表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/92

第43話 中間テストとその結果 ~醜いテスト戦争~

 その後も俺たちは勉強会を定期的に行い、無事に中間テストを乗り越えることができたのだが。

 なんと姫乃ちゃんは全教科総合で学年1位をとっていた。


 成績上位10人は掲示板に特別に張り出されるのだが、その一番上に「二宮姫乃」という名前がどうだと言わんばかりに掲載されていたのだ。


「ひめのん、中間テストで総合学年一位だって! すごっ!」

「マジすっげぇぇ! やっぱり姫乃ちゃんは、頭が良かったんだなぁ」


 なんとなくわかってはいたけど、こうして目に見える結果で見せつけられて、改めて思い知った俺である。

(おそらく小春も)


「勉強会でも、アタシたちが教えてもらうばっかりだったもんね」

「何を聞いても全部、わかりやすく教えてもらえたもんな。この結果は当然と言えば当然だよ」


 べた褒めする俺と小春に、


「さすがにこれは、たまたまだと思います。中学の時も、総合1位なんてとったことはありませんでしたから」

 両手を左右に大きく振って、謙遜して見せる姫乃ちゃん。


「たまたまでもまぐれでもすごいって。ねー、ユータ」

「ああ。そもそも普通はたまたまでもとれないもんな」


「だよね。普通は学年1位に縁なんてないよね」

「やっぱり姫乃先生と呼ぶべきだったか」


 俺と小春は顔を見合わせると、一度こくんと頷いてタイミングを合わせてから、声をそろえて言った。

「「姫乃先生!」」


「は、恥ずかしいので先生はやめて下さい。それに、お二人もかなり点数は良かったんですよね?」


 姫乃ちゃんは自分から話題をそらすためか、俺たちに話題を振ってきた。


「アタシは全教科87点以上だったよー。ちなみにユータは最低点が86点だったんだよね。はい、アタシの勝ちー」


 するとなぜか小春が勝ち誇った顔で俺を見てきた。

 だが待って欲しい。


「は? なんで最低点が1点違うからって、俺の負けなんだよ?」


「最低点は赤点にもかかわってくる大事な要素ですー。赤点2個で留年ですからねー」


「赤点ラインは40点だろ。そんな程度の低い話は俺には関係ないんだよなぁ。やっぱテストは合計点だろ。主要5教科の合計点なら、俺の方が1点勝ってたっての」


「勝ってるって言ってもたった1点じゃんかー。誤差でしょそれ」

「それを言うなら最低点が1点違う方がよっぽど誤差だろ」


「あ、あの、二人と少し落ち着いて……」

 姫乃ちゃんが困惑した様子で仲裁に入ってくるが、これが落ち着いていられるか!


 俺と小春は昔から成績がほとんど変わらない、宿命のライバルだ。

 テストの点で理不尽にマウントを取られるわけにはいかない!


「そもそも保健体育とか副教科まで入れたら、アタシの方が合計点も上でしたー。はい、残念でした。アタシの勝ちですー」


「副教科で入れていいのは共通テストにある公民までだろ、常識的に考えて。公民だけを足したら、俺の方が合計点は上だっての」


「なにそれ、どこの常識? 教えてよ?」

「大学受験は、高校における絶対正義の基準なんだよなぁ」


「へー、ユータはもう大学受験のこと考えてるんだ?」

「それとこれとは話が別だろ」


「一緒ですー」

「ちがうってーの」


 などと、幼馴染みあるあるの醜いテスト戦争を始めた俺と小春を見て、遥か高みにいた学年一位の姫乃ちゃんは、仲裁を諦めて小さく苦笑していたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ