第十一番=写真=
やっと・・・終わる。
「本当に気づいてなかったのか・・・?瑞鬼・・・」
いつもと違う、少々真剣みを帯びた表情に、瑞鬼は驚きを隠せなかった。
・・・・・・この、写真・・・。
「というか先生」
「ん?」
「何故こんな写真を・・・」
・・・・・・まさか、お前の写真を集めていた・・・とは言えない。
「ああ、ほら、俺、お前が一年の時お前のクラスの副担だったろ。お前の担任から、その時に貰ったんだよ」
「・・・ふぅん、そうなんですか」
「そうそう」
「・・・先生、副担でしたっけ・・・?」
・・・・・・バレた・・・か・・・?
「まあ、どっちでも良いですけど」
良いのかよ。ていうかどんだけ鈍いんだこいつは。
「・・・そろそろ帰りますね、私」
「え!?あ、もう帰んのか?」
「はい、もう用事は済んだわけですし。それに・・・」
「?それに?」
「いえ、別に何でもないです」
「?何だよ、気になるじゃねーか」
「・・・言ったら先生、泣きますよ」
「・・・・・・マジで・・・?」
「マジで」
「・・・・・」
「・・・冗談です」
・・・・・・ったく、ガキ相手に何やってんだ、俺は。
「おい瑞鬼」
「?何ですか?」
「いや」
「?用も無いのに呼び・・・」
「いや、送ってく、靴、履き替えたら駐車場来い」
「・・・分かりました」
・・・途中でガソリンスタンド寄んねーと、もたねーかもな。
やっと終わりました。ていうかもう色んな意味で終わりました。