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危険な太陽  作者: 裟久
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7章

第七章【千秋】



『安西さん…可愛いよな…』




『あの細い手足…綺麗な髪…//天使だな…』






バスケット部に入った里香は早速男子バスケ部にモテていた。同級生はもちろん先輩からも大人気だった。それに加え里香は意外に運動も出来た。幼い頃から大を追いかけ回していた成果か。




『もうダメ…足クタクタ…。』




部活が終わった里香は大の部屋の玄関の前に来ていた。夜遅くまで働いてきた大は玄関で里香が待ち伏せしているとは知らず帰ってきた。




『おかえり♪大♪』




『おまえ何してんの?』




『明日から三連休だし…来ちゃった//邪魔かな?』




『邪魔じゃねぇけど,もう11時だぞ?寮母カンカンだろ?』




大は里香が久しぶりに会いに来てくれて嬉しい気持ちを強引に抑えながら言った。




『寮には外泊届け出してあるから大丈夫…//』




『…そうかよ//』




大は部屋の鍵を開けると里香を部屋に入れた。外泊という言葉に大の心臓は少しドキドキしていた。




大の部屋は相変わらず何もなく里香は畳の上に置いてあった座布団に座った。短いスカートに照れてしまい大は目線を背けて少し赤くなった。




『なんか食うか?』




『大のことやから何もないんやろ?』




里香が言いながら冷蔵庫を開けるとミネラルウォーター以外,本当に何もなかった。





『本当に何もないんやι』




あきれる里香に大は当たり前だと言いながらポストに入っていたチラシを出した。




『なんか食いにいこうぜ?おまえ何がいい?』




大の質問に里香は慌てて首を横に振りながら言った。




『そんな贅沢せんでええ…大毎日バイトで頑張ってるんやから…!!!』




里香は心配そうに言ったが大は笑いながら24時間開いてる飲食店のチラシをテーブルの上に広げた。




『いいんだよ。おまえは人の心配しなくて。』




『でもさ…』




『よし!ここの鰻重食いに行くか?24時間空いてるしな♪』




『分かった♪大と外食なんて初めてやな♪//』




里香は開き直るかのようにぱぁっと明るくなり嬉しそうに言った。大は里香が久しぶりに会いに来てくれた嬉しさから何か里香に食べさせてやりたくて仕方なかった。






店に着くと大と里香は向かい合わせに座った。小さい店だったが落ち着く雰囲気の店だった。



注文をとりにきた店員に大は鰻重二人前と頼んだ。




里香は持ってこられたお茶を飲みながら大を眺めた。




『大は最近アルバイト上手くいってるん?』




『まあな…おまえは部活楽しいか?』




『うん//バスケって本当に面白いんよ♪はまってしまうわ♪』



『そうか…良かったな…』




大は少し微笑みながら楽しそうに話す里香を見た。




少し痩せたか?

本当は心配で心配で仕方ないんだぜ?おまえのこと…

怪我だけはするなよ?

無理するなよ?

言いたいことはたくさんあるのに言葉に出来ない…




鰻重が二つ来て里香はいただきますと手を合わせて食べ始めた。




『ん♪めっちゃ旨いやん♪』




大も何も言わずに食べ始めた。鰻重の味より里香が喜んでる顔の方が大の中では大きかった。



『なあ?大?』




『ん?』




いきなり里香は少し不安そうな顔になったので大は不思議そうな顔をした。




『京子が大のストーカーしてるって噂本当なん?』




『京子って誰だよ?』




『熊に襲われかけた子や!!』




『ぁあ〜あの静かな子か?』




大はやっとのことで京子の顔を思い出した。




『女がストーカーとかするわけねぇだろ?』




『何もされてないんやな?』




『当たり前だ。』




『ならええんや♪』




里香は安心したように笑った。



店を出て再び二人は大の部屋へと戻ってきた。既に深夜1時になろうとしていた。




『大?シャワー借りていい?』



『ああ…』




『大もまだシャワー浴びてないんやろ?一緒にあびよっか?』



『ばっ//ばかか…早く先に浴びてこい…!!』




大は赤くなりながら言った。そんな大の表情を見て里香はおかしそうに笑いながらシャワーを浴びに行った。





大はシャワーを浴びようと下着を取ろうとタンスを開けた。しかし今日着るはずだったボクサーパンツがどうしてもない。




あれ?

前も黒いパンツなくなったんだよな…




その時大の頭に京子の顔が浮かんだ。




…まさかな。

そんな下着なんか盗むわけねぇよな…




大はテレビをつけてニュースを見始めた。




“世界的に有名なホテルグループ,ホテルCHIAKIの会長,神谷正憲(カミヤマサノリ)氏の長男千秋さんが公立高校に入学していることが分かりました。”




!!!?

神谷…千秋…?

あいつか...!!!?




大が驚いてテレビの画面を見ていると報道陣に囲まれている神谷千秋が写し出された。




“千秋さん!あの弐死高校に通っているのは本当ですか?”



“お父様はなんと行っているんですか?”



“弐死高は柄が悪いことで有名ですが…”




千秋はうざったそうに報道陣をふりきりながら歩いている。




大が映像に食いついて見ていると里香がシャワーから上がってきた。




『大何見とるん?あっ!!神谷千秋やん。』




『なに?おまえ知ってんの?』



『はぁ?日本全国で今めっちゃ有名やで。ホテルCHIAKIの息子であの美形。マスコミがほおってないわ。』




『へぇ〜』




『日本中のセレブが婚約を申し込んでるわ。もちろん一般人にも人気や。』










『へぇ〜あいつそんなにすげぇ奴だったんだ。』




『なんや…?あいつって?』




『俺この前こいつに会ったんだ。神谷千秋に。』




『え〜!!!?』




里香は大の発言が信じられないと言った感じに驚き大の隣に座りながら髪を拭いた。




『なんで大が神谷千秋に会えるん!?』




『いや…この前翔を助けに行ったらたまたま神谷が来たんだよ。弐死高の頭が来てたんだが…あいつがそいつをボコボコにしてさ…まあ助かった。』




『…じゃあ神谷千秋は今弐死高の頭なん?』




『ああ。そうなるな…』




『ちゅうか…大!!また喧嘩したん?大丈夫やった?』




里香はいきなり心配そうに大の顔を眺めた。まだ少し傷が残っていた。




『怪我しとるやん!!でも大が怪我するなんて相手そんなに強かったん?』




『雑魚ばっかだった。人質とられてんだ。仕方ねぇだろ。』




『そうか。本当卑怯やな。弐死高…』




『でも…その神谷って奴は強いぜ!!』




大はワクワクしたような顔をして里香に言った。大が誰かを強いというのはなかなか無いことだった。





里香は大のワクワクする顔を見てにっこり笑った。やっぱり大の少年のような顔が一番素敵だった。




『じゃあ俺シャワー行ってくるわ。』




『分かった♪』




大は浴室に行った。里香は携帯で寮で同じ部屋の早苗にメールを送ることにした。




[大の部屋でお泊まりしてる♪まぢ嬉しい(●*'V`)]




メールを打つ里香の顔はほころんでいた。メールを送信するとすぐに早苗から返信が来た。




[よかったね♪おめでとう(*V∀V+)鷹邸君を今日こそものにしなきゃ!!笑]




…早苗のバカ…//

ものにできるもんならもうしてるっちゅうに…。





里香が早苗からのメールではにかんでいると大がシャワーを済ませ部屋に戻ってきた。




大は髪をタオルでゴシゴシと拭きながら里香の横に座った。

大の髪からはシャンプーの良い香りがした。




『大?もう遅いし寝よか?』




『そうだな…』




大の心は少し焦っていた。

里香を自分の部屋に寝かすだけでも硬派な大は戸惑っていた。自分に里香に手を出さない理性があるのは分かる。




だがいくら幼馴染みとはいえ高校生の異性二人が同じ部屋で寝るのはお互いやはり緊張するものだ。




シャワーを浴びた為スッピンになった里香の顔を改めて大は見た。いつもの厚化粧より断然に可愛く見えた。




『大…』




大が里香のスッピンをまぢまぢ見ているといきなり里香が抱きついてきた。




『…!!!?//おいおい..里…香…?』




大が里香の肩を押して離そうとすると里香はますます強く大を抱き締めた。




『離さんで…//』




『…//』




大は自分の中での理性がなくなりそうなのを感じた。

次章も是非ご購読よろしくお願いします!!

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