第五番=来客=
瑞鬼はどこまで鈍感なんだろう・・・。
「失します」
「やぁっときたか・・・」
深山が去ってから、それ程時間が経っているわけでもないくせに、俺はとてつもなく長い時間、プリントと睨めっこをしている錯覚に陥っていた。
「?そんなに待たせましたか?私・・・」
「いや、そーゆー意味じゃぁねぇんだよ。なんかこう、誰かと話した後一人で居ると妙に時間経つのが遅く感じるときがあるんだよ」
呆れた様に瑞鬼は返事を返す。
「はあ・・・芥川先生・・・」
「ん?」
「誰かと、話してらしたんですか?」
「・・・・・・」
「先生にも恋人なんか居るんですね」
瑞鬼の突発的な発言に、芥川は飲んでいたコーヒーをのどに詰まらせる。
「おげっ!げほっ!ごほっ!はっ!?いや、何でそうなる?」
「質問されて、流しもせず答えもしない芥川先生なんて珍しいと思ったので・・・もしかしたらと・・・」
「・・・・・」
「もしそれなら、来ない方が良かったですか?」
・・・妙なところで気を使うんだよなこいつは・・・。
「・・・芥川先生?」
「・・・・・・その、おまえさぁ・・・」
「はい」
こいつには、十分態度で示してるつもり・・・なんだけどなぁ・・・。
「?先生?」
「ま、いっか。お前、コーヒー飲むか?」
「ビーカーで作ったコーヒーなんていりませんよ、それより話を逸らさないで下さい」
・・・もっとスキンシップ、エスカレートさせてみようかな・・・。
次回は多分・・・瑞鬼視点・・・?