第41話 教科書は読書・・・?
「ふー、今日はガッツリ勉強したー」
小春が両手を上に上げて大きく伸びをした。
パキッポキッと肩や背中の骨が小気味良い音を立てる。
「マジでがっつりやったよな。これだけ勉強したのは受験勉強以来だよ」
俺も同じように大きく伸びをすると、小春よりも盛大にバキボキと、身体の節々がいい音を立てた。
「あはは、ユータの背中、すごい音してるよ」
「マジで根詰めて勉強したからな。背中さんもお疲れだよ」
「ふふっ、本当にお疲れさまでした」
姫乃ちゃんは控えめに背筋を伸ばす。
こちらはパキッと可愛らしく鳴った。
「疲れたけど、今日はすっごくはかどったよ。ひめのんの教え方が良かったからね。バッチリ身についた感じー」
「マジそれな」
「お二人のお役に立てて良かったです」
「これなら中間テストは余裕だね」
「ああ、なにせ俺たちには姫乃先生がついてるからな」
「ありがとー、姫乃せんせっ♪」
「もう、先生は禁止って言ったじゃないですか」
恥ずかしそうにつぶやいた姫乃ちゃんの言葉に、俺たち3人はあははと笑いあった。
そのまま流れで学校のこととか、昨日見た動画の話とか、いろいろ他愛もないことを適当に駄弁っていく。
その中で、図書室ということで読書の話題になった。
「勇太くんはあまり本は読まないんですよね?」
「ぶっちゃけあんまり読まないなぁ」
「ユータが読むのはマンガだけだよねー」
小春が軽口を叩きながら俺をディスってくる。
「小春だってそうだろ。いつもマンガしか読んでないじゃないか」
「え? そんなことないよ?」
「は? そんなことあるっての。違うってんなら最近読んだ本を言ってみろよ?」
「んー、教科書とか?」
「教科書なら俺だって読んでるっつーの。っていうかあれは読書には入らないからな」
「あはは……ちなみに勇太くんはどんなマンガを読むんですか?」
俺と小春の幼馴染特有の遠慮のないやり取りを見た小春ちゃんが、苦笑しながら質問してくる。
「俺はいろいろかな。スポーツものとか、そんな感じ? 最近のだとメダリストってフィギュアスケートのマンガが面白かったよ」
「あれ面白いよねー。ユータに借りてはまっちゃった」
俺の言葉に、うんうんと小春がうなずく。
家が隣の幼馴染みともなると、マンガの貸し借りはデフォ中のデフォである。
「メダリストでしたら私も読んでますよ。書き込まれたフィギュアスケートの描写もさることながら、少年や少女の成長や対立が丁寧に描かれていて、とても情熱的な作品だと思います」
「だよなぁ! 姫乃ちゃん、けっこうマンガ読むんだ」
「はい、人並みには読みますね」
「なんかちょっと意外かもー」
「実は俺も少し意外な感じだ。なんとなく姫乃ちゃんは小説とか、少し難しい感じの本を読んでいるイメージだったからさ」
「ふふっ、難しい本は読みませんが、小説は読みますよ。でも最近は面白いWebマンガが多いので、勉強の合間とか電車の中とかの隙間時間につい、スマホで読んでじゃうんです」
言いながら、姫乃ちゃんが可愛らしくはにかんだ。




