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危険な太陽  作者: 裟久
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10章

第十章【鷹邸派】



グラウンドに大を囲んで翔達のクラスの不良達が集まった。




翔『今全員で20人いる。一辺にかかって行っていいのか?』




翔が吸ってるタバコを地面に捨て足で火を消しながら問いかけた。




大『ああ…一辺に来い。』




翔『フン…みんなそういうことだから生半可な気持ちで行くなよ?知ってるだろうけど..鷹邸大は……強いぞ?』




学校はちょうど放課後を迎え、校舎の窓から生徒達がグラウンドを見学している。




町田組の頭の町野国弘と田原正志も女子生徒を強引に従えながらその様子を屋上から見ていた。




町野『鷹邸大が動き出してるぜ?』




田原『クソ…あいつ統一に興味ねぇんじゃねぇのかよ!!』




町野『いくら鷹邸でも相手は20人…勝てないだろうな...一匹狼もキツイなぁ…』




田原『バカ…もう勝負は見えてんだよ...』




町野『だから棗翔達が勝つってことだろ?』




田原『……反対だ…』




町野『…!!!?』




田原のまさかの発言に町野は驚きを隠しきれず再びグラウンドを見た。




翔『いくぜ?大…』




翔のこの一言で20人の不良達は一気に大に襲いかかった。

見ている生徒全員が大の敗けを確信していた。




大は次々に襲ってくる拳を手で神業のごとくはらいよけ、一人一人確実に溝や肝臓などの急所を的確に殴り倒していった。




翔以外の全ての生徒が倒れるのに10分はかからなかった。




翔『俺は一対多はやっぱりどうも気分が乗らねぇ…タイマンはれ。』




大『…そう言うと思ってたぜ…』




翔はニヤリと笑うと真顔になり大めがけて走り出した。翔が大の懐に入り右の拳をつきだすと、なんと大の顔にクリーンヒットした。




当たるはずがないと思っていた翔はあっけにとられた。




翔『!!!!?』




翔には大がわざとよけないのが分かった。




翔『なんで避けねえ?』




大『おまえには全て受けてから勝ちたい...』




翔『大…』




大『だから気がすむまで殴れ。俺は殴り返すが、絶対避けはしねぇ。』




翔『ハハハ…だからおまえはやめらんねぇんだよ...』




翔は笑った後再び真顔になり大を殴り始めた。




翔…わりい…

俺は本当はおまえが俺を道具に見てねえことも分かってんだ…

本当はな…




大は殴られながら優しく微笑んだ。翔のパンチが10発程入った後、大は翔の顔を一発殴った。



その一発で翔は気を失いその場に倒れた。






大は回復してきた他の不良を見回した。




大『俺についてきてくれるか?』




まだきつそうな不良達はなぜか清々しい顔をした。大の圧倒的な強さに、悔しさよりも快感を覚えたのだ。




『大将、頭とってくださいよ〜』


『頼みますよ…』


『なんなら一生ついていきますよ…』




みんなの言葉に大はホッとした表情になりありがとうと小さく礼を言うと去っていった。




この時、大率いる鷹邸派が正式に結成された。






大が早苗と里香と太一がいる女子寮に戻った。

三人とも無事のようだ。




太一『大サン!!!』



里香『どうしたん?その痣…』



大『翔にやられたんだよ..』




大はタバコに火をつけて笑いながら言った。




翔という名前を聞き早苗は少し顔を赤くした。




里香『はぁ?まさか..翔君、町田派に..!?』



大『バカ…ついてきてくれるってよ俺に...』



太一『大サン…じゃあ?』



里香『統一してくれるんやね?』




大は何も言わずにふっと微笑みタバコの煙を吐きながら小さく頷いた。

その様子に太一は目を輝かせた。



太一『俺も…俺も弱いけど..鷹邸派に入れて下さい!!!』



太一は自信なさげに大を見ながら言った。




大『統一しようとする以上、喧嘩はつきもんだし、2、3年とも張り合わなきゃなんねぇ…大丈夫なのか?』




太一『…やります!!俺、大サンについていけるだけで嬉しいんですよ..』

大『分かった..ありがとな。』






煙草を吸い終えた大はムクッと立ち上がった。




大『太一、行くぞ?』



太一『何処に…ですか?』




大『これ以上被害者増やすわけにはいかない..見回りだ..』




太一『はい!!お供します!!』




里香が慌てて大の前に立ちはだかった。




里香『うちらおいてけぼりなん??』




大『…そっか..ι寮も危険だったんだな...』




大は頬をかきながら言った。




太一『やっぱり俺残りましょうか?』




『その必要はないぜ?』




里香『翔君!!?』



大『おまえ...』




翔はまだフラフラする足取りで部屋の中に入ってきた。




翔『俺がいるから行ってこい..』




早苗は初めて間近で見る翔に顔を真っ赤にして俯いた。




翔『大、もう被害者出すんじゃねえぞ?』




大『ああ…』




翔の頭は三凶に襲われた遥の姿が蘇った。




大と太一は女子寮から出ると早速見回りに行った。




翔は大に殴られた所を擦りながら里香を見た。




翔『…一発だった..』



里香『?』



翔『あいつが俺に繰り出したパンチ…一発で気失ったんだ...』



里香『あ、あの…なんか…ごめんね..?』



翔『あいつは、大は、本当大きい人間だな…』




そう言った翔の顔は清々しい表情で里香は何も言えなかった。さっきまで殴り合ってたはずなのに翔の顔は大に対する友情で溢れている。



男の友情の不思議さを感じた。



翔は早苗の顔を見た。



翔『里香チャンの友達?』



早苗『は、はい//』




翔は早苗の雰囲気で早苗が襲われたのを察知したのだろう…



すっと立ち上がり早苗の手をとると自分の胸に手を押し当てた。




早苗『!!///』



翔『怖かったな…?もう安心しなよ...?』




翔は優しく優しく笑った。



里香は普段の翔からは想像できない表情に驚き無言で翔を見た。



早苗は呆気にとられた表情になったが翔の何とも言えぬ温かな表情と、しっかりと握りしめられた手に感動してしまい、涙を一筋流した。




翔『おいおい、泣くなよ?』




早苗『すいません..///』




翔の小さな体と小さな手は早苗の心に付いた大きな傷をゆっくりと治していくようだった。






大と太一が体育館周辺を見回っていると、十数人の男子生徒が前に立ちはだかった。




大『なんか用か?』



『鷹邸大だな?俺達は町田組幹部だ。派閥を作ったそうじゃないか?』



大『そうだ。今鬼多は腐ってる。真から統一するんだ..てめぇらをまずはぶっ潰すぜ?』




大は傷ついた早苗の顔を思い出したせいかすでにキレる一歩手前だった。




太一『なんで女の子達を襲うんですか!!?』




『つうかおまえ誰だ?なんでって、、そりゃあ快感だからだ..嫌がる女を犯す..これ以上の事があるか?』




幹部達は笑いながら言った。




この態度に大の堪忍袋の緒がキレた。




大『腐れカスが…』




普段クールな大があまりにも怒りを露にしたので太一は少し驚いたが、いじめられっこだった自分がこんなに怖そうな不良に囲まれて全く怖がってないことに一番驚いた。




…怖くない..

この人の横にいるからだ..




大『太一、いくぞ。』




太一『はいッ!!』




町田組の幹部達は大の強さを想定してかバットを一斉に持ち大達に襲いかかった。




大は太一の前に立ち太一を守りながら闘った。




クソ…

武器を持ってたとはな..




太一『大サン、退いてください!!俺、大丈夫ですよ…』




大『おまえ…』




大は戦いながら太一の顔を見て驚いた。そこにはいじめられっこの面影はなかった。




大は太一を庇うのを辞めて思いっきり幹部達に攻撃を始めた。



太一は弱いながら逃げずに闘った。と言ってもほぼ一方的にやられた。




しかし、大の圧倒的強さ二より間もなく喧嘩は終わった。




太一は地面に手をついた。




大『大丈夫だったか?』




太一『…初めて……喧嘩しました..』




太一は頭をバットから守るときに出来た腕の傷を撫でながら言った。




大『おまえ、強かったぜ。』




太一『大サン..!!』




大は太一にニッコリ笑いかけるとまた何もなかったかのように歩き出した。




太一も大の後を再び歩き始めた。




大サン…

俺が強かったんじゃない..

大サンがいたから俺はこんなに殴られたけど怖くなかったんだ。

俺はこのでっかい背中に一生ついていきます…。




太一から見た大の背中はいつにもまして大きかった。








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