6章
第六章【新しい頭】
白岩橋に大が着くと見知らぬ制服を着た明らかに不良ですといった男子高校生が待ち構えていた。
『翔を迎えに来た。返せ。』
『まあまあ…おまえが鷹邸君か?なんだ随分色男じゃないか…』
不良高校生の一人が言いながら大に近づいてきた。
『うっせーよ。早く翔返せ。』
不良高校生の中の一人が大に近付いていく男を止めて言った。
『おい…あんまり失礼な事を言うなよ。1年坊だが一応鬼多高の頭なんだからよ。』
『つか,てめぇら誰だ?勝手に翔を連れ出して…何が目的だ?』
大の問いかけに中心格らしき男が立ち上がった。
『俺は高橋 幸太。弐死高の頭だ。こいつらはうちの学校の俺の派閥のトップ10人だ。』
日本の四大悪高校は,大達が通う鬼多高,弐死高,檜餓死高,未菜未高の四つだった。
この四つの高校には喧嘩でトップになりたくて入学する生徒も少なくない。
四大悪高の頭を取ることはいわゆる不良の憧れの的だ。
だが四つの高校を制覇した人間は歴史上いない。高橋は鬼多高の頭が1年に変わったと聞いて鬼多高を制覇するには今しかないと思ったらしい。
『なんで翔をボコボコにした?』
弐死高の一人の男がボコボコにされた翔を持ち上げて大に見せた。
『…翔…!!』
『だってあんたこうでもしないとここにこないだろ?』
大が翔に駆け寄ると一人の男が大に向かって右ストレートを打ってきた。
大は交わしたが内心少し驚いた。
こいつら…
結構やるな。まあ…相手にはならないか…。
大は右ストレートを交わし下に体を流し相手の溝に右フックを見舞った。
『グハッ///』
男はあっけなく倒れた。大の驚異的なスピードに他の弐死高の生徒も驚きを隠しきれなかった。
『なるほど…喧嘩の場数が違うって訳か。鷹邸には俺ら全員でかかっても勝てねぇな。』
『高橋さん!何を言うんだ!』
『だからこうする♪』
高橋は翔を一発殴った。
『何すんだてめぇ…』
大は高橋を睨みながら言った。
『これからはおまえがうちの生徒を一発殴るごとに棗を一発殴る事にする。』
『動けねぇ奴を殴るなんててめぇらクソだな…』
大は仕方なく手を後ろに回した。
『気が済むまで殴れ。その代わり翔には指一本触れんな。』
『頭も良くなければ頭にはなれないんだぜ?』
南はハッハッハと笑いながら大を殴り始めた。
何発殴られようが大の顔の表情は変わらなかった。
大は鼻血と瞼の傷から出る血で顔はぐちゃぐちゃになった。それでも倒れずにしっかり南を見据えていた。
高橋は恐怖を感じた。眼差しがぶれない大の顔は恐ろしく怖かった。何発殴ろうが息一つ乱れてない。
『まぢかよ…』
『高橋さんの拳をあんなに受けて立ってられるのかよ!!!』
見ていた弐死高の生徒達は大の驚異的な体に驚きを隠しきれなかった。
『ぉぇ/!!』
『っんぐ///』
いきなり弐死高の不良達が襲われた。高橋が後ろを振り向くと弐死高の生徒は既にみんなのびていた。
一人の男が立っていた。
『誰が弐死高の頭だって?高橋先輩?』
いきなり現れたその男は品の良い茶髪に白い肌…一見喧嘩とは無関係な顔立ちだった。
『…久しぶりだね…先輩♪なんで呼び出しても来てくれないの?』
『…神谷…!!!!』
高橋の顔が少し恐怖に歪んだ。
『高橋先輩…勝負しましょうよ?弐死高の頭かけて…』
『…!!!』
高橋は後退りしながら冷や汗をかいていた。大も神谷を見ただけで雰囲気で強いということが分かった。
『おまえとマンツーマンで勝てる気がしねぇ…!!!ンッグ!!!』
高橋が言う前に神谷は高橋の顔面にパンチを見舞った。
『おまえじゃないだろ?あんたみたいな汚ねぇ奴が頭なんて認めないから。』
高橋は鼻血を大量に出して小さく震えながら分かったという風に必死に頷いてた。
神谷はニッコリ笑うと翔を起こして大の前に運んで来た。
『君すごいね〜。あんなに殴られても全然平気そうじゃん。つうか…あんた強いね…』
大は翔を受け取った。
『…おまえこそ…相当強いな。』
大と神谷は目線を合わせてフンと笑いあった。
『助けたつもりはないだろうが…ありがとな。』
『いいよ。俺は神谷千秋。名前聞いてもいい?』
『…鷹邸大。』
『その顔の傷が治ったらタイマンはってよ?』
『なんでだ?』
『なんでって…鷹邸君,喧嘩好きでしょ?そういう人とやりたい。それに鷹邸君強いし。』
神谷はそういうと手を振りながら帰っていった。
月の光になびく神谷の髪が輝いた。
大は翔を抱えると家路についた。
弐死高,鬼多高それぞれ史上最強の頭が誕生した。
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