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危険な太陽  作者: 裟久
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9章

第九章【統一へ】



里香は翔を追って外に出た。太一も一緒に翔を追う。




里香『翔君…大も本気で怒ってる訳じゃないんやと思う!!なんか…ごめんね?』




里香はやっと翔に追い付くと必死に翔に言った。




翔『大丈夫…怒ってねぇから。ただ大はなんか気にくわなかったんだろうな…』




翔は意外に冷静に笑って見せた。




翔『多分あいつは派閥とかが嫌いなんだろ…それで機嫌悪くなったんだよな...』



里香『そうかも…』




二人のやり取りを聞いて太一がおずおずと口を開いた。




太一『違うと思います..大サン…悲しそうな顔してました。』




翔『悲しそうな?』




里香『なんで悲しいん?』






里香は翔と太一とそのまま別れると大の部屋に戻ってきた。




里香『ただいま。』




大『…』




大は相変わらずムスッとしている。里香が帰ってきても顔さえ見ない。




里香『大…なんでいきなり翔君にあんなこと言ったん?』




大『…俺も分かんね…ただ俺は翔にとって統一の為の道具に過ぎないのかとか考えたら…胸くそ悪くなってよ…』




大は気持ちを落ち着かせようとタバコを思いっきり吸い込んだ。



里香『…大...』




大『独りよがりだったみたいだ…友達と思ってたのは俺の方だけか…』




里香は大の気持ちが分かるような気がした。中学校の時も大の側には何人もの生徒がいた。しかしそのつるんでた生徒は大の強さが目当てでつるんでいるようだった。




無敵の大についていれば不良の間で自然に名が知れ渡る。




大も薄々それが目的で自分とつるんでいることを分かっていたのだ。




里香『…でも翔君だって大を道具だとは思ってへんと思うけどなぁ?』



大『…わりい…その名前は一時俺の前で言わないでくれ。』




里香『…』




里香は寮の門限がある為荷物をまとめて帰る事にした。




大『送ってくぜ?』




里香『いい…不機嫌な大はみとぉないし。』




大『…』




里香『じゃあ、またなぁ…』




大は里香の後ろ姿を見送りながら不機嫌で悪かったと謝った。里香にまであたることはなかったのだ。











事件が起きたのは大と翔が言い合いになってから一週間後だった。




鬼多高校内で大量に女子生徒が襲われた。犯人は目星がついていた。大以外の鬼多高校を3日前に統一した新しい勢力町田組だ。




大がそれを知ったのは太一からの情報だった。




太一『町田組は中級軍団が提携して出来たグループです。本来なら鬼多高校の頭は大サンです!だけど…大サンは統一とか興味ないから町田組が調子に乗ってるんですよ!!』




大『なるほどなぁ…女襲って何になんだ...』




太一『大サン..あれ里香サンじゃないですか!!?』




里香は息をきらせながら走ってきた。




里香『大...早苗も…襲われたの..もうこの学校に女子の居場所はないわ…寮内でも襲われた子がいっぱいいるの..』




大『何!!?』




太一『このままじゃ里香サンも危ないですね!!大サン固まって一緒にいた方が…』




大『早苗サン何処いるんだ?』




里香『寮!!案内するわ!!この状況だから寮母も入寮許可するはずよ!!』






大と太一が部屋に着くとそこには変わり果てた早苗の姿があった。

下を向いてブルブル震えているのが分かる。




里香『大と太一クン連れてきたわよ?安心して?』



里香の声を聞いて早苗は少し微笑むと再び瞳から涙を流した。力なく早苗は大を見た。




『鷹屋敷君…初めまして…早苗です..前から知ってたんだけど話すの初めてですよね?』




大『あ、ああ...初めまして…』




大の中は怒り狂っていた。大の一番嫌いなことだ…

男が女を襲う…



早苗の傷ついた顔を見た大は女の子の弱さを実感したと共にこのままではいけないという思いを強く持った。




大は何も言わずに早苗の前に座った。




大『必ず町田組は潰す。それまで俺が必ず守る。』




早苗『…鷹屋敷君...//』





大は自分がすべきことを頭の中でまとめた。




大『太一、ちょっと二人と一緒にいてくれ。ちょっと出てくる。』




太一『はい!!命にかけてもここで二人を守ります…!!』




大は何も言わず寮を出ると真っ直ぐに翔のいる教室に行った。一応授業中ではあったが誰も話しを聞いてない教室に大は入っていった。




大が入った瞬間にクラス全体が静まり返る。翔と翔の周りにいる仲間達も大を見た。




大『翔…俺と勝負しろ。俺が勝ったら、俺と組んでこの鬼多高を改めて統一して欲しい。』




翔『バカ…俺はおまえには勝てねえよ。分かりきった喧嘩はしねえ。そんなことしなくても俺はいつでもおまえについていくつもりだ。』




大『それじゃダメだ。ただ統一したんじゃ意味ねぇ。俺が本当に芯から鬼多高を統一する。』




大は気付いた。自分が今形的には鬼多高の頭だ。しかし今の町田組が仕切る状況は見逃せない。




翔『じゃあどうすんだ?』




大『このクラスの不良全員でかかってきてくれねえか?俺に膝をつかせた奴に頭を譲る。だが俺が全員倒せたら俺についてきてくれねえか?』






大の発言にクラスはざわめいた。倒すのではなく膝をつかせただけで頭を取れるのはかなり魅力的な話しだ。




翔『…何言っても無駄だな。よし、みんなでグランド出るぞ?』




大と翔のクラスメイトはぞろぞろとグランドに向かった。






襲われた女子達は警察に言えば世間体が気になる。学校側も見てみぬふり。鬼多高は今荒れ放題だ。




こんな腐りきった学校..

俺が変えてやるよ...




グランドに向かう大の表情はまさに鬼人だった。





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