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普通の高校生が普通の異世界転生  作者: 闇岡ヨシハル
10/12

10.真珠色の朝

結論から言おう。居眠りした。運良く魔物は現れなかった。みんなに起こされた。

呆れた様な、失望した様な、必死にフォローしてくれる様な感じになった。


誰も顔には出さない。母性すら感じさせる満面の笑顔がみんなの顔に張り付いている。もしや失望させたというのは俺の独りよがりの勘違いで、みんな俺の体調を本気で気遣ってくれているのか。だとしたら俺はその期待に精一杯答えさせてもらおう。俺たちは永久に仲間だ。全力のカンシャダ。


ところで、どうして迷宮内に太陽が、それも二つの乳白色の太陽はたくさんの赤や橙色の花々に囲まれて、紫煙の山の山頂に孔雀の羽模様の黄色馬と、七色の鮑の貝殻の地蔵は蜂蜜に波打ち、青い町の赤い住人らは手に手にチョコバーを持って拝んでみても風のない暑い日にはキンキンに冷えた二股大根を枕にして眠るのは賢明な選択だった。

俺は意識を手放せない、もっとゼリーを浴びていたい。



リリアナ・リベラ(14)は当時の様子をこう語る。

朝食の当番だったので早めに目が覚めました。それで、ご主人さまにご挨拶して、他の子を起こそうとしたんです。そしたら、ご主人さまがニコニコ笑いながら天井に手を振っていて、ダメだ、ご主人さまが引っ張られると思って、ご主人さまを引き倒して咄嗟のことでしたから、平手打ちをしてたんです。気付いたらみんなが起きて来て馬乗りになってご主人さまを叩いてた私を引き剥がして、大騒ぎになったんです。少し目の光が戻ったように見えましたが、結局30分くらい経っても、ご主人さまはへらへら笑ったままで、全会一致で撤収することに決まりました。幸い浅い階層だったので危険もなく地上に戻ったんですが、治癒士に見てもらっても治らなくって、そんな時ベテラン治癒士のパレマ婆さんが、昔迷宮内でラリって運び込まれた冒険者がいたことを思い出して、その時の薬のレシピが偶然残っていて九死に一生を得た、という訳なんです。だけど結局原因は最後まで分からず仕舞いでした。一番怖いのは人間なんですねぇ。



で、夕食のラプターの塩焼きを食べながら、にがい、報告を聞いていた。今回の二日の迷宮探索で、ま実質一日だが、儲けは銅貨58枚と鋼の靴。治癒士への支払いが銀貨4枚。

あんなに頑張ったのに銅貨58枚か。

二枚三食21人二日分で252枚が食費だけで掛かってるのに、儲けが58。

五人分くらいなら稼げてるんだが、21人は無理だ。

そうなると深く行くか。でも効率的選択でつまり俺の本気中の本気で戦って、ようやく21人食わせても、貯金が溜まらなかった訳で。


「あの、ご主人様、よろしいでしょうか」

「ん」

「明日は、いかがなさいますか?」

「ん」

「お体もまだ本調子でないようですので、お休み頂けませんか?」

「ん、ありがとう。みんなに心配掛けてごめんね」

「そんな、滅相も」

「ん、いやいいんだ。俺がみんなの足手まといになってるのは本当なんだから」

「そんな事ありません、ご主人様」

「ご主人・・・」

「だけど俺はみんなを守るって約束したんだ、その気持ちだけは嘘じゃない」

「主君さま・・・」

「しゅじん様・・・」

「あのぉ、浸ってる所すいません、御しゅじん様。この収入では暮らしが成り立たないんですけどぉ? 具体的な対策は? 言葉だけなら気持ち悪い口くさ野郎と同じですよ?」


俺は結構久々に喋ったシャルの言葉にショックを受けた。

確かにシャルの言い分にも一理存在する。だがここで俺は仲間を守る責任が存在し、その為には冷静になることも必要だ。

それが元居た「日本」と、この「世界」との違いだ。そうここは「日本」ではない。「日本」の憲法は存在する事が不可能だ。

おどおどするヒスイに命じてシャルの意見を処理させた。

それはみんなを守る為に仕方が無い。シャル自身それは分かった上で言ったことだ。

俺は約束する決意を固めた。シャルの言葉を、笑顔も泣き顔も、一緒に過ごしたいくつもの時空間を、絶対に忘れずに覚えてい続けることを。

冷たくなったシャルに最後の口付けをして、それは永遠の口付けとなった。


「みんなつらいだろうけど俺たちはシャルの分も前に進もう、シャルもきっと後ろ向きは望んでいないはずだ」

「そう・・・ですね。ご主人様」

「御主人様!」

「ごしゅじん」

「ご主人さま」

「ご主君」

「主様」

「おにい様・・・」

「マイロード・・・」

「御主・・・人様」

「ご主人よ」

「あるじさまぁ」

「御主人!!」

「旦那様」

「パパー・・・」

「御主」

「主君さま」

「御主人様なのよ」

「・・・・・・主・・・」

「しゅじん様」


上から順に、ヒスイ、エルザ、エリー、リリアナ、ルルザ、エルザルザ、ミリア、リリーザ、エリゼ、メリーゼ、ルイズ、イリーゼ、マリア、エリーズ、ルイザ、イルーザ、リゼカ、ルイーゼ、シェルザベル、がつぶやいた。


ま、リソースの奪い合いに忠誠心や愛情なんて無い訳で。それでも従属するなら旨味への執念・行き過ぎた勘違いがゆえだろう。

しかし、銅貨58枚では離反が相次ぐだろうという予測が当たらずとも遠からずな現実に気が動転するくらいショックを覚えたのもまた真実。


明日一日休みにして考えよう。ダメなら人員整理って手もあるし。だってペレストロイカのせいだもんね、俺は最後まで反対したんだよ?




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