第63話 休憩タイム!
「俺も賛成ー」
「私もです」
我ら雑草抜き三銃士はマッハで心を一つにすると、立ち上がり、うだるような暑さから逃げるように休憩コーナーへと向かった。
向かった先、藤棚の下の日陰スペースに作られた休憩コーナーには、クーラーボックスに入ったフリードリンクのお茶が大量に置いてあった。
「はい、ひめのん。はい、ユータ」
クーラーボックスから2リットル入りペットボトルを取り出した小春が、3人分を手際よく紙コップに注いでくれる。
「ありがとうございます小春ちゃん」
「サンキュー小春」
3人そろってごくごくと飲み干した。
「はぁ、生き返るぅ……」
「お茶ってこんなに美味しかったんだなぁ」
「五臓六腑に染みわたります……」
冷たいお茶が喉を潤し、身体の中に流れ込んで、内側から身体を冷ましてくれるのがわかる。
当然のように3人とももう一杯を飲みほして、俺たちはようやっと一息をつくことができたのだった。
「っていうか、今日、暑すぎない? これもう夏なんだけど。サマーだよサマー。まったく何様!?」
給水ですっかりいつものテンションを回復した様子の小春が、軽妙な軽口をたたく。
「だよなぁ。何人かスーツのおじさんが居たけど、こんな暑い日によくあんな服を着ていられると思うよ」
「私も気になりました。会社の立場のある方だったり、自治体の職員の方でしょうか?」
「暑くないのかなぁ?」
「さすがに暑くないってことはないだろ」
「大人は大変ですよね」
水分補給をしたおかげで、さっきまでとは違って会話も弾む。
「でも今日って本当に暑いよね」
「ほんとにな」
「文句無しに暑いです」
とはいえ、話題はやはり暑さについてなのだが。
俺たち3人はまるで示し合わせたかのように、「はぁ……」と大きなため息をついた。
「でも唯一救いがあるとすれば、午前中の3時間の参加で、代休で学校が丸々1日休みになることだよねー」
「それな。9時~12時の参加で1日休みが貰える。それだけ考えればかなりお得だよなぁ」
休みが増えて喜ばない高校生などいはしない。
「しかも体育の授業1回分になるらしいんですよ。すごく助かります。運動好きなお二人には残念なことかも、なんですけれど……」
姫乃ちゃん本人にはとても嬉しいことなのに、俺たちのことを慮ってちょっと申し訳なさそうな姫乃ちゃんである。
「あはは、ひめのんは体育、苦手だもんねー」
「俺たちのことまで気をつかってくれて、姫乃ちゃんは優しいなぁ。でも素直に喜んでいいと思うぞ。もし俺が姫乃ちゃんなら絶対『やったー! ラッキー!』って言うだろうからさ」
これまた苦手な授業が一個つぶれて喜ばない高校生はいないだろう。
「アタシも同じ立場なら、多分言ってるかなー」
「まぁ、小春は言うだろうな」




