリ……ドン!!バキッ…!》


  次の瞬間、鼓膜を突き刺す様な爆音と共に稲光が落ちた。

 舞台からは煙が立ち込め、一部が崩れて焼け落ちた。

  人々は唖然として、ただその様子を見ているだけだった。


  『あっ…。あれを見て!』


  悲鳴の様な声で、少年が空を指差した。

  そこに映ったのは…。とても有り得ない光景だった。


  『なっ、何てことでしょう?』


  『こんな事が現実にあって良いのか…?』


  『とうとうおいでになられた。ありがたや…。ありがたや…』


  天から降り注ぐ光。 それらから成る道を舞い降りる白い人影の列。

 それは、白装束に身を包んだ天使団だった。


  「くっっ! 面白い。マトレイユ様のお出ましとは」


  魔人と化したモロゾフが、まるで愛しい恋人を待ちわびる様な眼差しで言った。


  負の力を手に入れた今、その威力を試す場所が無ければ魔人としての意味が無い。

  モロゾフには自信があった。天の国に存在する鏡の力にも負けないと…。

  天に生を置く者…。 決して天界の者を殺めるでならず…。

 その掟を破る時が来た。

 モロゾフは、決死の覚悟で賭けに出る事にした。


  舞台の上に、軽やかに赤と白の帯が渦巻いた。


 マトレイユは、長く艶めく赤い髪を手でたしなめると、モロゾフの前に立った。


  「久しぶりですねモロゾフ。まさか貴方が悪魔に寝返るとは…。どうやら私は、貴方を買い被り過ぎていたようです……。神の名においてモロゾフ、貴方を始末します!」


  マトレイユが腰元から剣を引き抜き、モロゾフに向けて突き刺した。


  「フン、そんな物に殺られるか!」


 マトレイユの華麗な剣さばきが宙を舞った。

 モロゾフはサラリと身を交わし、マトレイユの攻撃をいとも簡単に除けていった。


  「では、これならどうかな??」


  余裕綽々のモロゾフが、処刑台に火を放った。

  エンドリューを救出しようとしていた天使達は慌ててその場から離れた。

  火は一気に処刑台に燃え移り、煌々と揺らめいた。


  天使達や人々は、凍り着いたようにその様子を見ていた。


  《グサッ!》

  「…!!」


  その時、モロゾフの背後に人影が…。

 その人物はナイフを握り締め、刃先はモロゾフの脇腹を刺していた。


  「モンデモンロ…貴様!!何を血迷ったか!」


 モロゾフはモンデモンロの手を払い除け、脇腹からナイフを抜き出した。


  「悪いな。わしは心変わりしたのだ。悪魔の支配する世で永遠の命を得たとしても何の価値がある? それならいっそお前を殺して善い行ないをした方が得る物が多いからな」


 モンデモンロが苦笑いを浮かべた。しかし…。


  「なっっ、そんな馬鹿な!!」


  モンデモンロは唖然とした。

 何と、刺し傷はみるみる回復していき、傷口は元に戻ってしまったではないか


  「フッ、残念だったな。私は既に負の力を手に入れたのだ。傷を治すなど容易い事だわ」


  「なっっ!!」


  モンデモンロは胸ぐらを掴み上げられた。苦しそうに足を動かすモンデモンロ。その腹に、モロゾフが炎を放った。

 火だるま化したモンデモンロは、その威力と圧力で吹き飛ばされた。

 

  「…!!」


  マトレイユは一瞬の隙を見逃さなかった。モロゾフに向けて白い刃が牙を向いた。

  剣はモロゾフの頬をかすめ、赤い血が流れた。


  「おのれ…よくも…!」


 モロゾフは頬を押さえ、燃える様な目でマトレイユを睨み付けた。

 しかし、どうしたものなのか? この傷は回復することは無く、血液がモロゾフの首元を赤く染めていった。


  「何故だ、なぜ回復しない…!」


  怒り狂ったモロゾフを、あざ笑うかの様にマトレイユが言った。


  「不死身にでもなったおつもりですか?

 この剣は、唯一デルピュネを退治出来ると言う宝剣。アレグリアの剣なのです。貴方に住み着く魔物に聞いてごらんなさい。過去にこの剣に敗れた末、指輪に閉じ込められたのですから」


  「…なっ、何だと…?!

  ならば…… そんな物、天の国ごと吹き飛ばしてくれよう!!」


  モロゾフは大きく息を吸い込んだ。 そして全身から溢れ出す、燃えたぐる程の力を一箇所に集中させた。

 やがて大きな発光体が現れた。

 

  緑色に怪しく光る塊を、モロゾフは天に向かって放った。


  「……!!」


  空が一瞬にして緑に染まると、金色をした幕が空一面に広がった。

 その後、天から無数の火の塊が降ってきた。

  次々に墜落した火の玉は、爆発を起こして地上を火の海に変えて行った。


 人の群れに落ちた火の玉は、一瞬で周囲の人間を飲み込んだ。


  何とおぞましい光景......。


  悲鳴を上げながら逃げ出す人々。

  辺りは恐怖の叫び声と炎で赤く染まっていった。


  天使達は、慌てて人々の救済に走った。


  「こっ… これはまずい、道が塞がれてしまう…」


  マトレイユが天を見上げた。

 黄金色の階段が、徐々に薄くなって行くのが確認できた。


  「うわッハハハッ………ヒヤッハッハッハッハッ……」


  全ての魔力を使い切り、腰が抜け切りながらも狂った様に笑い転げるモロゾフ。



 マトレイユは慌ててエンドリューの元に駆けつけた。

 あれ程の仕打ちを受けたのだ。もしも生きていたとしても助からないだろう…。マトレイユはそう思った。


  「エンドリュー。大丈夫か??」


  無残に黒く焦げた十字架。


  …あぁ、エンドリューも十字架と共に焼け果ててしまったのか……。


  マトレイユが諦め掛けた時、少し離れた所にうずくまる人影が…。


  「エンドリュー?」


 マトレイユの声に、その人は振り向いた。それは間違いなくエンドリューだった。 顔中すすだらけで黒かったが、嘘の様に無傷ではないか。


  マトレイユが高揚しながらエンドリューの手を取った。


  「無事でよかった」


  「…...それは、この者のお陰なのです」


  エンドリューの脇にはもう一人の人影が…。それは…モンデモンロだった。


  「死んでいるのか?」


  「はい…そのようです」


  エンドリューが悲しい顔をした。


  実は、脇腹を刺した一瞬の隙にモンデモンロはテラスの霊泉を奪い取り、霊泉の力でエンドリューを救っていたのだ。


  自分が助かる事も出来ただろうに...。


  今までなら間違い無くそうしただろう.....。

 これまで私欲の為でしか動かぬモンデモンロだったが、天使団の放つ御光を全身に浴びて悟った。


  《わしは…何と愚かな事をしてきたのだ。何一つとして善い行ないをして来なかったではないか》と…。


 それどころか今、自らの手で世界を悪魔に売り渡そうとしている。自分はとんでもない罪を犯してしまった…。事実を目の当たりにして初めて後悔したのだ…。

 

 最後の最後に、モンデモンロの中に有る良心の欠片がエンドリューを救い、モンデモンロ自身の魂を救ったのだ。


  モンデモンロの死に顔は、まるで無垢な赤子の様に微笑んでいた。

  邪心から解放されて、心置き無くこの世を去っていったモンデモンロ。

  もしかしたら…。モンデモンロは手に入れたのかもしれない。本当に欲しいと思う物を…。



  マトレイユがエンドリューの腕を引っ張った。


  「アレセイアの鏡が割れたようです」


  「そっ…、そんな事が!」


  とても信じられない。エンドリューがそんな顔をした。


「ごらんなさい。もうすぐ天界の入り口が塞がれます。エンドリュー、貴方も天界へ帰るのです。さもないと、いつ戻れるか分かりません。ひょっとすると…このまま二度と戻れなくなるかもしれないのですよ」


  「……私はまだ戻れません。ここの人達を助けなくては…。それに、弟がこの世を支配してしまうのを防がないと!」


  モロゾフが襲って来る様子はなかった。

 本当ならば、モロゾフを始末するには絶好の機会なのだが......。

  しかし…。皮肉な事にアレセイアの鏡が割れた今、天使やマトレイユの力も封印されてしまい、モロゾフを始末する所か、天界へ帰る事すら危うくなってしまったのだ。これも、モロゾフの計算通りなのだろう…。


  マトレイユは焦った。

 …このままここに残る訳にはいかない。きっと、天界はかなりの惨事に見舞われている筈なのだから…。

 早くヤハウェ様の元に戻らなければ…。

 

  マトレイユが口走った。


  「モロゾフは力を使い切った様だ。しばらくは襲って来ないだろう」


  「では、私は今のうちに皆を避難させます。ですからマトレイユ様は早くお戻りください」


  焦り顔のエンドリューに、呟く様にマトレイユが言った。


  「…エンドリュー、そなたはヤハウェ様に似ている」


  「そ、そんな!滅相もございません」


  エンドリューが慌てふためいた。


  「いや、世辞などでは無い。自分の身を投げ打ってでも人間を守ろうとは…。今まで私は人間という下等な生き物の肩を持つヤハウェ様の気持ちが理解出来なかった。だが、あの者を見ていて少し分かった気がする。人。という生き物が…。私は、そなたと人間に賭けてみようと思う」


  マトレイユはそう話すと、朽ち果てたモンデモンロに優しい眼差しを向けた。


「そなたの気持ちは分かった。好きにすればいい。…だが、必ず何かの手だてを見つけ、そなたも人々も救いに来ると約束する」


  マトレイユは懐から何かを取り出し、エンドリューの前に差し出した。


  「これは光玉だ。護身用に持ち出してきたのだが私は天界に戻るのだ。もう必要ない。これを使って結界を張りなさい」


  「えっ、今は少しでも霊力が必要なのではありませんか?」


  「気にするな。所詮この程度の物、持ち帰ったとしてもさほど変わる事は無い」


  エンドリューの手の中に、七色に輝く玉が転がった。


  「ありがとうございます。それまで私は耐えてみせます」


  「うん…。頼んだぞ」


  マトレイユはエンドリューに背を向けると、天使達と共に消えてしまいそうな階段を登って行った。


  エンドリューは人々を急いでまとめると、災いの及ばない地に避難させた。


 モロゾフは相も変わらず狂った様に笑い続け、その声は恐ろしく、耳に焼き付くほど不気味に響き渡り、まるでこれから始まる闇夜の到来を歓迎している様だった。

 


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