第八番=本題=
俺も瑞鬼みたいに頭良くなりたい・・・。
今回はどちらの視点でもなく・・・?
「・・・あのさ、お前って・・・その」
「はい?」
「彼氏、居たっけ?」
この男は一体、何を考えているんだろうか・・・。
「・・・私がそんなにモテると、先生は思っているんですか?」
「いや、思ってないけど」
「即答できるのにどうしてそんなこと聞くんですか?」
「・・・えー」
「いい加減にしろよクソが・・・」
そう言って竜矢の胸倉を掴み挙げる瑞鬼。
「え?ちょ、瑞鬼ちゃん?キャラが何かいつもと違・・・」
「なんて言わないのではやく本題に移って下さい。」
「えー・・・はい、わかりました。話すから、そんな睨むな、ホント」
「元々そんな顔です」
「・・・多分アイツ・・・深山は、色々とテンパッてて。アレだ、大事なことを言い忘れたんだとおもうぜ」
――大事なこと・・・?
「だからお前みたいなヤツには理解出来なかったんだな」
「何ですか?その、『大事なこと』って」
「ほら、ドラマとか小説でよくあるだろ?恋してる乙女が屋上に好きな男子呼び出して、
『○○って下さい!!』っていうだろ」
意味が解らない、瑞鬼は顔を歪めた。
「・・・『マッチ売ってください!!』?」
瑞鬼の無知さに竜矢の顔も少々歪む。
「・・・・・・」
「・・・」
「・・・どんなドラマだ・・・そこは普通、『付き合ってください!!』だろうが!」
やはり意味が解らないと言う顔の瑞鬼。
「付き合う?ドコにですか?」
「だから、その『付き合う』じゃなくて、男女交際の方の『付き合う』、だ」
「へえ、それで?」
「は?」
今度は竜矢が意味が解らない、と言う顔をしている。
「・・・具体的に、『付き合う』って、何をするんですか?」
「そりゃぁ、デートしたり、手ぇつないだり。あわよくばセッ」
竜矢は言葉を続けることが出来なかった。何故なら、瑞鬼がカッターを持ち、「チキチキ」という音をたたせながらこちらに近付いてくるからだ。
「すんませんでした。冗談です、今のは。はい、本当です。最近登場シーン多いんで調子に乗ってました、すんませんでした」
再び「チキチキ」と言う音をたてながら、瑞鬼はカッターをペンケースにしまい込んだ。
「まあ、別に良いですけどね」
準備室の時計は、丁度夕方の五時を指していた。
何時終わるんだ化学準備室!!