第73話 ギャルピース・姫乃
「いい感じに撮れたぞ。じゃあもう一枚。せっかくだしポーズを変えてみないか?」
「ひめのん、ギャルピースしようよギャルピース♪ イェイ♪」
言いながら、小春が下向きのピース──いわゆるギャルピースをした。
「小春、カメラ目線よろ」
「はーい♪」
可愛いかったのでとりあえずパシャリと撮影する俺。
「えっと、ギャルピースですか?」
しかし姫乃ちゃんはあまり乗り気ではないようだった。
「絶対可愛いって♪ 試しにやってみなってー」
「え、えーと……」
「おいおい、姫乃ちゃんはそういうキャラじゃないだろ?」
小春のごり押しに困った様子の姫乃ちゃんを、俺はすぐさま助けに入る。
しかし小春は言った。
「だからいいんじゃない。普段しないことをする。非日常感ってそういうことでしょ?」
「な、なるほど。一理あるな」
小春にビシッと正論を言われて、速攻で心が揺らぐ俺。
「それにひめのんのギャルピース、絶対に似合うって! ユータだって見たくない? 非日常の世界、パンダとギャルピースするひめのんをー」
「み、見たい」
そんなの見たくないわけがないってーの!
小悪魔・小春の誘惑に負けた俺は、姫乃ちゃんの顔をジッと見た。
ついに姫乃ちゃんが観念した。
「お二人がそこまで言うのでしたら……。え、えいっ……」
姫乃ちゃんは綺麗な指でピースをすると、一瞬ためらうように静止してから、ゆっくりと下に向けた。
恥ずかしそうに、おずおずって感じが、か、可愛いいいいいいぃぃぃぃぃぃ!
しかも清楚なお嬢様が非日常の空気感に当てられて、普段はしないギャルピースをしちゃったって感じで、なんかもうエモすぎるんだが!?
小春、よくぞ提案してくれた!
褒めてつかわす!
「超似合ってるし、ひめのん! ヤバッ!」
「うんうん、これぞ非日常感だよ!」
「えっと、喜んでくれたみたいでよかったです」
俺と小春は、ギャルピースな姫乃ちゃんを2つのスマホで激写した。
するとまたまた小春が言った。
「どうせなら3人の写真も欲しいよね。今日の記念にもなるし」
「はい、すごく欲しいです」
「よし、撮るか。小春に任せた」
「不肖、小春。任されましたー」
ということで今度は3人で自撮りをすることにした。
俺の左に姫乃ちゃん、右に小春。
2人は俺にキュッと身体を寄せてくると、小春が右手を前に伸ばしてスマホを構えた。
「インカメラで撮らないんですか? 画面を見ながらの方が綺麗に撮れると思いますけど」
アウトカメラ(通常撮影モード)でスマホを構えている小春を見て、姫乃ちゃんが怪訝そうにつぶやいた。




